出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|空気環境の調整第51問
問題
自然換気の換気力に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 温度差による換気力は、開口部の高さの差に比例する。
(2) 温度差による換気力は、室内外空気の密度差に比例する。
(3) 風力による換気力は、外部風速に比例する。
(4) 風力による換気力は、開口部での風圧係数に比例する。
(5) 風力による換気力は、風向きが変わると変化する。
ビル管過去問|自然換気の換気力(温度差換気・風力換気)を解説
自然換気の換気力には、室内外の温度差によって生じる温度差換気と、外部の風によって生じる風力換気があります。温度差換気は、開口部の高さの差や室内外空気の密度差が大きいほど強くなります。一方、風力換気では風速そのものではなく、風速の二乗に比例して換気力が大きくなる点が重要です。したがって、正しい選択肢は(3)であり、理由は「風力による換気力は外部風速に比例する」のではなく、外部風速の二乗に比例するためです。
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(1) 温度差による換気力は、開口部の高さの差に比例する。
適切です。温度差換気は、室内外の空気の密度差によって生じる圧力差を利用した換気です。暖かい空気は軽くなって上昇し、冷たい空気は重くなって下方に向かうため、上下に開口部があると空気の流れが生じます。このとき、上下の開口部の高さの差が大きいほど、空気を動かす力も大きくなります。煙突が高いほど上昇気流が強くなりやすいことをイメージすると理解しやすいです。
(2) 温度差による換気力は、室内外空気の密度差に比例する。
適切です。温度差換気の基本は、室内空気と外気の密度差によって圧力差が生じることです。たとえば冬期に室内が暖かく、外気が冷たい場合、室内空気は外気より軽くなります。その結果、上部の開口部から室内空気が出て、下部の開口部から外気が入る流れが生じます。室内外の温度差が大きいほど密度差も大きくなり、換気力も大きくなります。
(3) 風力による換気力は、外部風速に比例する。
不適切です。風力による換気力は、外部風速に単純に比例するのではなく、外部風速の二乗に比例します。風が建物に当たると、風上側では圧力が高くなり、風下側では圧力が低くなります。この圧力差によって空気が流れ、自然換気が起こります。風圧は風速が2倍になると2倍ではなく、おおむね4倍になります。ここが試験でよく問われる重要なポイントです。
(4) 風力による換気力は、開口部での風圧係数に比例する。
適切です。風力換気では、建物の外壁面に生じる風圧が重要です。この風圧は、外部風速だけでなく、開口部の位置や建物形状、風向きによって変わります。その影響を表すのが風圧係数です。風圧係数が大きいほど、その開口部で生じる圧力差も大きくなり、換気力に影響します。したがって、風力による換気力は風圧係数に関係します。
(5) 風力による換気力は、風向きが変わると変化する。
適切です。風力換気は、建物に対して風がどの方向から当たるかによって変化します。同じ建物でも、風上側にある開口部では正圧、風下側にある開口部では負圧が生じやすくなります。風向きが変われば、どの開口部が風上側になるか、風下側になるかも変わります。そのため、風力による換気力は風向きによって変化します。
この問題で覚えるポイント
自然換気には、温度差換気と風力換気があります。温度差換気は、室内外の温度差によって空気の密度差が生じ、その密度差によって換気力が発生する仕組みです。温度差換気の換気力は、開口部の高さの差と室内外空気の密度差に比例します。上下の開口部の高さの差が大きいほど、また室内外の温度差が大きいほど、換気力は大きくなります。 風力換気は、外部風が建物に当たることで生じる風圧差を利用した換気です。風力による換気力は、風圧係数と外部風速の二乗に関係します。ここで特に重要なのは、風速に比例するのではなく、風速の二乗に比例するという点です。風速が2倍になると、風による圧力はおおむね4倍になります。 温度差換気では「高さの差」「密度差」、風力換気では「風速の二乗」「風圧係数」「風向き」が正誤判断の中心になります。自然換気の問題では、何によって換気力が生じているのかをまず見分けることが大切です。温度差によるものなのか、風によるものなのかを整理できれば、選択肢の判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「風速に比例する」という表現です。日常感覚では、風が強くなれば換気も強くなるため、「風速に比例する」と考えてしまいやすいです。しかし、建築環境工学で扱う風圧は、風速そのものではなく風速の二乗に比例します。つまり、文章の方向性は一見正しそうでも、比例関係の対象が微妙に違うため不適切になります。 また、温度差換気と風力換気の要因を混同することも注意点です。温度差換気では高さの差や密度差が重要であり、風力換気では風速、風圧係数、風向きが重要です。問題文ではどの換気力について述べているのかを確認し、それぞれの原理に合っているかを判断する必要があります。 このテーマでは、「比例する」という言葉が出てきたときに、何に比例するのかを正確に見ることが重要です。特に風力換気では、風速ではなく風速の二乗に比例するという形で出題されやすいため、今後も同じパターンで引っかからないように覚えておくと得点につながります。