出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生第20問
問題
厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく健康保持増進対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。
(2) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。
(3) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。
(4) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。
(5) 健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできない。
第二種衛生管理者|健康保持増進対策(THP)|健康測定と健康指導の実施内容を解説
健康保持増進対策は、労働者の健康づくりを事業場全体で計画的に進める取組です。答えは(5)です。健康測定は健康指導のために行う調査や測定ですが、健康診断の結果を活用することもできます。「健康診断は疾病の早期発見、健康測定は健康づくりのため」と目的は異なりますが、健康診断の各項目の結果を健康測定に活用できないわけではありません。
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(1) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。
適切です。健康保持増進対策は、事業者が一方的に決めるものではなく、労働者の意見や事業場の実情を踏まえて進めることが重要です。衛生委員会や安全衛生委員会には、事業者側、労働者側、産業医、衛生管理者などが関わるため、職場の健康課題を共有し、実効性のある対策を検討する場として適しています。
(2) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。
適切です。健康測定は、労働者の健康状態を把握し、その結果に基づいて必要な健康指導を行うためのものです。健康指導には、運動習慣を改善するための運動指導、食生活を見直す栄養指導、歯や口腔の健康を保つ口腔保健指導、生活習慣全般に関する保健指導などが含まれます。また、心の健康づくりに関わるメンタルヘルスケアも健康保持増進対策の重要な内容です。
(3) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。
適切です。健康保持増進措置には、個人に対する取組と集団に対する取組があります。たとえば、生活習慣に課題がある労働者に対して個別に運動指導や栄養指導を行うことは個人への対応です。一方で、職場全体で健康教育を行う、運動機会を増やす、健康づくり活動を活性化するなどの取組は集団への対応です。健康づくりは、問題を抱える人だけでなく、すべての労働者を対象に進める視点が大切です。
(4) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。
適切です。健康保持増進対策では、感覚的に「健康に気をつけよう」とするだけでなく、健康診断結果、問診結果、体力測定、生活習慣に関する調査など、客観的なデータを活用することが望まれます。数値を使うことで、職場の健康課題を把握しやすくなり、目標設定や対策の効果確認もしやすくなります。
(5) 健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできない。
不適切です。健康測定が健康指導を行うために実施される調査、測定等であるという前半部分は正しい内容です。しかし、健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできます。健康診断は主に疾病の早期発見を目的としますが、その結果は労働者の健康状態を把握する重要な資料にもなります。目的の違いを理由に、健康診断結果を健康測定に使えないとするのは誤りです。
この問題で覚えるポイント
健康保持増進対策は、労働者の健康づくりを継続的、計画的に進めるための取組です。推進に当たっては、事業者だけでなく、労働者、産業医、衛生管理者などの関係者が関与し、衛生委員会等を活用することが重要です。健康測定は健康指導のために行う調査や測定であり、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔保健指導、保健指導などにつなげます。健康診断は疾病の早期発見を主な目的としますが、その結果を健康測定に活用することは可能です。個人の生活習慣改善だけでなく、職場全体を対象とした健康づくりも健康保持増進措置に含まれます。課題把握や目標設定では、健康状態を客観的に把握できる数値を活用することが望ましいです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、健康診断と健康測定の目的の違いを利用して、「健康診断の結果は健康測定に使えない」と思わせる点です。健康診断は疾病の早期発見、健康測定は健康指導というように目的は異なりますが、健康診断結果は健康状態を把握するための有用な情報です。試験では、「目的が違う」ことを「活用できない」と言い換えるパターンがよく出ます。一部だけ正しい文章でも、最後に「できない」「限られる」「含まれない」などの強い表現がある場合は、そこが誤りになりやすいので注意が必要です。
