出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働生理第26問
問題
蛋白質並びにその分解、吸収及び代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 蛋白質は、約20種類のアミノ酸が結合してできており、内臓、筋肉、皮膚など人体の臓器等を構成する主成分である。
(2) 蛋白質は、膵(すい)臓から分泌される消化酵素である膵(すい)リパーゼなどによりアミノ酸に分解され、小腸から吸収される。
(3) 血液循環に入ったアミノ酸は、体内の各組織において蛋白質に再合成される。
(4) 肝臓では、アミノ酸から血漿蛋白質が合成される。
(5) 飢餓時には、肝臓などでアミノ酸などからブドウ糖を生成する糖新生が行われる。
第二種衛生管理者|蛋白質の消化・吸収・代謝|アミノ酸と糖新生の基礎知識を解説
蛋白質は、アミノ酸が多数結合してできた栄養素で、体の組織をつくる材料になるだけでなく、分解・吸収された後に再び体内で蛋白質として合成されたり、必要に応じてエネルギー代謝にも関わったりします。答えは(2)です。膵リパーゼは脂質を分解する消化酵素であり、蛋白質をアミノ酸に分解する酵素ではありません。蛋白質の消化では、胃液中のペプシンや膵液中のトリプシンなどの蛋白質分解酵素が重要です。

(1) 蛋白質は、約20種類のアミノ酸が結合してできており、内臓、筋肉、皮膚など人体の臓器等を構成する主成分である。
適切です。蛋白質は、約20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできた高分子化合物です。筋肉、皮膚、内臓、血液成分、酵素、ホルモンなど、人体の構成や機能維持に広く関わっています。衛生管理者試験では、蛋白質は単なるエネルギー源ではなく、体をつくる主な材料である点を押さえることが大切です。
(2) 蛋白質は、膵(すい)臓から分泌される消化酵素である膵(すい)リパーゼなどによりアミノ酸に分解され、小腸から吸収される。
不適切です。膵リパーゼは脂質を分解する消化酵素であり、蛋白質を分解する酵素ではありません。蛋白質は、主に胃液中のペプシン、膵液中のトリプシンなどの蛋白質分解酵素によって、ペプチドやアミノ酸へと分解されます。その後、小腸から吸収されます。文章の後半にある「アミノ酸に分解され、小腸から吸収される」という流れは正しいですが、消化酵素として膵リパーゼを挙げている点が誤りです。
(3) 血液循環に入ったアミノ酸は、体内の各組織において蛋白質に再合成される。
適切です。小腸で吸収されたアミノ酸は血液中に入り、体内の各組織へ運ばれます。そして、筋肉、皮膚、酵素、ホルモンなど、その組織に必要な蛋白質の材料として再合成されます。食事で摂取した蛋白質がそのまま体の蛋白質になるのではなく、いったんアミノ酸まで分解され、吸収後に必要な形の蛋白質へ作り替えられる点が重要です。
(4) 肝臓では、アミノ酸から血漿蛋白質が合成される。
適切です。肝臓は、アミノ酸を材料としてアルブミンなどの血漿蛋白質を合成します。血漿蛋白質は、血液中の水分保持、物質の運搬、血液凝固などに関わる重要な成分です。肝臓は栄養素の代謝や解毒だけでなく、体内で必要な蛋白質を作る働きも持っています。
(5) 飢餓時には、肝臓などでアミノ酸などからブドウ糖を生成する糖新生が行われる。
適切です。糖新生とは、糖質以外の物質からブドウ糖を作る働きです。飢餓時や空腹時には、体内のブドウ糖が不足しやすくなるため、肝臓などでアミノ酸や乳酸などを材料としてブドウ糖が作られます。脳や赤血球など、ブドウ糖を重要なエネルギー源とする組織を維持するための仕組みです。
この問題で覚えるポイント
蛋白質は約20種類のアミノ酸が結合してできた栄養素で、筋肉、皮膚、内臓、酵素、ホルモン、血漿蛋白質などの材料になります。蛋白質はそのまま吸収されるのではなく、胃液中のペプシンや膵液中のトリプシンなどにより分解され、最終的にアミノ酸として小腸から吸収されます。膵リパーゼは脂質を分解する酵素であり、蛋白質分解酵素ではありません。吸収されたアミノ酸は血液で運ばれ、各組織で必要な蛋白質に再合成されます。肝臓ではアミノ酸から血漿蛋白質が合成され、飢餓時にはアミノ酸などからブドウ糖を作る糖新生も行われます。蛋白質の問題では、消化酵素の名称、吸収される形、肝臓での代謝、糖新生との関係をセットで覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、蛋白質の説明の中に脂質分解酵素である膵リパーゼを混ぜている点です。文章全体を見ると「アミノ酸に分解される」「小腸から吸収される」という正しい内容が含まれているため、流れだけで判断すると正しい選択肢に見えてしまいます。しかし、消化酵素は栄養素ごとに対応関係があります。アミラーゼは糖質、リパーゼは脂質、ペプシンやトリプシンは蛋白質という対応を押さえておく必要があります。一部だけ正しい文章に、重要な用語の入れ替えを混ぜるのは衛生管理者試験でよく使われる出題パターンです。
