【第一種衛生管理者過去問】2022年10月公表問題|問35|呼吸の仕組みと呼吸数・肺胞ガス交換の基礎知識|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働生理第35問

問題

呼吸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 呼吸は、胸膜が運動することで胸腔(くう)内の圧力を変化させ、肺を受動的に伸縮させることにより行われる。

(2) 肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、内呼吸である。

(3) 成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴、発熱などによって増加する。

(4) チェーンストークス呼吸とは、肺機能の低下により呼吸数が増加した状態をいい、喫煙が原因となることが多い。

(5) 身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1 回換気量及び呼吸数が増加する。

第1種衛生管理者|呼吸の仕組みと呼吸数・肺胞ガス交換の基礎知識を解説

呼吸では、肺そのものが自力で動くのではなく、横隔膜や肋間筋の働きによって胸腔内圧が変化し、肺が受動的に広がったり縮んだりします。また、肺胞と血液の間で行われるガス交換は外呼吸であり、組織と血液の間で行われるガス交換が内呼吸です。答えは(3)です。成人の安静時呼吸数は通常1分間に16~20回程度で、食事、入浴、発熱、運動などにより増加します。

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(1) 呼吸は、胸膜が運動することで胸腔(くう)内の圧力を変化させ、肺を受動的に伸縮させることにより行われる。

不適切です。呼吸運動の主体は胸膜ではなく、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋です。吸息時には横隔膜が収縮して下がり、外肋間筋の働きで胸郭が広がります。これにより胸腔内圧が低下し、肺が受動的に広がって空気が入ります。胸膜は肺と胸壁の動きを連動させる重要な膜ですが、自ら運動して呼吸を起こす器官ではありません。ここでは「胸膜が運動する」という部分が誤りです。

(2) 肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、内呼吸である。

不適切です。肺胞内の空気と肺胞毛細血管の血液との間で行われるガス交換は外呼吸です。酸素は肺胞内の空気から血液中へ移動し、二酸化炭素は血液中から肺胞内へ移動します。内呼吸とは、血液と全身の組織細胞との間で行われるガス交換をいいます。外呼吸と内呼吸は名称が似ていますが、肺で行われるか、組織で行われるかで区別します。

(3) 成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴、発熱などによって増加する。

適切です。成人の安静時呼吸数は、一般に1分間に16~20回程度です。食事や入浴では代謝や循環が変化し、発熱時には体温上昇に伴って代謝が高まるため、酸素の需要や二酸化炭素の排出量が増え、呼吸数が増加しやすくなります。呼吸数は安静時の基準値だけでなく、体温、活動量、精神状態などによって変動する点も押さえておくと判断しやすくなります。

(4) チェーンストークス呼吸とは、肺機能の低下により呼吸数が増加した状態をいい、喫煙が原因となることが多い。

不適切です。チェーンストークス呼吸とは、呼吸が次第に深く大きくなった後、次第に浅く小さくなり、無呼吸期を挟んで再び同じ周期を繰り返す異常呼吸です。単に肺機能の低下によって呼吸数が増加する状態ではありません。脳血管障害、心不全、重症の中枢神経障害などでみられることがあります。「喫煙が原因となることが多い」という説明も、チェーンストークス呼吸の典型的な説明としては適切ではありません。

(5) 身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1 回換気量及び呼吸数が増加する。

不適切です。身体活動時に呼吸が増える主な要因は、血液中の二酸化炭素濃度の上昇、酸素需要の増加、血液のpH低下などです。呼吸中枢は主に二酸化炭素濃度や水素イオン濃度の変化に反応します。窒素は空気中に多く含まれますが、通常の身体活動時に呼吸中枢を刺激して換気量を増やす主要因ではありません。「窒素分圧の上昇」としている点が誤りです。

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この問題で覚えるポイント

呼吸運動は、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋によって胸郭が動き、胸腔内圧が変化することで行われます。肺は自ら能動的に動くのではなく、胸郭の動きに伴って受動的に伸縮します。肺胞と肺胞毛細血管の間で行われるガス交換は外呼吸であり、血液と組織細胞の間で行われるガス交換は内呼吸です。成人の安静時呼吸数は通常1分間に16~20回程度で、運動、食事、入浴、発熱、精神的興奮などで増加します。呼吸中枢を刺激する重要な因子は、主に血液中の二酸化炭素濃度やpHの変化です。チェーンストークス呼吸は、呼吸の深さが周期的に増減し、無呼吸期を伴う異常呼吸として覚えると、単なる呼吸数増加との違いを判断しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題では、用語が少しだけ入れ替えられている点に注意が必要です。胸膜は呼吸に関係しますが、呼吸運動を起こす主役ではありません。肺胞でのガス交換は「体の外とつながる肺での交換」なので外呼吸であり、名称の印象だけで内呼吸と判断すると誤りになります。また、身体活動時に呼吸が増える理由を「窒素」とするのも典型的なひっかけです。呼吸中枢の刺激では二酸化炭素とpHが重要です。チェーンストークス呼吸も、単なる呼吸数増加ではなく、周期的な呼吸の変化と無呼吸を伴う異常呼吸として区別することが大切です。

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