問題
空気調和・換気設備の維持管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) レジオネラ症は、レジオネラ属菌が空調・換気設備を介して室内に侵入することなどによって引き起こされる。
(2) 点検、整備、検査、修理を行う業務は保全業務に位置づけられる。
(3) 平均故障間隔(MTBF)とは、システム、機器、部品等で発生する故障間の動作時間の平均値をいう。
(4) 故障停止時の影響度が大きい機器を、特に重要機器として点検レベルを高く設定し、重点的に管理する。
(5) 事後保全は、部品の劣化を保全計画に組み入れて計画的に修理、交換する保全方法である。
ビル管過去問|空調・換気設備の維持管理とMTBFを解説
この問題は、空調・換気設備の維持管理に関する基本用語と保全の考え方を問う問題です。ポイントは、レジオネラ症の発生経路、保全業務の範囲、MTBFの意味、重要機器の重点管理、そして事後保全と予防保全の違いを正確に理解しているかどうかです。正しい選択肢の判断には、特に「故障してから対応する保全」と「故障する前に計画的に対応する保全」を区別できることが重要です。この問題で最も不適当なのは(5)です。なぜなら、(5)で述べている内容は事後保全ではなく、予防保全や計画保全の説明だからです。
(1) レジオネラ症は、レジオネラ属菌が空調・換気設備を介して室内に侵入することなどによって引き起こされる。
適切です。レジオネラ属菌は、水系設備の中で増殖しやすい細菌であり、冷却塔、加湿設備、貯湯設備などで問題になることがあります。これらの設備で発生した菌を含む微細な水滴が空気中に拡散し、それを人が吸い込むことで感染することがあります。空調・換気設備そのものが菌を発生させるというよりは、水を扱う関連設備で増殖した菌が空気の流れに乗って室内へ広がることが問題です。そのため、空調・換気設備の維持管理では、冷却塔や加湿装置の清掃・水質管理が重要になります。
(2) 点検、整備、検査、修理を行う業務は保全業務に位置づけられる。
適切です。保全業務とは、設備の性能や機能を正常な状態に維持し、必要なときに確実に使えるようにするための業務全般をいいます。具体的には、日常点検、定期点検、部品の整備、性能の検査、不具合発生時の修理などが含まれます。単に壊れたら直すだけではなく、故障や性能低下を防ぐために状態を確認し、必要な処置を行うことまで含めて保全です。したがって、この記述は保全業務の範囲を正しく表しています。
(3) 平均故障間隔(MTBF)とは、システム、機器、部品等で発生する故障間の動作時間の平均値をいう。
適切です。MTBFは Mean Time Between Failures の略で、日本語では平均故障間隔といいます。これは、修理可能な機器が正常に動作している時間が、故障と故障の間で平均してどのくらいあるかを示す指標です。たとえば、ある機器が100時間動いて故障し、修理後にまた120時間動いて故障した場合、その故障間の動作時間を平均して評価します。MTBFが大きいほど、故障しにくく信頼性が高い機器と考えられます。維持管理では、機器の信頼性評価や保全計画の参考として用いられます。
(4) 故障停止時の影響度が大きい機器を、特に重要機器として点検レベルを高く設定し、重点的に管理する。
適切です。すべての設備を同じ頻度、同じ水準で管理するのは効率的ではありません。故障したときに建物全体の運用や衛生環境に大きな影響を与える機器、たとえば空調の中枢機器、送風機、ポンプ、制御装置などは、重要機器として優先的に管理する必要があります。こうした機器に対しては、点検回数を増やしたり、より詳細な点検を行ったりして、故障の予兆を早期に見つけることが求められます。これは、限られた人員や時間の中で、リスクの高い設備に重点を置く合理的な管理方法です。
(5) 事後保全は、部品の劣化を保全計画に組み入れて計画的に修理、交換する保全方法である。
不適切です。その理由は、この説明が事後保全ではなく、予防保全または計画保全の内容だからです。事後保全とは、設備や部品が故障した後に修理や交換を行う保全方法をいいます。つまり、「壊れてから対応する」考え方です。一方で、部品の劣化や使用年数を見込んで、故障する前に計画的に修理や交換を行うのは予防保全です。試験では、この2つの区別が非常によく問われます。言葉が似ていて混同しやすいですが、「事後」は故障後、「予防」は故障前と整理すると覚えやすいです。
この問題で覚えるポイント
保全業務には、点検、整備、検査、修理など、設備を正常に維持するための業務全般が含まれます。
MTBFは、故障と故障の間にどれだけ連続して動作できるかを示す信頼性の指標です。
故障時の影響が大きい設備は重要機器として扱い、重点的に点検・管理します。
レジオネラ属菌は、水を扱う空調関連設備で増殖し、エアロゾルを介して感染の原因になります。
事後保全は故障後に対応する方法であり、故障前に計画的に修理・交換するのは予防保全です。
ひっかけポイント
「計画的に修理・交換する」という表現が出てきたら、事後保全ではなく予防保全を疑うことが重要です。
MTBFは修理時間ではなく、故障と故障の間の動作時間の平均です。
レジオネラ症は換気そのものではなく、水系設備で増殖した菌が空気中に拡散することで問題になります。
保全業務は修理だけではなく、点検や検査、整備も含む広い概念です。
重要機器の管理では、設備の数ではなく、故障時の影響度の大きさが判断基準になります。
