出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第52問
問題
下の図は、冷房時の各種吹出方式による室内気流を示したものである。一般的に、冷房時に好ましい方式の室内気流の組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。

(1) AとC
(2) BとD
(3) AとD
(4) BとC
(5) CとD
ビル管過去問|冷房時の吹出方式と室内気流を解説
冷房時の吹出気流では、冷たい空気が人体に直接当たりすぎず、室内全体に均一に広がることが重要です。冷気は重く下降しやすいため、天井面に沿って広がる気流や、室内空気とよく混合しながら居住域へ届く気流が好まれます。この問題の正しい選択肢は(1)AとCです。AとCは、冷房時に冷気を室内へ適切に拡散させ、温度むらやドラフトを起こしにくい気流と考えられます。

(1) AとC
適切です。冷房時に好ましい室内気流は、冷たい吹出空気がすぐに居住者へ直接当たるのではなく、天井面や室内上部で広がり、周囲の空気と混合しながら徐々に居住域へ降りてくる流れです。AとCは、このような冷房時に適した気流を示す組合せです。冷気は密度が大きく下方へ落ちやすいため、吹出方向や拡散の仕方が悪いと足元だけが冷えたり、身体に冷風が直接当たったりします。AとCのように気流が室内全体に行き渡る方式は、温度分布を安定させ、快適性を保ちやすい点で適切です。
(2) BとD
不適切です。BとDは、冷房時に好ましい気流の組合せではありません。冷房では、吹出口から出た冷気が居住域に直接落下したり、室内の一部だけを強く冷やしたりする流れは望ましくありません。このような気流では、ドラフト感、つまり不快な冷風感が生じやすくなります。また、室内の空気が十分に混合されない場合、天井付近と床付近、または部屋の場所ごとに温度差が生じやすくなります。したがって、冷房時の一般的に好ましい組合せとしては適切ではありません。
(3) AとD
不適切です。Aは冷房時に好ましい気流と考えられますが、Dは冷房時に一般的に好ましい方式とはいえません。選択肢の組合せ問題では、一方が正しくても、もう一方が不適切であれば選択肢全体としては不適切になります。冷房時は、冷気の下降性を考慮して、冷風が直接居住域に落ち込まないようにすることが大切です。Dのように冷気の広がり方や居住域への到達の仕方が適切でない気流は、温度むらや冷風感の原因となります。
(4) BとC
不適切です。Cは冷房時に好ましい気流と考えられますが、Bは冷房時に一般的に好ましい方式とはいえません。冷房時の気流では、冷たい空気をいかに室内全体へむらなく拡散させるかが重要です。Bのように冷気が特定の方向へ偏ったり、居住域へ直接流れたりする方式では、快適な空調になりにくくなります。したがって、Cを含んでいても、Bを含むこの組合せは不適切です。
(5) CとD
不適切です。Cは冷房時に好ましい気流と考えられますが、Dは冷房時に適した気流とはいえません。冷房では、吹出空気が人体に直接当たることを避けながら、室内全体に均一な温度環境をつくる必要があります。Dのように冷気の下降や偏流が起こりやすい気流では、局所的な冷えや不快感につながります。そのため、Cが含まれていても、Dを含む組合せは最も適当とはいえません。
この問題で覚えるポイント
冷房時の吹出方式では、冷気が重く下がりやすいという性質をまず押さえることが重要です。冷たい空気をそのまま居住域へ吹き下ろすと、人体に直接当たってドラフト感を生じやすくなります。そのため、冷房では、吹出空気を天井面に沿わせたり、室内空気と十分に混合させたりして、温度むらを小さくする気流が好まれます。反対に、冷気が床面へ急に落ちる流れ、部屋の一部だけを冷やす流れ、居住者に直接冷風が当たる流れは不適切です。冷房時は、単に「冷たい空気を送る」のではなく、「冷気をどう拡散させて居住域に届けるか」が問われます。暖房時は暖気が上昇しやすいのに対し、冷房時は冷気が下降しやすいという違いも、吹出方式を判断するうえで大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、図の気流を見たときに「風がよく届いているからよい」と判断してしまう点です。空調では、風が強く届けば快適というわけではありません。特に冷房時は、冷風が人体に直接当たると不快感につながるため、居住域への直接的な吹下ろしは避ける必要があります。また、暖房時に有効そうな気流と冷房時に有効な気流を混同しやすい点にも注意が必要です。暖気は上へ、冷気は下へ動きやすいという空気の性質を踏まえて判断しないと、見た目だけで誤答しやすくなります。このテーマでは、冷房時は冷気の下降性、暖房時は暖気の上昇性を意識して、室内全体に均一な温度分布をつくれるかどうかで判断することが大切です。