出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|関係法令第4問
問題
労働安全衛生規則に基づく医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1) 雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2) 雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35歳及び40歳の者並びに45歳以上の者に対しては、1,000Hz及び4,000Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3) 深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行っているが、胸部エックス線検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行っている。
(4) 事業場において実施した定期健康診断の結果、健康診断項目に異常所見があると診断された労働者については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師から意見聴取を行っている。
(5) 常時50人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行っているが、雇入時の健康診断の結果については報告を行っていない。
第二種衛生管理者|健康診断の実施基準|雇入時健診と定期健康診断のルールを解説
健康診断の実施時期、省略できる項目、医師からの意見聴取、労働基準監督署長への報告義務を整理して判断する問題です。答えは(2)です。雇入時健康診断の聴力検査は、年齢によって簡易な方法に置き換える定期健康診断のルールとは異なり、原則として1,000Hz及び4,000Hzの音に係る聴力検査が必要です。定期健康診断の聴力検査の省略・簡略化ルールを、雇入時健康診断にもそのまま当てはめている点が誤りです。

(1) 雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
適切です。雇入時健康診断では、採用前にすでに医師による健康診断を受けており、その健康診断を受けた日から3か月を経過していない場合には、健康診断結果を証明する書面を提出することで、該当する項目を省略できます。これは、短期間のうちに同じ検査を繰り返す必要性が低いことを踏まえた取扱いです。ただし、省略できるのは提出された書面で確認できる項目に相当するものに限られます。
(2) 雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35歳及び40歳の者並びに45歳以上の者に対しては、1,000Hz及び4,000Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
不適切です。雇入時健康診断の聴力検査では、原則として1,000Hz及び4,000Hzの音に係る聴力を検査します。選択肢のように、35歳、40歳、45歳以上といった年齢区分により、その他の年齢の者について医師が適当と認める方法で行うという扱いは、定期健康診断に関するルールと混同したものです。雇入時健康診断は、採用時点で労働者の健康状態を確認し、配置や就業上の配慮につなげるためのものなので、定期健康診断よりも一律に確認すべき性格が強いと押さえると理解しやすいです。
(3) 深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行っているが、胸部エックス線検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行っている。
適切です。深夜業を含む業務など、特定業務に常時従事する労働者には、6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行う必要があります。ただし、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に行えばよいとされています。ここでは、健康診断全体の頻度は6か月以内ごと、胸部エックス線検査は1年以内ごとという違いを押さえることが重要です。
(4) 事業場において実施した定期健康診断の結果、健康診断項目に異常所見があると診断された労働者については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師から意見聴取を行っている。
適切です。健康診断の結果、異常所見があると診断された労働者については、事業者は医師または歯科医師から意見を聴く必要があります。定期健康診断の場合、医師からの意見聴取は、健康診断が行われた日から3か月以内に行うこととされています。これは、異常所見を単なる検査結果として終わらせず、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮など、必要な就業上の措置につなげるための手続です。
(5) 常時50人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行っているが、雇入時の健康診断の結果については報告を行っていない。
適切です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断を実施したとき、その結果を所轄労働基準監督署長に報告する必要があります。一方、雇入時健康診断については、労働基準監督署長への報告義務はありません。ここでは、健康診断を実施する義務と、結果を行政へ報告する義務は別のものとして整理することが大切です。
この問題で覚えるポイント
雇入時健康診断では、医師による健康診断を受けてから3か月以内の者が、その結果を証明する書面を提出した場合、その項目に相当する検査を省略できます。雇入時健康診断の聴力検査は、原則として1,000Hz及び4,000Hzの音について行います。定期健康診断では、年齢により聴力検査の方法が異なる場合がありますが、このルールを雇入時健康診断にそのまま当てはめてはいけません。深夜業などの特定業務従事者には、6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行いますが、胸部エックス線検査は1年以内ごとに1回でよい点が重要です。健康診断で異常所見がある労働者については、事業者は医師から意見を聴く必要があり、定期健康診断では健康診断実施日から3か月以内に行います。常時50人以上の事業場では、定期健康診断の結果を遅滞なく所轄労働基準監督署長へ報告しますが、雇入時健康診断の結果は報告対象ではありません。
ひっかけポイント
この問題の大きな罠は、雇入時健康診断と定期健康診断のルールを混同させる点です。特に聴力検査は、35歳、40歳、45歳以上という年齢区分が出てくるため、見覚えのある知識として正しいように感じやすいです。しかし、それは定期健康診断で問われやすい考え方であり、雇入時健康診断では原則として1,000Hz及び4,000Hzの音について検査します。また、6か月以内ごとの健康診断と1年以内ごとの胸部エックス線検査のように、同じ健康診断の中でも実施頻度が異なる項目があります。さらに、健康診断は実施すればすべて報告が必要だと考えると、雇入時健康診断の報告義務で迷いやすくなります。試験では、健康診断の種類、対象者、実施時期、省略の可否、報告義務を分けて整理することが正誤判断の決め手になります。
