出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令第10問
問題
年次有給休暇(以下「休暇」という。)に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。
(1) 休暇の期間については、原則として、最低賃金又は平均賃金の100分の60の額の手当を支払わなければならない。
(2) 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、休暇を与える時季に関する定めをしたときは、休暇のうち3日を超える部分については、その定めにより休暇を与えることができる。
(3) 法令に基づく育児休業又は介護休業で休業した期間は、出勤率の算定に当たっては、全労働日から除外して算出することができる。
(4) 一週間の所定労働時間が30時間で、一週間の所定労働日数が4日である労働者であって、雇入れの日から起算して3年6か月間継続勤務し、直前の1年間に、全労働日の8割以上出勤したものには、継続し、又は分割した14労働日の休暇を新たに与えなければならない。
(5) 休暇の請求権は、これを1年間行使しなければ時効によって消滅する。
第二種衛生管理者|第二種衛生管理者過去問|年次有給休暇の付与条件と日数計算を解説を解説
年次有給休暇は、継続勤務期間、出勤率、週所定労働日数、週所定労働時間によって付与日数が決まります。答えは(4)です。週所定労働時間が30時間以上の労働者は、週所定労働日数が4日であっても比例付与ではなく通常の付与日数が適用され、3年6か月継続勤務後は14日が付与されます。

(1) 休暇の期間については、原則として、最低賃金又は平均賃金の100分の60の額の手当を支払わなければならない。
不適切です。その理由は、年次有給休暇中の賃金は、原則として通常の賃金、平均賃金、または健康保険法の標準報酬日額に相当する金額のいずれかによって支払われるためです。平均賃金の100分の60という考え方は、使用者の責めに帰すべき事由による休業手当の基準であり、年次有給休暇の賃金とは異なります。有給休暇は、労働者が賃金を失うことなく休める制度ですので、最低賃金や休業手当のような低い補償額として考えないことが大切です。
(2) 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(その労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、休暇を与える時季に関する定めをしたときは、休暇のうち3日を超える部分については、その定めにより休暇を与えることができる。
不適切です。その理由は、労使協定による計画的付与ができるのは、年次有給休暇のうち5日を超える部分だからです。労働者が自由に取得できる日数として、少なくとも5日は残しておかなければなりません。この選択肢は「3日を超える部分」としており、労働者が自由に取得できる日数を5日ではなく3日と誤らせる内容になっています。試験では、計画的付与は「5日を残す」と覚えておくと判断しやすくなります。
(3) 法令に基づく育児休業又は介護休業で休業した期間は、出勤率の算定に当たっては、全労働日から除外して算出することができる。
不適切です。その理由は、法令に基づく育児休業または介護休業をした期間は、年次有給休暇の出勤率の算定において、出勤したものとみなされるためです。全労働日から除外するのではありません。年次有給休暇の付与には、直前の1年間に全労働日の8割以上出勤していることが必要ですが、育児休業や介護休業を理由に不利に扱わないよう、出勤扱いとされます。除外するのか、出勤したものとみなすのかは混同しやすいので注意が必要です。
(4) 一週間の所定労働時間が30時間で、一週間の所定労働日数が4日である労働者であって、雇入れの日から起算して3年6か月間継続勤務し、直前の1年間に、全労働日の8割以上出勤したものには、継続し、又は分割した14労働日の休暇を新たに与えなければならない。
適切です。その理由は、週所定労働時間が30時間以上の労働者には、通常の年次有給休暇の付与日数が適用されるためです。週所定労働日数が4日であっても、週所定労働時間が30時間であれば短時間労働者の比例付与ではなく、通常の労働者と同じ基準で判断します。通常の付与日数では、雇入れから3年6か月継続勤務し、直前1年間の出勤率が8割以上であれば、14労働日の年次有給休暇が新たに付与されます。週4日勤務という部分だけを見て比例付与と判断しないことが重要です。
(5) 休暇の請求権は、これを1年間行使しなければ時効によって消滅する。
不適切です。その理由は、年次有給休暇の請求権は2年間で時効により消滅するためです。1年間ではありません。年次有給休暇は毎年発生しますが、発生した休暇を使わなかった場合でも、翌年度に繰り越すことができ、時効は2年です。試験では、年次有給休暇の時効は「2年」と数字で問われることが多いため、確実に押さえておきましょう。
この問題で覚えるポイント
年次有給休暇は、雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与されます。その後は、継続勤務年数に応じて付与日数が増えていきます。週所定労働時間が30時間以上であれば、週所定労働日数が少なくても通常の付与日数が適用されます。比例付与が問題になるのは、原則として週所定労働時間が30時間未満で、かつ週所定労働日数が4日以下などの場合です。年次有給休暇中の賃金は、通常の賃金、平均賃金、または労使協定に基づく健康保険法の標準報酬日額相当額などによって支払われます。平均賃金の100分の60は休業手当の基準であり、有給休暇の賃金とは異なります。労使協定による計画的付与では、労働者が自由に取得できる日数として5日を残さなければなりません。育児休業、介護休業、業務上の傷病による休業、産前産後休業などは、出勤率の算定において出勤したものとみなされます。年次有給休暇の請求権の時効は2年です。
ひっかけポイント
このテーマでは、数字の微妙な違いで誤答に誘導されやすいです。計画的付与は「3日を超える部分」ではなく「5日を超える部分」、時効は「1年」ではなく「2年」です。また、週所定労働日数が4日と書かれていると比例付与を連想しやすいですが、週所定労働時間が30時間以上であれば通常の付与日数を使います。育児休業や介護休業についても、全労働日から除外するのではなく、出勤したものとみなす点が重要です。日常感覚では「休んでいる期間だから出勤率から外す」と考えがちですが、労働基準法では不利益を防ぐために出勤扱いとしています。年次有給休暇では、休業手当、計画的付与、比例付与、出勤率、時効が組み合わされて出題されるため、似た制度の数字を混同しないことが得点につながります。
