出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働衛生第18問
問題
骨折に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 単純骨折とは、骨にひびが入った状態をいう。
(2) 複雑骨折とは、骨が多数の骨片に破砕された状態をいう。
(3) 不完全骨折では、骨折端どうしが擦れ合う軋轢(あつれき)音や変形などが認められる。
(4) 脊髄損傷が疑われる場合は、動かさないことを原則とするが、やむを得ず搬送する場合は、負傷者に振動を与えないようにするため、柔らかいマットに乗せる。
(5) 骨折に対する処置として、副子を手や足に当てるときは、骨折部分の上下の関節まで固定できる長さで、かつ、幅の広いものを用いる。
第二種衛生管理者|骨折の種類と応急処置|副子固定と脊髄損傷時の対応方法を解説
骨折の分類と応急処置の基本を確認する問題です。答えは(5)です。骨折時は、骨折部だけでなく、その上下の関節を含めて動かないように固定することが重要です。単純骨折、複雑骨折、不完全骨折などの用語は日常的な印象と試験上の意味がずれやすいため、定義を正確に覚えることが得点につながります。

(1) 単純骨折とは、骨にひびが入った状態をいう。
不適切です。単純骨折とは、骨折していても皮膚の損傷がなく、骨折部が外部と交通していない骨折をいいます。骨にひびが入った状態は、不完全骨折や亀裂骨折に近い内容です。単純骨折の「単純」は、骨折の程度が軽いという意味ではなく、皮膚が破れていない閉鎖性の骨折という意味で理解することが大切です。
(2) 複雑骨折とは、骨が多数の骨片に破砕された状態をいう。
不適切です。複雑骨折とは、骨折部の皮膚が破れ、骨折部が外部と交通している骨折をいいます。感染の危険が高い点が重要です。骨が多数の骨片に砕けた状態は、粉砕骨折といいます。「複雑」という言葉から、骨が複雑に砕けた状態を想像しやすいですが、試験では皮膚損傷の有無で判断します。
(3) 不完全骨折では、骨折端どうしが擦れ合う軋轢(あつれき)音や変形などが認められる。
不適切です。不完全骨折は、骨が完全には折れておらず、一部がつながっている状態の骨折です。そのため、骨折端どうしが大きくずれて擦れ合う軋轢音や、明らかな変形は、完全骨折でみられやすい所見です。不完全骨折では、痛みや腫れがあっても、外見上は骨折と分かりにくい場合があります。
(4) 脊髄損傷が疑われる場合は、動かさないことを原則とするが、やむを得ず搬送する場合は、負傷者に振動を与えないようにするため、柔らかいマットに乗せる。
不適切です。脊髄損傷が疑われる場合は、首や背骨を不用意に動かさないことが最優先です。やむを得ず搬送する場合は、体幹を安定させるため、硬い板などに乗せて固定するのが基本です。柔らかいマットでは体が沈み込み、脊柱が曲がったりねじれたりするおそれがあるため、損傷を悪化させる危険があります。
(5) 骨折に対する処置として、副子を手や足に当てるときは、骨折部分の上下の関節まで固定できる長さで、かつ、幅の広いものを用いる。
適切です。骨折の応急処置では、骨折部を動かさないように固定することが重要です。副子は骨折部分だけに当てるのではなく、骨折部の上下にある関節まで固定できる長さのものを用います。幅が広い副子を使うと圧力が分散され、患部への負担を減らしながら安定した固定ができます。無理に骨を戻そうとせず、安静にして医療機関へつなげることが基本です。
この問題で覚えるポイント
骨折の分類では、単純骨折は皮膚が破れていない骨折、複雑骨折は皮膚が破れて骨折部が外部と交通している骨折、粉砕骨折は骨が多数の骨片に砕けた骨折、不完全骨折は骨が完全には折れていない骨折と整理します。応急処置では、骨折部をむやみに動かさず、副子で固定します。副子は骨折部だけでなく上下の関節まで固定できる長さが必要です。脊髄損傷が疑われる場合は、首や背骨を動かさないことが原則で、搬送が必要な場合は柔らかいものではなく、硬い板などで体を安定させることが重要です。
ひっかけポイント
このテーマでは、用語の印象で判断すると誤答しやすいです。単純骨折は軽い骨折という意味ではなく、皮膚が破れていない骨折です。複雑骨折は骨が複雑に砕けた骨折ではなく、皮膚損傷を伴い外部と交通している骨折です。また、脊髄損傷では「柔らかいマットなら振動が少なく安全そう」と感じやすいですが、実際には体が沈んで脊柱が不安定になるため危険です。骨折の応急処置は、やさしく動かすことではなく、動かさないように固定することが基本です。
