出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|関係法令第2問
問題
衛生管理者が管理すべき業務として、法令上、定められていないものは次のうちどれか。ただし、次のそれぞれの業務のうち衛生に係る技術的事項に限るものとする。
(1) 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
(2) 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
(3) 少なくとも毎日1回作業場等を巡視し、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずること。
(4) 化学物質等による危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
(5) 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
第二種衛生管理者|衛生管理者の職務と管理すべき業務内容を解説
衛生管理者の職務として法令上定められている業務と、衛生管理者個人の職務ではない業務を見分ける問題です。答えは(3)です。衛生管理者には、少なくとも毎週1回作業場等を巡視する義務がありますが、選択肢では「少なくとも毎日1回」とされているため誤りです。毎日1回以上の巡視が求められるのは、衛生管理者ではなく産業医の巡視でもありません。産業医も原則として毎月1回の巡視ですので、巡視頻度の数字を正確に覚えることが重要です。

(1) 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
適切です。衛生管理者が管理すべき業務には、労働者の健康障害を防止するための措置に関する技術的事項が含まれます。労働災害が発生した場合、その原因を調査し、同じような災害が再び起こらないように対策を検討することは、職場の衛生管理に直結する重要な業務です。たとえば、有害物質へのばく露、換気不良、作業環境の不備、作業姿勢による健康障害などが関係する場合、衛生管理者は専門的立場から原因を確認し、改善策につなげる役割を担います。
(2) 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
適切です。安全衛生に関する方針の表明そのものは事業者が行うべき基本的な事項ですが、衛生管理者が管理すべき業務には、安全衛生に関する方針の表明に関する衛生面の技術的事項も含まれます。つまり、衛生管理者が会社の代表者として方針を表明するという意味ではなく、職場の衛生管理を進めるうえで、方針の内容が適切なものとなるように技術的に関与するという理解が大切です。
(3) 少なくとも毎日1回作業場等を巡視し、衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずること。
不適切です。衛生管理者の巡視は、少なくとも毎週1回行うものとされています。選択肢のように「毎日1回」ではありません。作業場を巡視し、設備、作業方法、作業環境などに衛生上有害のおそれがある場合には、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じる点は正しい内容です。しかし、巡視の頻度が「毎日1回」とされているため、法令上の定めとは異なります。この問題では、文章の後半が正しくても、数字が違うため誤りになる典型的な出題です。
(4) 化学物質等による危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
適切です。化学物質等を取り扱う職場では、危険性や有害性を調査し、その結果に基づいて必要な措置を講じることが重要です。これはリスクアセスメントに関する内容であり、衛生管理者が管理すべき衛生に係る技術的事項に含まれます。たとえば、有害な化学物質を吸い込むおそれがある場合には、換気装置の設置、保護具の使用、作業手順の見直し、ばく露防止措置などが必要になります。衛生管理者は、こうした健康障害防止の観点から職場の管理に関わります。
(5) 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
適切です。健康診断の実施や、労働者の健康保持増進のための措置は、衛生管理者が管理すべき業務に含まれます。健康診断は単に受診させるだけでなく、結果に応じて就業上の措置や保健指導につなげることが重要です。また、過重労働対策、メンタルヘルス対策、生活習慣病予防、作業環境の改善なども、労働者の健康を守るための衛生管理に関係します。衛生管理者は、事業場の健康管理体制を支える実務上の中心的な役割を持ちます。
この問題で覚えるポイント
衛生管理者が管理すべき業務は、労働者の健康障害を防止するための措置、作業環境の衛生上の調査、作業条件や施設等の衛生上の改善、労働衛生保護具や救急用具等の点検整備、衛生教育、健康診断その他健康の保持増進、労働災害の原因調査と再発防止対策など、衛生に係る技術的事項です。特に試験では、衛生管理者の巡視頻度が問われやすく、少なくとも毎週1回作業場等を巡視すると覚えることが重要です。巡視の際に、設備、作業方法、衛生状態などに有害のおそれがある場合には、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じます。健康診断、化学物質のリスクアセスメント、労働災害の再発防止などは、いずれも衛生管理者の職務と結び付けて判断します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「業務内容そのものは正しいが、頻度の数字だけが違う」という点です。作業場を巡視して、有害のおそれがあれば必要な措置を講じるという内容は衛生管理者の職務として正しいため、つい正しい選択肢に見えてしまいます。しかし、衛生管理者の巡視は毎日1回ではなく、少なくとも毎週1回です。試験では、「毎日」「毎週」「毎月」などの頻度を入れ替えて誤りにする出題がよくあります。また、安全衛生に関する方針の表明は事業者の役割という印象が強いため、これを誤りと判断したくなる点も注意が必要です。設問では「衛生に係る技術的事項に限る」と条件が付いているため、方針の表明に関する衛生面の技術的事項も衛生管理者の管理業務として扱われます。
