出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第34問
問題
食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。
(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。
(3) O-157は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。
(4) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1~2日間である。
(5) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
第1種衛生管理者|食中毒の種類と原因菌・ノロウイルス対策を解説
食中毒は、毒素型、感染型、ウイルス性食中毒などの分類と、原因となる細菌やウイルスの特徴を整理して判断することが大切です。答えは(5)です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではなく、熱に弱く、十分な加熱で死滅しやすい細菌です。魚介類を原因食品とすることが多く、夏季に多い食中毒として覚えておくと判断しやすくなります。
(1) 毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものがある。
適切です。毒素型食中毒は、食品中で細菌が増殖し、その際に産生された毒素を摂取することで発症する食中毒です。代表例には黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌があります。ボツリヌス菌は強い毒素を産生し、神経症状を起こすことがあるため、単なる腹痛や下痢だけでなく、重い中毒として扱われます。細菌そのものが体内で増えることよりも、食品中にできた毒素が問題になる点が重要です。
(2) 感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものがある。
適切です。感染型食中毒は、食品とともに体内に入った細菌が腸管内で増殖し、感染を起こすことで発症します。代表例にはサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクターなどがあります。毒素型と違い、食品中にあらかじめ毒素ができていることよりも、体内に入った菌が感染することが中心です。サルモネラ菌は卵や食肉などと関係が深く、感染型食中毒の代表としてよく出題されます。
(3) O-157は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。
適切です。O-157は腸管出血性大腸菌の代表で、ベロ毒素を産生することが特徴です。激しい腹痛、水様性下痢、血便などを起こすことがあり、重症化すると溶血性尿毒症症候群を起こす場合もあります。大腸菌という名前から軽い食中毒と考えないことが大切です。ベロ毒素、血便、重症化というキーワードを結びつけて覚えると正誤判断に役立ちます。
(4) ノロウイルスによる食中毒は、冬季に集団食中毒として発生することが多く、潜伏期間は、1~2日間である。
適切です。ノロウイルスによる食中毒は冬季に多く、学校、施設、飲食店などで集団発生しやすいことが特徴です。潜伏期間は一般に1~2日程度で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。感染力が強く、少量のウイルスでも発症することがあるため、手洗い、調理器具の消毒、加熱処理、嘔吐物の適切な処理が重要です。細菌ではなくウイルスである点も試験ではよく問われます。
(5) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。
不適切です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではなく、熱に弱い細菌です。十分に加熱すれば死滅しやすいため、加熱調理は有効な予防方法になります。腸炎ビブリオ菌は海水中に存在し、魚介類を原因食品として食中毒を起こすことが多い菌です。特に夏季に増えやすく、刺身や寿司など生の魚介類を扱う場面では、低温管理や真水での洗浄、二次汚染の防止が重要になります。「腸炎ビブリオ菌は熱に強い」とする記述は、菌の特徴と逆であるため誤りです。
この問題で覚えるポイント
食中毒は、毒素型、感染型、ウイルス性食中毒を区別して覚えることが正誤判断に直結します。毒素型食中毒は、食品中で細菌が産生した毒素を摂取して起こるもので、ボツリヌス菌や黄色ブドウ球菌が代表です。感染型食中毒は、食品とともに摂取した細菌そのものが腸管内で感染して起こるもので、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、カンピロバクターなどが代表です。O-157は腸管出血性大腸菌で、ベロ毒素、腹痛、水様性下痢、血便が重要キーワードです。ノロウイルスは冬季に多く、潜伏期間はおおむね1~2日で、集団発生しやすいウイルス性食中毒です。腸炎ビブリオ菌は魚介類、夏季、海水、熱に弱いという組合せで覚えると、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、食中毒の原因ごとの特徴を大まかに覚えている受験者に対して、「熱に強い」という表現で判断を迷わせる点です。腸炎ビブリオ菌は魚介類や夏季のイメージが強いため、「暑い時期に多い菌だから熱に強い」と誤って連想しやすいところがあります。しかし、夏に多いことと加熱に強いことは別の知識です。試験では、原因食品、発生時期、潜伏期間、毒素の有無、加熱への強さが入れ替えられて出題されることがあります。日常感覚ではなく、菌やウイルスごとの特徴をセットで整理して判断することが大切です。
