【ビル管過去問】令和7年度 問題78|温度・風速・湿度など環境測定の原理を解説

問題

環境要素などの測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 温度の測定には、液体の容積膨張を利用する方法がある。

(2) 風速の測定には、センサーの球体部の冷却力と気流速度との関係を利用する方法がある。

(3) 相対湿度の測定には、金属の線膨張を利用する方法がある。

(4) 風速の測定には、ベルヌーイの定理を利用する方法がある。

(5) 風量の測定には、オリフィスを利用する方法がある。

ビル管過去問|温度・風速・湿度など環境測定の原理を解説

この問題は、温度、風速、湿度、風量といった空気環境の測定で、どの物理原理が利用されているかを問う問題です。測定器は見た目や名称を暗記するだけでなく、「何の性質を使って測っているのか」を理解しておくことが重要です。正しい選択肢の組合せを考えると、(1)、(2)、(4)、(5)はいずれも実際の測定原理として適切であり、最も不適当なのは(3)です。相対湿度の測定では、一般に乾湿球の温度差や、毛髪・高分子材料などの吸湿による伸縮を利用しますが、金属の線膨張を利用するものではありません。

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(1) 温度の測定には、液体の容積膨張を利用する方法がある。

適切です。温度計の基本原理の一つに、液体が温度上昇に伴って体積を増やし、温度低下で体積を減らす性質を利用する方法があります。代表例はアルコール温度計などです。液体は温度変化によって比較的規則的に膨張・収縮するため、その変化を目盛りに対応させることで温度を読み取れます。つまり、液体の容積膨張は温度測定の典型的な原理の一つです。

(2) 風速の測定には、センサーの球体部の冷却力と気流速度との関係を利用する方法がある。

適切です。これは熱式風速計の考え方です。加熱されたセンサー部に風が当たると、風が強いほど熱が奪われやすくなります。つまり、球体部や細線部がどれだけ冷やされるかを調べることで、気流の速さを推定できます。風が速いほど冷却作用が大きくなるという関係を利用しているため、この記述は正しいです。

(3) 相対湿度の測定には、金属の線膨張を利用する方法がある。

不適切です。金属の線膨張は、主に温度変化によって長さが変わる性質であり、湿度測定の原理ではありません。相対湿度の測定では、乾球温度と湿球温度の差から求める乾湿球湿度計や、毛髪・高分子材料などが湿気を吸って伸び縮みする性質を利用する湿度計が代表的です。金属は湿度の変化によって大きく伸縮する材料ではないため、湿度測定に用いる原理としては不適切です。この選択肢が最も不適当です。

(4) 風速の測定には、ベルヌーイの定理を利用する方法がある。

適切です。ベルヌーイの定理は、流体の速度が大きいところでは圧力が低くなるという関係を示すものです。これを利用した代表例がピトー管です。流れの中で全圧と静圧の差を測定し、その圧力差から風速を求めます。空気の流れを圧力として捉え、その関係式から速度を算出する方法なので、この記述は正しいです。

(5) 風量の測定には、オリフィスを利用する方法がある。

適切です。オリフィスは、流路の一部を絞って圧力差を生じさせ、その差から流量を求める装置です。空気が絞り部分を通過すると流速や圧力が変化するため、その前後の圧力差を測定すれば風量を計算できます。ダクト内の流量測定などでも考え方として重要であり、風量測定にオリフィスを利用するという記述は適切です。

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この問題で覚えるポイント

環境測定では、測定対象ごとに利用する物理原理が異なります。温度は液体の容積膨張や電気抵抗の変化、風速は熱の奪われ方や圧力差、湿度は乾湿球の温度差や吸湿材料の伸縮、風量は圧力差や断面積と流速の関係で捉えるのが基本です。湿度測定に使われやすいのは毛髪や高分子材料の吸湿による変化であり、金属の線膨張は温度に関する性質だと整理して覚えると混同しにくくなります。

ひっかけポイント

温度と湿度の測定原理を入れ替えて出題されると、知識があいまいな場合に誤りやすいです。特に「膨張」という言葉が入っていると正しそうに見えますが、何が原因で膨張するのかを区別する必要があります。金属の線膨張は温度、毛髪や高分子材料の伸縮は湿度です。また、風速と風量も混同しやすいですが、風速は流れの速さ、風量は一定時間当たりに流れる空気の量です。測定対象そのものを先に整理してから選択肢を判断することが大切です。

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