【第二種衛生管理者過去問】2025年4月公表問題|問20|食中毒の基礎知識|細菌性食中毒と毒素型食中毒の特徴|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働衛生第20問

問題

食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

(2) ボツリヌス菌による毒素は、神経毒である。

(3) 黄色ブドウ球菌による毒素は、熱に強い。

(4) サルモネラ菌による食中毒は、食品に付着した菌が腸管内で増殖して発症する。

(5) ウェルシュ菌、セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。

第二種衛生管理者|食中毒の基礎知識|細菌性食中毒と毒素型食中毒の特徴を解説

食中毒では、原因菌そのものが体内で増殖して起こるものと、食品中で作られた毒素を摂取して起こるものがあります。答えは(1)です。ヒスタミンは、魚などに含まれるヒスチジンが細菌の作用で分解されてできる物質ですが、加熱しても分解されにくいため、「加熱により分解される」とする記述は誤りです。食中毒対策では、加熱すれば安全になるものと、加熱しても毒素などが残るものを区別して覚えることが大切です。

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(1) 魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

不適切です。ヒスタミンは、赤身魚などに多く含まれるヒスチジンが、細菌の酵素作用によって分解されて生成される物質です。ヒスタミンによる食中毒では、じんましん、顔面紅潮、頭痛、吐き気など、アレルギーに似た症状が現れることがあります。重要なのは、ヒスタミンは熱に強く、通常の加熱調理では分解されにくいという点です。そのため、いったんヒスタミンが多く生成された食品は、焼いたり煮たりしても安全とはいえません。試験では、「加熱すれば食中毒は防げる」と考えたくなるところですが、ヒスタミン食中毒では低温保存などにより、そもそもヒスタミンを作らせない管理が重要です。

(2) ボツリヌス菌による毒素は、神経毒である。

適切です。ボツリヌス菌は、酸素の少ない環境で増殖し、強い毒素を産生する細菌です。この毒素は神経に作用する神経毒で、ものが二重に見える、飲み込みにくい、発声しにくい、呼吸筋が麻痺するなどの重い症状を起こすことがあります。ボツリヌス毒素は、神経から筋肉への信号伝達を妨げるため、筋肉の麻痺が問題になります。食中毒の原因としては、真空包装食品、缶詰、瓶詰、発酵食品など、酸素が少ない状態で保存される食品が関係することがあります。

(3) 黄色ブドウ球菌による毒素は、熱に強い。

適切です。黄色ブドウ球菌は、人の皮膚、鼻腔、手指の傷などに存在することがある細菌です。この菌が食品中で増殖すると、エンテロトキシンという毒素を産生します。この毒素は熱に強く、食品を再加熱して菌自体を死滅させても、毒素が残って食中毒を起こすことがあります。おにぎり、弁当、菓子類など、人の手が触れやすい食品で問題になることがあります。予防には、手洗い、手指の傷の管理、食品を長時間室温に置かないことが重要です。

(4) サルモネラ菌による食中毒は、食品に付着した菌が腸管内で増殖して発症する。

適切です。サルモネラ菌による食中毒は、食品に付着した菌を摂取し、その菌が腸管内で増殖することで発症します。主な症状は、腹痛、下痢、発熱、嘔吐などです。原因食品としては、卵、食肉、加熱不十分な食品などが代表的です。黄色ブドウ球菌のように「食品中で作られた毒素を食べて発症する」タイプとは異なり、サルモネラ菌では体内に入った菌の増殖が重要になります。この違いは、細菌性食中毒の正誤判断でよく問われます。

(5) ウェルシュ菌、セレウス菌及びカンピロバクターは、いずれも細菌性食中毒の原因菌である。

適切です。ウェルシュ菌、セレウス菌、カンピロバクターはいずれも細菌性食中毒の原因となる菌です。ウェルシュ菌は、カレー、シチュー、煮物などを大量調理した後に不適切な温度で保存した場合に増殖しやすい菌です。セレウス菌は、米飯、チャーハン、スパゲッティなどで問題になることがあり、嘔吐型と下痢型があります。カンピロバクターは、鶏肉の加熱不足などで発生しやすく、少量の菌でも食中毒を起こすことがあります。名称が複数並ぶ選択肢では、一つでも誤りがあれば不適切になりますが、この選択肢はすべて細菌性食中毒の原因菌です。

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この問題で覚えるポイント

食中毒では、菌が体内で増殖して発症する感染型、食品中で菌が作った毒素を摂取して発症する毒素型、食品中に生成された化学物質で起こるものを区別することが重要です。ヒスタミンは、魚などに含まれるヒスチジンから細菌の作用で生成され、加熱しても分解されにくい点が試験で狙われます。黄色ブドウ球菌の毒素も熱に強く、再加熱しても食中毒を防げない場合があります。ボツリヌス菌の毒素は神経毒で、麻痺症状を起こす重い食中毒として覚えます。サルモネラ菌やカンピロバクターは、食品に付着した菌を摂取し、腸管内で増殖して症状を起こす代表例です。ウェルシュ菌は大量調理後の不適切な保存、セレウス菌は米飯類など、原因食品のイメージも合わせて押さえると正誤判断がしやすくなります。加熱により安全性が高まる場合は多いですが、熱に強い毒素やヒスタミンのように、加熱後も問題が残るものがある点を必ず覚えてください。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「食中毒は加熱すれば防げる」という日常感覚にあります。多くの細菌は加熱で死滅しますが、すでに食品中に作られた毒素やヒスタミンは、加熱しても分解されにくいものがあります。特にヒスタミンは、細菌そのものではなく、細菌の作用で食品中に生成された物質であるため、菌を殺す発想だけでは判断を誤ります。また、黄色ブドウ球菌の毒素も熱に強いため、「菌は熱に弱い」と「毒素も熱に弱い」を混同しないことが大切です。食中毒の問題では、原因菌名だけで判断するのではなく、感染型なのか、毒素型なのか、加熱で防げるのか、防げないのかをセットで確認する習慣を持つと、同じパターンの問題にも対応しやすくなります。

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