出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第27問
問題
感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に温覚の方が冷覚よりも鋭敏である。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
(5) 中耳にある鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
第二種衛生管理者|感覚器の働きと人体の感覚機能|視覚・嗅覚・深部感覚の基礎知識を解説
感覚器では、視覚、嗅覚、味覚、温度感覚、深部感覚、聴覚や平衡感覚などの基本的な仕組みが問われます。答えは(3)です。温度感覚は皮膚や粘膜に存在しますが、一般には温覚よりも冷覚の方が鋭敏です。そのため、「温覚の方が冷覚よりも鋭敏である」とする記述が誤りです。

(1) 眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを遠視という。
適切です。その理由は、遠視では眼球の前後方向の長さである眼軸が短い場合などに、光の焦点が網膜より後方に結ばれやすくなるためです。網膜上に正しく像が結ばれないため、特に近くのものを見るときに調節が必要になります。試験では、遠視は網膜の後方、近視は網膜の前方という対応で整理すると判断しやすくなります。
(2) 嗅覚と味覚は化学感覚ともいわれ、物質の化学的性質を認知する感覚である。
適切です。その理由は、嗅覚はにおい物質、味覚は味をもつ物質という、化学物質の性質を受容器が感知する感覚だからです。光を受け取る視覚、音の振動を受け取る聴覚とは異なり、嗅覚と味覚は物質そのものの化学的な刺激を認識します。そのため、化学感覚という表現は正しいです。
(3) 温度感覚は、皮膚のほか口腔(くう)などの粘膜にも存在し、一般に温覚の方が冷覚よりも鋭敏である。
不適切です。その理由は、温度感覚が皮膚や口腔などの粘膜に存在する点は正しいものの、一般には温覚よりも冷覚の方が鋭敏だからです。冷たい刺激の方が比較的感じ取りやすく、冷覚点も温覚点より多いとされています。この選択肢は前半が正しいため迷いやすいですが、後半の「温覚の方が冷覚よりも鋭敏」という部分が誤りです。
(4) 深部感覚は、筋肉や腱にある受容器から得られる身体各部の位置、運動などを認識する感覚である。
適切です。その理由は、深部感覚は筋肉、腱、関節などにある受容器によって、身体の位置や動き、力の入り具合などを感じ取る感覚だからです。目を閉じていても腕や脚の位置がある程度わかるのは、この深部感覚が働いているためです。皮膚表面で感じる痛覚、温度感覚、触覚とは区別して覚えることが大切です。
(5) 中耳にある鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
適切です。その理由は、鼓室は中耳にある空間で、耳管を通じて咽頭とつながっているためです。耳管は鼓室内の圧力を外気圧と調整する働きがあります。飛行機やエレベーターなどで耳が詰まったように感じるのは、鼓室内圧と外気圧の差が生じるためです。耳管の働きによって圧力差が調整されると、違和感が軽くなります。
この問題で覚えるポイント
感覚器の問題では、遠視は網膜の後方、近視は網膜の前方に焦点がずれるという視覚の基本を押さえることが重要です。嗅覚と味覚は化学物質の性質を認知するため化学感覚に分類されます。温度感覚は皮膚だけでなく口腔などの粘膜にも存在し、一般には冷覚の方が温覚より鋭敏です。深部感覚は筋肉、腱、関節などの受容器によって身体各部の位置や運動を認識する感覚です。中耳の鼓室は耳管によって咽頭に通じ、鼓室内圧を外気圧と等しく保つ働きがあります。これらは単語だけでなく、「どの器官が、どの刺激を、どのように感じ取るか」で整理すると正誤判断が安定します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、前半が正しい文章に、後半だけ誤った知識を混ぜている点です。温度感覚が皮膚や粘膜に存在するという部分は正しいため、そのまま正しい選択肢だと思いやすくなります。しかし、試験では「温覚と冷覚のどちらが鋭敏か」のような比較が狙われます。日常感覚では温かさも冷たさも同じように感じるため迷いやすいですが、衛生管理者試験では一般に冷覚の方が温覚より鋭敏と覚えておく必要があります。前半だけで判断せず、比較表現や方向、数値、器官名の組合せまで確認することが大切です。
