出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第85問
問題
音圧レベル80dBの音源室と、面積10m2の隔壁で仕切られた等価吸音面積(吸音力)20m2 の受音室の平均音圧レベルを40dBにしたい。このとき、隔壁の音響透過損失として、確保すべき値に最も近いものは次のうちどれか。 なお、音源室と受音室の音圧レベルには以下の関係がある。 Li- L2=TL + 10log10 A2/Sw ただし、L1,L2は音源室、受音室の平均音圧レベル[dB]、A2は受音室の等価吸音面積[m3]、Swは音の透過する隔壁の面積[m2]、TLは隔壁の音響透過損失[dB]を表す。 log102=0.3010、log3=0.4771 とする。
(1) 37 dB
(2) 38 dB
(3) 39 dB
(4) 40 dB
(5) 43 dB
ビル管過去問|音響透過損失の計算方法を解説
この問題は、音源室と受音室の音圧レベル差から、隔壁に必要な音響透過損失を求める計算問題です。正しい選択肢は(1)37dBです。音源室の音圧レベル80dB、受音室の目標音圧レベル40dBなので、必要な音圧レベル差は40dBです。式にA2=20m2、Sw=10m2を代入すると、10log10(A2/Sw)=10log10(20/10)=10log102=3.01dBとなります。したがって、40=TL+3.01となり、TL=36.99dBです。最も近い値は37dBです。

(1) 37 dB
適切です。音源室と受音室の音圧レベル差は、80dB-40dB=40dBです。受音室の等価吸音面積A2は20m2、隔壁面積Swは10m2なので、A2/Sw=2となります。10log102=10×0.3010=3.01dBです。式に代入すると、40=TL+3.01となるため、TL=36.99dBとなります。したがって、必要な音響透過損失は約37dBであり、この選択肢が正解です。
(2) 38 dB
不適切です。38dBは正解に近い数値ですが、計算結果は36.99dBであり、最も近い値は37dBです。この問題では、音圧レベル差40dBをそのまま音響透過損失と考えるのではなく、受音室の等価吸音面積と隔壁面積の比による補正を差し引いて求める必要があります。近い数字に見えても、計算式に従って最も近い値を選ぶことが大切です。
(3) 39 dB
不適切です。39dBを選んでしまう場合、10log10(A2/Sw)の扱いを誤っている可能性があります。A2/Sw=2なので、補正値は約3dBです。音圧レベル差40dBからこの3dBを差し引くため、TLは約37dBになります。39dBでは、必要な音響透過損失をやや大きく見積もりすぎています。
(4) 40 dB
不適切です。40dBは音源室と受音室の音圧レベル差そのものです。しかし、問題で求めているのは隔壁の音響透過損失TLです。式には、受音室の等価吸音面積と隔壁面積による補正項が含まれています。そのため、音圧レベル差40dBをそのままTLとすることはできません。ここでは40dBから約3dBを差し引き、約37dBと求めます。
(5) 43 dB
不適切です。43dBは、音圧レベル差40dBに10log102の約3dBを加えてしまった場合に近い値です。しかし、式は40=TL+3.01という関係になるため、TLを求めるときは3.01を引きます。補正値を加えるか引くかを間違えると、43dBのような誤答になります。式の移項を丁寧に行うことが重要です。
この問題で覚えるポイント
音響透過損失は、壁や床などの隔壁が音をどれだけ遮るかを表す値です。値が大きいほど、音を通しにくい隔壁であることを意味します。 音源室と受音室の音圧レベル差は、単純に隔壁の音響透過損失だけで決まるわけではありません。受音室の等価吸音面積が大きいほど、受音室内で音が吸収されやすくなり、平均音圧レベルは下がりやすくなります。 この問題で使う基本式は、L1-L2=TL+10log10(A2/Sw)です。L1-L2は音源室と受音室の音圧レベル差、TLは隔壁の音響透過損失、A2は受音室の等価吸音面積、Swは音が透過する隔壁の面積です。 TLを求める場合は、TL=L1-L2-10log10(A2/Sw)と変形します。音圧レベル差から、等価吸音面積と隔壁面積の比による補正値を差し引く形になります。 log102=0.3010は、試験でよく使う数値です。10log102=約3dBとなるため、比が2倍になると約3dBの差が生じると覚えておくと計算が速くなります。 この問題では、80dBから40dBに下げたいので、必要な音圧レベル差は40dBです。さらにA2/Sw=20/10=2なので、補正値は約3dBです。したがって、必要な音響透過損失は40-3=約37dBとなります。 音響の計算では、dBの差、logの値、面積比の扱いが頻出です。特に、音圧レベル差をそのまま答えにしないこと、補正項を加えるのか引くのかを式で確認することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、音源室80dB、受音室40dBという数値から、すぐに40dBを選ばせようとしている点です。たしかに音圧レベル差は40dBですが、求めるものは音響透過損失TLであり、音圧レベル差そのものではありません。 もう一つのひっかけは、10log10(A2/Sw)の符号です。A2/Sw=2なので補正値は約3dBですが、TLを求めるときは40dBから3dBを引きます。ここで足してしまうと43dBになり、誤答になります。 また、等価吸音面積と隔壁面積の比を逆にしてしまうことにも注意が必要です。20/10ではなく10/20としてしまうと、logの値が逆になり、計算結果が変わってしまいます。式に書かれているA2/Swの順番を落ち着いて確認することが大切です。 音響分野では、日常感覚だけで考えると「40dB下げたいなら40dBの壁が必要」と判断しがちです。しかし、実際には受音室側の吸音条件も音圧レベルに影響します。このように、日常的な感覚と専門式の考え方がずれるところが、試験で狙われやすいポイントです。