【ビル管過去問】令和7年度 問題38|赤外線・マイクロ波・レーザーの健康影響を解説

問題

赤外線、マイクロ波、レーザ光線に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 赤外線に曝露される作業として、炉前作業や硝子加工作業がある。

(2) 赤外線は、熱中症の原因となる。

(3) 白内障は、一般に、赤外線の急性曝露により生じる。

(4) マイクロ波は、生体の深部に到達し、熱作用を起こす。

(5) レーザ光線の健康影響として、網膜損傷がある。

ビル管過去問|赤外線・マイクロ波・レーザーの健康影響を解説

この問題は、赤外線、マイクロ波、レーザ光線といった非電離放射線の健康影響を正しく理解しているかを問う問題です。ポイントは、それぞれの物理的な性質と、人体のどこにどのような障害を起こしやすいかを整理して覚えることです。正しい選択肢を探すというより、「最も不適当なもの」を選ぶ問題なので、誤った因果関係や、急性か慢性かの違いを見抜くことが重要です。
結論として、最も不適当なのは(3)です。赤外線による白内障は、一般に急性曝露で生じるものではなく、比較的長期間の曝露によって発生する慢性の障害として扱われます。炉前作業やガラス作業が赤外線曝露業務に含まれること、マイクロ波が深部加熱を起こすこと、レーザ光線が網膜損傷を起こし得ることは、いずれも妥当な内容です。

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(1) 赤外線に曝露される作業として、炉前作業や硝子加工作業がある。

適切です。その理由は、赤外線は高温物体から強く放射されるためです。製鉄、製鋼、ガラス製造、炉前作業、造塊などの現場では、高熱の物体を扱うことで強い赤外線にさらされやすくなります。厚生労働省の関連通達でも、赤外線にさらされる代表的な業務として、製鉄やガラスなどの炉前作業、高熱物体取扱作業などが示されています。したがって、炉前作業や硝子加工作業を赤外線曝露作業とする記述は妥当です。

(2) 赤外線は、熱中症の原因となる。

適切です。その理由は、赤外線の主な生体影響が熱作用だからです。赤外線は物体や人体に吸収されると熱に変わり、体温上昇や局所の加熱を引き起こします。高温環境下で赤外線を強く受ける作業では、体内に熱がたまりやすくなり、熱疲労や熱けいれん、重症では熱中症につながるおそれがあります。つまり、赤外線そのものが「熱」を与える要因となるため、熱中症の発生要因の一つとして理解してよい記述です。

(3) 白内障は、一般に、赤外線の急性曝露により生じる。

不適切です。その理由は、赤外線による白内障は、一般に急性障害ではなく、比較的長期間の曝露で生じる慢性障害だからです。厚生労働省の通達でも、赤外線による白内障は、急性疾患である電気性眼炎とは異なり、比較的長期間就労している者に発生する慢性疾患であると明記されています。試験ではこの「急性」と「慢性」の取り違えが典型的なひっかけです。赤外線による眼障害としては網膜火傷や白内障などがありますが、白内障については蓄積的・慢性的に進行すると押さえておく必要があります。

(4) マイクロ波は、生体の深部に到達し、熱作用を起こす。

適切です。その理由は、マイクロ波は生体内で吸収される際に熱を発生させ、深部組織の加熱を起こし得るためです。環境省資料でも、電磁界やマイクロ波に関して、健康影響として熱作用が重要であることが示されています。電子レンジが食品内部を加熱する仕組みからもイメージしやすいですが、マイクロ波は表面だけでなく内部にエネルギーを伝え、深部加熱を引き起こします。そのため、強い曝露では深部組織の温度上昇に注意が必要です。

(5) レーザ光線の健康影響として、網膜損傷がある。

適切です。その理由は、レーザ光線は高い指向性とエネルギー密度を持ち、特に可視域から近赤外域のレーザは眼の光学系によって網膜上に集光されるため、網膜火傷や網膜障害を起こしやすいからです。安全基準の解説でも、可視部や赤外部の一部のレーザ光線は眼内で集光され、熱作用や光化学作用により網膜障害を生じることが示されています。したがって、レーザ光線の健康影響として網膜損傷があるという記述は正しいです。

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この問題で覚えるポイント

赤外線は高温物体から放射され、炉前作業やガラス加工作業のような高熱環境で曝露しやすいです。
赤外線の主な健康影響は熱作用であり、熱中症や眼障害の原因になります。
赤外線による白内障は急性障害ではなく、長期間の曝露で生じる慢性障害です。
マイクロ波は生体の深部まで影響し、深部加熱を起こす点が重要です。
レーザ光線は眼で集光されやすく、特に網膜損傷を起こしやすいことを押さえておく必要があります。

ひっかけポイント

白内障という言葉から、強い光を浴びた直後に起こる急性障害だと早合点しやすいですが、赤外線白内障は慢性障害です。
赤外線とマイクロ波はいずれも熱作用を持ちますが、赤外線は高温物体からの放射、マイクロ波は深部加熱という違いがあります。
レーザの障害は漠然と「目に悪い」と覚えるだけでは不十分で、網膜損傷につながることまで具体的に押さえる必要があります。
「最も不適当なもの」を選ぶ問題では、全体的にもっともらしい記述の中に、急性と慢性のような細かな違いを混ぜてくるので注意が必要です。

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