出典:第二種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働衛生第20問
問題
食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。
(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。
(3) O-157は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。
(4) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1~2日間である。
(5) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
第二種衛生管理者|食中毒の種類と原因菌一覧|毒素型・感染型食中毒の特徴を解説を解説
食中毒では、原因となる細菌やウイルスの特徴、毒素型と感染型の違い、発生しやすい食品や季節が問われます。答えは(5)です。腸炎ビブリオ菌は海産魚介類に関係しやすい食中毒菌ですが、熱に強い菌ではなく、加熱により死滅しやすい性質があります。食中毒の問題では、「原因菌名」と「毒素型か感染型か」、「熱に強いか弱いか」、「潜伏期間」などを組み合わせて覚えることが大切です。

(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。
適切です。毒素型食中毒は、食品中で細菌が増殖し、その過程で産生された毒素を摂取することで発症する食中毒です。代表例には、ボツリヌス菌や黄色ブドウ球菌があります。ボツリヌス菌は強い神経毒素を産生し、重症化すると呼吸筋の麻痺などを起こすことがあります。毒素型は、細菌そのものが体内で増えることよりも、食品中にすでに存在する毒素が問題になる点が特徴です。
(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。
適切です。感染型食中毒は、食品とともに摂取した細菌が腸管内で増殖し、炎症などを起こすことで発症します。代表例には、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクターなどがあります。毒素を摂取することが主な原因となる毒素型とは異なり、感染型では体内に入った細菌そのものの増殖や作用が問題になります。
(3) O-157は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。
適切です。O-157は腸管出血性大腸菌の代表的な種類で、ベロ毒素を産生します。症状としては、激しい腹痛、水様性下痢、血便などがみられることがあります。重症化すると溶血性尿毒症症候群を起こすこともあるため、衛生管理上とても重要な食中毒原因菌です。試験では「O-157=腸管出血性大腸菌=ベロ毒素」と結び付けて覚えると判断しやすくなります。
(4) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1~2日間である。
適切です。ノロウイルスによる食中毒は、冬季に多く発生し、学校、施設、飲食店などで集団発生することがあります。潜伏期間は一般に1~2日程度で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などを起こします。細菌性食中毒とは異なり、ウイルスが原因であるため、食品の加熱、手洗い、嘔吐物の適切な処理などが予防上重要です。
(5) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
不適切です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではありません。海水中に存在し、魚介類、とくに刺身などの生食を通じて食中毒の原因となることがありますが、十分な加熱により死滅しやすい性質があります。また、真水や低温にも比較的弱いとされます。腸炎ビブリオ菌で重要なのは、「魚介類」「夏季に多い」「感染型食中毒」「加熱で死滅しやすい」という特徴です。「熱に強い」とする記述は誤りです。
この問題で覚えるポイント
食中毒は、まず毒素型、感染型、ウイルス性に分けて整理すると正誤判断がしやすくなります。毒素型食中毒は、食品中で細菌が産生した毒素を摂取して起こるもので、ボツリヌス菌や黄色ブドウ球菌が代表例です。感染型食中毒は、食品とともに摂取した細菌そのものが腸管内で増殖して起こるもので、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクターなどが代表例です。O-157は腸管出血性大腸菌で、ベロ毒素を産生し、腹痛、水様性下痢、血便などを起こします。ノロウイルスは冬季に多く、集団食中毒の原因になりやすく、潜伏期間はおおむね1~2日です。腸炎ビブリオ菌は魚介類と関係が深く、夏季に多く、熱に強いのではなく加熱で死滅しやすい点を覚えてください。熱に強いかどうかは試験でよく問われるため、菌名だけでなく性質までセットで押さえることが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、腸炎ビブリオ菌について「魚介類に関係する菌だからしぶとそう」「海水中にいる菌だから強そう」と感じさせて、「熱に強い」と誤認させる点です。実際には、腸炎ビブリオ菌は加熱に弱く、十分な加熱処理で予防できます。また、毒素型と感染型の混同もよくある罠です。ボツリヌス菌は毒素型、サルモネラ菌や腸炎ビブリオ菌は感染型として整理しておくと、似た問題でも迷いにくくなります。食中毒の問題では、文章の前半が正しくても、最後に「熱に強い」「潜伏期間」「原因食品」などを少しずらして誤りにするパターンがよく出ます。原因菌名を見たら、分類、代表食品、季節、毒素の有無、熱への強さを同時に確認する習慣をつけると得点につながります。
