【第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問32|一次救命処置・心肺蘇生法・AED使用手順|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第32問

問題

一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 傷病者に反応がある場合は、回復体位をとらせて安静にして、経過を観察する。

(2) 一次救命処置は、できる限り単独で行うことは避ける。

(3) 口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに3秒以上かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込む。

(4) 胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。

(5) AED(自動体外式除細動器)による心電図の自動解析の結果、「ショックは不要です」などのメッセージが流れた場合には、すぐに胸骨圧迫を再開し心肺蘇(そ)生を続ける。

第1種衛生管理者|一次救命処置・心肺蘇生法・AED使用手順を解説

一次救命処置では、反応の確認、協力者の確保、胸骨圧迫、人工呼吸、AEDの使用手順を正しく理解することが重要です。答えは(3)です。口対口人工呼吸は、1回約1秒かけて胸の上がりが見える程度に吹き込むのが基本であり、「3秒以上かけて」という部分が誤りです。胸骨圧迫は約5cmの深さ、1分間に100~120回のテンポで行い、AEDが「ショック不要」と判断した場合でも、ただちに胸骨圧迫を再開します。

実物イメージを見る

自動体外式除細動器AED

下に移動する

【第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問32|一次救命処置・心肺蘇生法・AED使用手順|労働衛生(有害業務以外)を解説する画像__1syu-2021-04-eisei-q32

下に移動する

(1) 傷病者に反応がある場合は、回復体位をとらせて安静にして、経過を観察する。

適切です。反応があり、普段どおりの呼吸が確認できる場合には、気道を確保しやすい姿勢で安静にさせ、状態を観察します。回復体位は、意識がはっきりしない傷病者が嘔吐した場合などに、吐物で気道がふさがることを防ぎやすい姿勢です。ただし、状態は変化することがあるため、救急隊が到着するまで呼吸や反応を継続して確認することが大切です。

(2) 一次救命処置は、できる限り単独で行うことは避ける。

適切です。一次救命処置では、119番通報、AEDの手配、胸骨圧迫、周囲の安全確保など、同時に行うべきことが多くあります。単独で対応すると、通報やAEDの準備が遅れたり、胸骨圧迫を継続できなくなったりするおそれがあります。そのため、周囲に人がいる場合は大声で助けを求め、役割を分担することが重要です。

(3) 口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに3秒以上かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込む。

不適切です。口対口人工呼吸では、傷病者の鼻をつまみ、胸の上がりが見える程度に息を吹き込みますが、1回の吹き込みは約1秒かけて行います。「3秒以上かける」という記述は長すぎます。吹き込みに時間をかけすぎると、胸骨圧迫の中断時間が長くなり、脳や心臓へ送られる血液量が低下します。心肺蘇生では、人工呼吸よりも胸骨圧迫の中断をできるだけ短くすることが重視されます。

(4) 胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。

適切です。成人に対する胸骨圧迫は、胸の中央を約5cm沈む程度の深さで、1分間に100~120回のテンポで行います。圧迫が浅すぎると十分な血液を送り出せず、遅すぎても循環を維持しにくくなります。また、圧迫後は胸が元の位置に戻るようにして、次の圧迫で十分な血液を送り出せるようにすることも重要です。

(5) AED(自動体外式除細動器)による心電図の自動解析の結果、「ショックは不要です」などのメッセージが流れた場合には、すぐに胸骨圧迫を再開し心肺蘇(そ)生を続ける。

適切です。AEDが「ショックは不要です」と判断した場合でも、心肺蘇生をやめてよいという意味ではありません。心停止や重篤な状態が続いている可能性があるため、AEDの音声指示に従い、ただちに胸骨圧迫を再開します。AEDは電気ショックが必要な心電図かどうかを判断する機器であり、ショック不要の表示は「処置終了」ではない点を押さえておく必要があります。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

一次救命処置では、まず周囲の安全を確認し、反応を確認し、反応がなければ大声で協力者を呼び、119番通報とAEDの手配を依頼します。普段どおりの呼吸がない場合、または呼吸の判断に迷う場合は、心停止とみなして胸骨圧迫を開始します。成人の胸骨圧迫は胸の中央を約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行います。人工呼吸を行う場合は、気道を確保し、鼻をつまみ、胸の上がりが見える程度に約1秒かけて吹き込みます。胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせる場合は、胸骨圧迫30回に対して人工呼吸2回が基本です。AEDを装着したら音声指示に従い、解析中やショック実施時は傷病者に触れないようにします。「ショックは不要です」と表示されても処置終了ではなく、すぐに胸骨圧迫を再開して心肺蘇生を続けます。反応があり呼吸もある場合は、回復体位をとらせて安静にし、状態の変化を観察します。

下に移動する

ひっかけポイント

このテーマでは、数値の微妙な違いが正誤判断の決め手になります。特に人工呼吸の「約1秒」と胸骨圧迫の「約5cm」「100~120回/分」は混同しやすい重要数値です。人工呼吸は丁寧に長く吹き込むほどよいと考えてしまいがちですが、実際には胸骨圧迫の中断時間を短くすることが重要です。また、AEDの「ショック不要」というメッセージを「もう危険ではない」と誤解しやすい点にも注意が必要です。AEDは電気ショックの必要性を判断しているだけで、心肺蘇生の継続が不要になったわけではありません。一次救命処置では、日常感覚よりも、手順、数値、中断を少なくするという原則を優先して判断することが大切です。

初学者向けの定番テキストはこちら

「スッキリわかる」シリーズは図解が多く、 初めて学ぶ方にも人気があります。

次の問題へ