出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第65問
問題
ヒートポンブに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 電動機駆動ヒートポンプは、電動冷凍機とボイラを組み合わせる熱源方式に比べて夏期と冬期の使用電力量の差を小さくできる。
(2) 水熱源方式は、河川水や下水の熱などの未利用エネルギーの活用に適している。
(3) 空気熱源方式の一般的な採熱源は、外気である。
(4) ガスエンジン駆動方式は、エンジン排熱を有効利用することで、寒冷地における暖房熱源に適している。
(5) 空気熱源方式と水熱源方式を比較したとき、現在の主流は水熱源方式である。
ビル管過去問|ヒートポンプの仕組みを解説
ヒートポンプは、空気・水・地中などから熱をくみ上げ、冷暖房や給湯に利用する設備です。この問題では、電動機駆動方式、水熱源方式、空気熱源方式、ガスエンジン駆動方式の特徴を正しく理解しているかが問われています。正しい選択肢は(5)です。現在、一般的に広く普及している主流は空気熱源方式であり、水熱源方式が主流という記述は不適切です。

(1) 電動機駆動ヒートポンプは、電動冷凍機とボイラを組み合わせる熱源方式に比べて夏期と冬期の使用電力量の差を小さくできる。
適切です。電動機駆動ヒートポンプは、冷房時も暖房時も電気を使って冷媒を循環させ、熱を移動させる方式です。一方、電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式では、夏期は電動冷凍機による冷房で電力を多く使い、冬期はボイラによる暖房で燃料を多く使うため、季節によって電力使用量の差が大きくなりやすいです。ヒートポンプでは暖房時にも電力を使用するため、夏期と冬期の電力使用量の差を小さくできるという特徴があります。
(2) 水熱源方式は、河川水や下水の熱などの未利用エネルギーの活用に適している。
適切です。水熱源方式は、水を熱源として利用するヒートポンプ方式です。河川水、地下水、下水、工場排水などは、外気に比べて温度変動が小さい場合があり、安定した熱源として利用しやすい特徴があります。特に下水や河川水の熱は、従来十分に利用されてこなかった未利用エネルギーとして活用できるため、省エネルギーの観点からも有効です。
(3) 空気熱源方式の一般的な採熱源は、外気である。
適切です。空気熱源方式は、外気から熱をくみ上げて暖房に利用したり、室内の熱を外気へ放出して冷房に利用したりする方式です。家庭用エアコンやビル用マルチエアコンなどでも広く用いられており、設置が比較的容易であることが特徴です。特別な水源設備を必要としないため、現在の空調設備で広く採用されています。
(4) ガスエンジン駆動方式は、エンジン排熱を有効利用することで、寒冷地における暖房熱源に適している。
適切です。ガスエンジン駆動ヒートポンプは、ガスエンジンで圧縮機を駆動する方式です。エンジンから発生する排熱を暖房や霜取りに利用できるため、低外気温時でも暖房能力を確保しやすい特徴があります。寒冷地では、空気熱源ヒートポンプの暖房能力が外気温の低下により落ちやすいため、エンジン排熱を活用できるガスエンジン駆動方式は有利になる場合があります。
(5) 空気熱源方式と水熱源方式を比較したとき、現在の主流は水熱源方式である。
不適切です。現在の主流は、一般に空気熱源方式です。空気熱源方式は、外気を熱源として利用できるため、河川水や地下水などの特別な水源を確保する必要がありません。設備計画や施工が比較的容易で、家庭用から業務用まで広く普及しています。一方、水熱源方式は効率面で有利な場合がありますが、水源の確保、水質管理、取水・排水設備などが必要になるため、導入できる場所が限られます。そのため、「現在の主流は水熱源方式である」という記述は誤りです。
この問題で覚えるポイント
ヒートポンプは、熱を発生させる装置というより、低温側から高温側へ熱を移動させる装置です。少ない投入エネルギーで大きな熱量を利用できるため、省エネルギー性が高い設備として重要です。 空気熱源方式は、外気を熱源とする方式です。水源を必要とせず、設置しやすいため、現在の空調設備では広く普及している主流の方式です。ただし、外気温の影響を受けやすく、寒冷地では暖房能力の低下や霜取り運転が問題になることがあります。 水熱源方式は、河川水、地下水、下水、排水などを熱源とする方式です。水は外気より温度変動が小さい場合が多いため、効率のよい運転が期待できます。特に河川水や下水熱などの未利用エネルギーを活用できる点が特徴です。ただし、水源の確保や水質管理、取水・排水設備が必要になるため、導入場所は限定されます。 ガスエンジン駆動ヒートポンプは、ガスエンジンで圧縮機を動かす方式です。エンジン排熱を暖房や霜取りに利用できるため、寒冷地の暖房熱源として有利になる場合があります。電力需要の平準化にも役立つため、電動機駆動方式との違いを押さえておくことが大切です。 電動機駆動ヒートポンプは、冷房時も暖房時も電力を使用するため、電動冷凍機とボイラを組み合わせる方式に比べて、夏期と冬期の電力使用量の差を小さくしやすいです。試験では、冷房用設備と暖房用設備を別々に考える方式との違いが問われやすいです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、水熱源方式の性能の高さと、普及の主流を混同させる点にあります。水熱源方式は、温度が安定した水を利用できるため、効率面では有利になることがあります。そのため、「効率がよいなら主流なのではないか」と考えてしまうと誤答しやすくなります。 試験では、「性能が高いこと」と「現在広く普及していること」は別の判断基準として扱う必要があります。水熱源方式は優れた方式ですが、水源の確保や設備条件に制約があります。一方、空気熱源方式は外気を利用でき、設置しやすいため普及しています。 また、ガスエンジン駆動方式では、単にガスで動くという点だけでなく、エンジン排熱を暖房に利用できる点が重要です。寒冷地では外気温が低くなるため、排熱利用のメリットが大きくなります。 ヒートポンプの問題では、「熱源が何か」「駆動方式が何か」「効率がよいことと主流であることは同じではない」という3点を分けて考えると、正誤判断がしやすくなります。