出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第2問
問題
次のAからDの作業について、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものの組合せは次のうちどれか。
A 乾性油を入れてあるタンクの内部における作業
B セメント製造工程においてセメントを袋詰めする作業
C 溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れの業務に係る作業
D 圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室の内部において行う作業
(1) A,B
(2) A,C
(3) A,D
(4) B,C
(5) C,D
第1種衛生管理者|作業主任者の選任義務と対象作業一覧を解説
作業主任者は、労働災害を防止するために、危険性や有害性の高い一定の作業について選任が義務付けられる責任者です。答えは(3)A,Dです。乾性油を入れてあるタンク内部の作業は酸欠等の危険があるため作業主任者の選任対象となり、圧気工法による高圧下の作業室内作業も高圧室内作業主任者の選任が必要です。セメントの袋詰め作業や、溶融鉛を用いる金属の焼入れ作業は、この問題の条件では作業主任者の選任義務の対象として扱われません。
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(1) A,B
不適切です。Aは作業主任者の選任が義務付けられる作業ですが、Bは対象ではありません。乾性油を入れてあるタンクの内部では、酸素欠乏や有害ガス発生などの危険が問題になります。乾性油は空気中の酸素を吸収して酸化しやすく、密閉されたタンク内では酸素濃度が低下するおそれがあります。そのため、酸素欠乏危険作業として作業主任者の選任が必要になります。一方、セメント製造工程でセメントを袋詰めする作業は、粉じんばく露などの衛生管理上の注意は必要ですが、法令上この作業自体について作業主任者の選任が義務付けられているわけではありません。
(2) A,C
不適切です。Aは作業主任者の選任が必要ですが、Cはこの問題では対象作業ではありません。乾性油を入れてあるタンク内部の作業は、酸素欠乏危険作業に該当するため、酸素欠乏危険作業主任者などの選任が必要です。溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れ作業は、鉛を扱うため有害性がありそうに見えますが、鉛作業主任者の選任対象となる作業は法令で具体的に定められています。単に溶融鉛を用いる焼入れ作業というだけで、作業主任者の選任義務があるとは判断しません。
(3) A,D
適切です。AとDはいずれも法令上、作業主任者の選任が義務付けられる作業です。乾性油を入れてあるタンクの内部では、乾性油が酸化する過程で酸素を消費し、タンク内の酸素濃度が低くなるおそれがあります。酸素欠乏状態では、作業者が短時間で意識障害や死亡に至る危険があるため、作業主任者を選任して作業方法、換気、測定、退避などを管理する必要があります。また、圧気工法により大気圧を超える気圧下の作業室で行う作業は、高圧室内作業に該当します。高圧環境では、減圧症などの健康障害が生じるおそれがあるため、高圧室内作業主任者の選任が必要です。
(4) B,C
不適切です。BもCも、この問題の条件では作業主任者の選任義務の対象ではありません。セメントの袋詰め作業は粉じん対策が重要な作業ですが、作業主任者を選任すべき作業として法令上そのまま定められているものではありません。また、溶融した鉛を用いる金属の焼入れ作業も、鉛を扱うという点だけで作業主任者の選任対象と判断するのは危険です。作業主任者の要否は、作業名や有害物の名称の印象ではなく、法令で指定された具体的な対象作業に該当するかで判断します。
(5) C,D
不適切です。Dは作業主任者の選任が必要ですが、Cは対象ではありません。圧気工法により大気圧を超える気圧下の作業室で作業する場合、高圧環境による健康障害を防ぐため、高圧室内作業主任者を選任する必要があります。一方、溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れ作業は、鉛に関係する作業ではありますが、法令上の作業主任者選任義務の対象として問われる典型作業ではありません。有害物を扱う作業であっても、必ず作業主任者が必要になるわけではない点を押さえることが大切です。
この問題で覚えるポイント
作業主任者の選任義務は、危険そうな作業かどうかを感覚で判断するのではなく、法令で定められた対象作業に該当するかで判断します。乾性油を入れてあるタンク内部の作業は、乾性油の酸化により酸素が消費され、酸素欠乏の危険があるため、酸素欠乏危険作業として作業主任者の選任対象になります。圧気工法により大気圧を超える気圧下の作業室で行う作業は、高圧室内作業に該当し、高圧室内作業主任者の選任が必要です。セメントの袋詰め作業は粉じん対策が重要ですが、作業主任者の選任対象としては扱われません。鉛を扱う作業でも、すべてが鉛作業主任者の選任対象になるわけではなく、法令で指定された具体的な鉛業務に該当するかを確認する必要があります。試験では、酸素欠乏危険作業、高圧室内作業、特定化学物質、有機溶剤、鉛、石綿など、作業主任者の名称と対象作業を対応させて覚えることが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、作業名から受ける危険な印象だけで選んでしまう点にあります。セメントの袋詰め作業は粉じんが発生しそうで有害業務に見えますが、作業主任者の選任義務とは別の規制として考える必要があります。溶融鉛を使う作業も、鉛という有害物の名称に反応して選びたくなりますが、鉛を扱えば必ず作業主任者が必要というわけではありません。逆に、乾性油を入れてあるタンク内部の作業は、一見すると有害物質名が目立たないため見落としやすいですが、酸素欠乏という重大な危険があります。圧気工法による高圧下作業は、高圧室内作業主任者と結び付けて覚える典型論点です。作業主任者の問題では、「危険そう」「有害そう」という日常感覚ではなく、「法令上の対象作業に該当するか」という視点で判断することが得点につながります。
