出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第26問
問題
血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 赤血球は、骨髄で産生され、寿命は約120日で、血球の中で最も多い。
(2) 血液中に占める赤血球の容積の割合をヘマトクリットといい、貧血になるとその値は低くなる。
(3) 好中球は、白血球の約60%を占め、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(4) リンパ球は、白血球の約30%を占め、Tリンパ球、Bリンパ球などの種類があり、免疫反応に関与している。
(5) ABO式血液型は、白血球による血液型分類の一つで、A型血液の血清は抗B抗体をもつ。
第二種衛生管理者|血液の成分と赤血球・白血球・血液型の基礎知識を解説
血液の成分、血球の働き、白血球の種類、ABO式血液型の基本を確認する内容です。誤っているのは(5)です。ABO式血液型は白血球ではなく、赤血球表面にある抗原の違いによる分類です。A型の血清が抗B抗体をもつという部分は正しいですが、「白血球による血液型分類」という部分が誤りです。

(1) 赤血球は、骨髄で産生され、寿命は約120日で、血球の中で最も多い。
適切です。赤血球は主に骨髄で作られ、血液中の血球成分の中で最も数が多い細胞です。赤血球にはヘモグロビンが含まれており、肺で取り込んだ酸素を全身の組織へ運ぶ重要な働きをしています。寿命は約120日で、古くなった赤血球は主に脾臓などで処理されます。試験では、赤血球は酸素運搬、骨髄で産生、寿命約120日、血球中で最多という組合せで覚えておくと判断しやすくなります。
(2) 血液中に占める赤血球の容積の割合をヘマトクリットといい、貧血になるとその値は低くなる。
適切です。ヘマトクリットとは、血液全体に対して赤血球が占める容積の割合を示す値です。貧血では赤血球数やヘモグロビン量が減少するため、血液中で赤血球が占める割合も低くなりやすく、ヘマトクリット値は低下します。ヘマトクリットは白血球や血小板の割合ではなく、赤血球の容積割合である点が重要です。
(3) 好中球は、白血球の約60%を占め、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
適切です。好中球は白血球の中で最も多く、全体の約60%を占めます。体内に細菌などの異物が侵入すると、好中球は偽足を出してアメーバのように移動し、異物を取り込んで分解します。この働きを貪食作用といいます。感染防御の初期に重要な役割を果たすため、好中球は細菌感染、貪食作用、白血球中最多という形で整理しておくとよいです。
(4) リンパ球は、白血球の約30%を占め、Tリンパ球、Bリンパ球などの種類があり、免疫反応に関与している。
適切です。リンパ球は白血球の一種で、免疫反応に深く関わります。Tリンパ球は細胞性免疫などに関与し、Bリンパ球は抗体産生に関係します。白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などがありますが、リンパ球は特に免疫の中心的な役割をもつものとして出題されます。おおよそ白血球の約30%を占めるという数値も押さえておきましょう。
(5) ABO式血液型は、白血球による血液型分類の一つで、A型血液の血清は抗B抗体をもつ。
不適切です。ABO式血液型は、白血球ではなく赤血球表面に存在するA抗原、B抗原の有無によって分類されます。A型の赤血球にはA抗原があり、血清中には抗B抗体があります。B型ではB抗原と抗A抗体、AB型ではA抗原とB抗原があり抗A抗体も抗B抗体もなく、O型ではA抗原もB抗原もなく抗A抗体と抗B抗体をもちます。この選択肢は、後半の「A型血液の血清は抗B抗体をもつ」は正しいものの、前半の「白血球による血液型分類」が誤りです。一部だけ正しい文章に注意が必要です。
この問題で覚えるポイント
赤血球は骨髄で産生され、寿命は約120日で、血球の中で最も多く、ヘモグロビンにより酸素を運搬します。ヘマトクリットは血液中に占める赤血球の容積割合であり、貧血では低下します。好中球は白血球の約60%を占め、細菌などを貪食する働きがあります。リンパ球は白血球の約30%を占め、Tリンパ球やBリンパ球として免疫反応に関与します。ABO式血液型は赤血球表面の抗原による分類であり、白血球による分類ではありません。A型は赤血球にA抗原をもち、血清に抗B抗体をもつという対応関係を覚えることが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、「文章の一部は正しいが、分類の対象がすり替えられている」点です。A型血液の血清が抗B抗体をもつという記述は正しいため、そこだけを見て正しいと判断しやすくなります。しかし、ABO式血液型は白血球ではなく赤血球表面の抗原による分類です。血液の問題では、赤血球、白血球、血小板、血清、抗原、抗体の役割が混ざりやすいため、「何に存在するものか」「何を分類しているのか」を確認することが重要です。特に、血液型では赤血球側に抗原、血清側に抗体があるという対応を意識すると、同じタイプのひっかけにも対応しやすくなります。
