【第一種衛生管理者過去問】2023年4月公表問題|問4|局所排気装置・換気装置の定期自主検査義務|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第4問

問題

次の装置のうち、法令上、定期自主検査の実施義務が規定されているものはどれか。

(1) 塩化水素を重量の20%含有する塩酸を使用する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

(2) アーク溶接を行う屋内の作業場所に設けた全体換気装置

(3) エタノールを使用する作業場所に設けた局所排気装置

(4) アンモニアを使用する屋内の作業場所に設けたプッシュプル型換気装置

(5) トルエンを重量の10%含有する塗料を用いて塗装する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

 

 

 

第1種衛生管理者|局所排気装置・換気装置の定期自主検査義務を解説

有害物質を取り扱う作業場に設ける換気装置であっても、すべてに定期自主検査義務があるわけではありません。答えは(5)です。トルエンは有機溶剤中毒予防規則の対象となる有機溶剤であり、トルエンを重量の10%含有する塗料は有機溶剤含有物として扱われます。そのため、屋内作業場に設けた局所排気装置は、法令上、定期自主検査の対象になります。

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局所排気装置

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(1) 塩化水素を重量の20%含有する塩酸を使用する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

不適切です。塩化水素は特定化学物質 第3類物質のため設置された局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていません。

(2) アーク溶接を行う屋内の作業場所に設けた全体換気装置

不適切です。アーク溶接では金属ヒュームが発生するため、換気は重要です。しかし、定期自主検査義務が規定されているかどうかは、装置の種類と対象法令に当てはめて判断します。全体換気装置は作業場全体の空気を入れ替える設備であり、局所排気装置やプッシュプル型換気装置のように発生源付近で有害物を捕集する装置とは性質が異なります。この選択肢の全体換気装置については、法令上、定期自主検査の対象として問われる装置には該当しません。

(3) エタノールを使用する作業場所に設けた局所排気装置

不適切です。エタノールは有機溶剤の一種ではありますが、有機溶剤中毒予防規則の定期自主検査義務の対象となる有機溶剤等として扱われるものとは限りません。第一種衛生管理者試験では、単に「有機溶剤のように見える物質」ではなく、法令上の対象物質に該当するかを確認する必要があります。エタノールを使用する作業場所の局所排気装置であるというだけでは、法令上の定期自主検査義務が規定されている装置とはいえません。

(4) アンモニアを使用する屋内の作業場所に設けたプッシュプル型換気装置

不適切です。アンモニアは刺激性の強い有害な気体であり、取り扱いには注意が必要です。ただし、定期自主検査義務があるかどうかは、有害性の強さだけで決まるわけではありません。アンモニアはこの設問で問われている定期自主検査義務の対象となる特定化学物質や有機溶剤等として扱われるものではありません。そのため、アンモニアを使用する作業場所に設けたプッシュプル型換気装置であっても、この問題での正答にはなりません。

(5) トルエンを重量の10%含有する塗料を用いて塗装する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

適切です。トルエンは有機溶剤中毒予防規則の対象となる第二種有機溶剤です。また、有機溶剤を重量の5%を超えて含有するものは、有機溶剤含有物として扱われます。この選択肢ではトルエンを重量の10%含有する塗料を使用しているため、法令上の対象となります。屋内作業場でこのような塗装作業を行う場合、局所排気装置を設けることがあり、その局所排気装置については定期自主検査を行う義務があります。

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この問題で覚えるポイント

局所排気装置やプッシュプル型換気装置の定期自主検査は、装置があるだけで必ず義務になるのではなく、対象となる有害物質を取り扱う作業に設けられているかで判断します。有機溶剤では、トルエン、キシレン、アセトンなどの対象物質を重量の5%を超えて含有するものが重要です。トルエンを10%含む塗料は有機溶剤含有物として扱われるため、屋内作業場の局所排気装置は定期自主検査の対象になります。特定化学物質では、物質名だけでなく含有率の基準が重要です。塩化水素は特定化学物質 第3類物質のため設置された局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていません。全体換気装置は作業場全体を換気する装置であり、局所排気装置やプッシュプル型換気装置とは区別して覚えることが大切です。試験では、物質名、含有率、装置の種類、屋内作業場かどうかを組み合わせて正誤判断する力が求められます。

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ひっかけポイント

この問題では、有害そうな物質名に引っ張られてしまうことが最大のひっかけです。塩酸、アンモニア、アーク溶接という言葉を見ると、危険だから定期自主検査が必要だと判断したくなります。しかし、法令問題では日常的な危険性の印象ではなく、対象物質に該当するか、含有率の基準を満たすか、対象となる装置かを確認する必要があります。エタノールは有機溶剤という言葉の印象で選びたくなりますが、有機溶剤中毒予防規則上の対象かどうかを区別する必要があります。換気装置という言葉も広く見えますが、全体換気装置と局所排気装置は法令上の扱いが異なるため、装置名の違いにも注意してください。

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