【第一種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問11|作業管理・作業環境管理・健康管理の具体例比較|労働衛生(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第11問

問題

労働衛生対策を進めるに当たっては、作業管理、作業環境管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せは( 1 )~( 5 )のうちどれか。 A 振動工具の取扱い業務において、その振動工具の周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値に応じた振動ばく露時間の制限を行う。 B 有機溶剤業務を行う作業場所に設置した局所排気装置のフード付近の吸い込み気流の風速を測定する。 C 強烈な騒音を発する場所における作業において、その作業の性質や騒音の性状に応じた耳栓や耳覆いを使用させる。 D 有害な化学物質を取り扱う設備を密閉化する。 E 鉛健康診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた者を配置転換する。

(1) A, B

(2) A, C

(3) B, C

(4) C, D

(5) D, E

第1種衛生管理者|作業管理・作業環境管理・健康管理の具体例比較を解説

労働衛生対策は、作業環境管理、作業管理、健康管理の三管理に分けて考えます。作業管理とは、作業方法、作業時間、保護具の使用など、労働者がどのように作業するかを管理する対策です。Aの振動ばく露時間の制限と、Cの耳栓や耳覆いの使用は、作業のやり方や労働者のばく露を管理する内容なので作業管理に該当します。答えはA、Cの組合せです。

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(1) A, B

不適切です。Aは適切ですが、Bは作業管理ではありません。Aの振動ばく露時間の制限は、振動工具をどのくらいの時間使用させるかを管理する対策です。これは労働者の作業時間やばく露時間を調整するものなので、作業管理に該当します。Bの局所排気装置の吸い込み気流の風速測定は、作業場所の空気環境や設備の性能を確認する対策です。これは作業環境管理に該当します。

(2) A, C

適切です。Aは振動工具の使用時間を制限することで、労働者が受ける振動ばく露を抑える対策です。作業時間や作業方法を管理する内容なので、作業管理に該当します。Cは強烈な騒音を発する作業で耳栓や耳覆いを使用させる対策です。保護具の使用は、労働者が作業を行う際の方法を管理するものなので、作業管理に該当します。作業管理は、作業環境そのものを変えるというより、労働者の作業の仕方やばく露の受け方を管理する点が特徴です。

(3) B, C

不適切です。Cは適切ですが、Bは作業管理ではありません。Cの耳栓や耳覆いの使用は、労働者に保護具を使用させて騒音ばく露を軽減する対策であり、作業管理に該当します。Bの局所排気装置のフード付近の風速測定は、作業場に設けた設備が有害物を適切に排出できているかを確認するものです。これは作業場所の環境状態を管理する対策なので、作業環境管理に分類されます。

(4) C, D

不適切です。Cは適切ですが、Dは作業管理ではありません。Cの耳栓や耳覆いの使用は、労働者が作業中に使用する保護具に関する対策であるため、作業管理に該当します。Dの有害な化学物質を取り扱う設備の密閉化は、有害物が作業環境中に発散しないように設備面から対策を行うものです。これは作業環境を改善する対策であり、作業環境管理に該当します。

(5) D, E

不適切です。DもEも作業管理ではありません。Dの設備の密閉化は、有害物の発散を防ぎ、作業場の空気環境を良好に保つための設備的対策なので、作業環境管理に該当します。Eの鉛健康診断の結果に基づく配置転換は、健康診断の結果を踏まえて労働者の健康を守るための措置です。これは健康管理に該当します。配置転換という言葉だけを見ると作業に関する管理のように感じやすいですが、健康診断結果に基づく措置である点から健康管理と判断します。

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この問題で覚えるポイント

労働衛生の三管理は、作業環境管理、作業管理、健康管理に分けて判断します。作業環境管理は、有害因子が作業場所に発散しないようにすることや、作業場の環境状態を測定、改善することです。局所排気装置の設置や性能確認、設備の密閉化、換気、作業環境測定などが該当します。作業管理は、労働者の作業方法、作業姿勢、作業時間、ばく露時間、保護具の使用などを管理することです。振動工具の使用時間制限、騒音作業での耳栓や耳覆いの使用、有害作業での呼吸用保護具の使用などが代表例です。健康管理は、健康診断、健康診断結果に基づく事後措置、配置転換、保健指導など、労働者の健康状態を把握して守る対策です。正誤判断では、作業場所や設備を管理しているなら作業環境管理、作業のやり方や保護具を管理しているなら作業管理、健康診断や医師の判断に基づく措置なら健康管理と整理すると対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

このテーマでは、対策の目的だけでなく、何を直接管理しているかを見分けることが重要です。有害物や騒音から労働者を守るという目的は共通しているため、目的だけで判断すると混同しやすくなります。局所排気装置や密閉化は労働者を守る対策ですが、直接管理している対象は作業環境や設備なので作業環境管理です。耳栓や耳覆いは騒音そのものをなくすわけではなく、労働者が作業中に保護具を使用するという作業の仕方に関する対策なので作業管理です。配置転換も作業内容に関係するため作業管理に見えますが、健康診断結果と医師の判断に基づく措置であれば健康管理です。このように、作業環境を変えるのか、作業のやり方を変えるのか、健康状態に基づいて対応するのかを切り分けることが、同テーマの問題で安定して正答するためのポイントです。

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