出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生第14問
問題
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルス対策に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せはどれか。
A メンタルヘルスケアを中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行うため策定する「心の健康づくり計画」は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい。
B 「心の健康づくり計画」の策定に当たっては、プライバシー保護の観点から、衛生委員会や安全衛生委員会での調査審議は避ける。
C 「セルフケア」、「家族によるケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進する。
D 「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減する、又はこれに対処することである。
(1) A,B
(2) A,C
(3) A,D
(4) B,C
(5) C,D
第二種衛生管理者|メンタルヘルス対策の4つのケアを解説
正解は(4)です。メンタルヘルス対策では、「心の健康づくり計画」を労働安全衛生に関する計画の中に位置付け、衛生委員会等で十分に調査審議することが重要です。また、4つのケアは「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。Bは衛生委員会等での調査審議を避けるとしている点が誤りで、Cは「家族によるケア」を4つのケアに含めている点が誤りです。

(1) A,B
不適切です。Aは適切ですが、Bは不適切です。心の健康づくり計画は、メンタルヘルスケアを一時的な対応で終わらせず、中長期的な視点で継続的かつ計画的に進めるための計画です。これは各事業場の労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましいとされています。一方、Bのように衛生委員会や安全衛生委員会での調査審議を避けるという考え方は誤りです。プライバシーへの配慮は必要ですが、制度づくりや実施体制については、衛生委員会等で十分に調査審議することが求められます。
(2) A,C
不適切です。Aは適切ですが、Cは不適切です。Aの心の健康づくり計画は、事業場全体でメンタルヘルス対策を計画的に進めるための土台になります。Cは、4つのケアの内容が誤っています。指針における4つのケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。「家族によるケア」は労働者の支えとして大切な場合はありますが、指針上の4つのケアには含まれません。
(3) A,D
不適切です。AもDも適切です。Aは、心の健康づくり計画を労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましいという内容で、指針の考え方に合っています。Dのセルフケアとは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自分のストレスに気づき、予防、軽減、対処を行うことです。自分だけで全てを解決するという意味ではなく、必要に応じて相談窓口や周囲の支援につなげることも含めて考えると理解しやすいです。
(4) B,C
適切です。BとCはいずれも誤っているため、正解です。Bは、プライバシー保護を理由に衛生委員会や安全衛生委員会での調査審議を避けるとしている点が誤りです。個人情報や相談内容を不用意に扱ってはいけませんが、メンタルヘルス対策の方針、体制、教育研修、相談対応などは、衛生委員会等で調査審議することが重要です。Cは、4つのケアに「家族によるケア」を入れている点が誤りです。試験では、4つのケアの名称を正確に覚えているかがよく問われます。
(5) C,D
不適切です。Cは不適切ですが、Dは適切です。Cは、4つのケアの一つを「家族によるケア」としている点が誤りです。正しくは「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」です。Dのセルフケアは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自分のストレスを予防、軽減、対処することを指します。セルフケアは、メンタルヘルス対策の基本となる考え方であり、労働者本人が早めに不調に気づくためにも重要です。
この問題で覚えるポイント
メンタルヘルス対策では、まず「心の健康づくり計画」を中長期的な視点で継続的かつ計画的に進めることが重要です。この計画は、各事業場の労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましいとされています。計画の策定では、衛生委員会又は安全衛生委員会で十分に調査審議することが基本です。プライバシー保護は重要ですが、それは個人情報や相談内容を適切に扱うという意味であり、委員会での制度的な検討を避けるという意味ではありません。4つのケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。セルフケアは労働者自身による気づきと対処、ラインによるケアは管理監督者による職場環境の把握や相談対応、事業場内産業保健スタッフ等によるケアは産業医、衛生管理者、保健師、人事労務担当者などによる専門的支援、事業場外資源によるケアは外部の医療機関や相談機関などの活用を指します。
ひっかけポイント
このテーマでは、「家族によるケア」のように日常感覚では正しそうに見える言葉が混ぜられることがあります。家族の支援は現実には大切ですが、指針上の4つのケアには含まれません。また、プライバシー保護という正しい言葉を使って、衛生委員会等での調査審議を避けるという誤った結論に誘導するパターンにも注意が必要です。個人の相談内容を委員会で共有してよいという意味ではなく、事業場全体の仕組みや計画について調査審議することが求められる、という整理が正答につながります。メンタルヘルス対策では、用語の雰囲気で判断せず、「4つのケアの正式名称」と「心の健康づくり計画の位置付け」を正確に押さえることが大切です。
