出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働生理第43問
問題
免疫に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 抗原とは、免疫に関係する細胞によって異物として認識される物質のことである。
(2) 抗原となる物質には、蛋(たん)白質、糖質などがある。
(3) 抗体とは、体内に入ってきた抗原に対して体液性免疫において作られる免疫グロブリンと呼ばれる蛋(たん)白質のことである。
(4) 好中球は白血球の一種であり、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(5) リンパ球には、血液中の抗体を作るTリンパ球と、細胞性免疫の作用を持つBリンパ球がある。
第1種衛生管理者|免疫の仕組みと抗原・抗体・リンパ球の働きを解説
免疫では、体内に侵入した異物を認識し、排除する仕組みが問われます。答えは(5)です。リンパ球にはTリンパ球とBリンパ球がありますが、血液中の抗体を作るのはBリンパ球であり、細胞性免疫に関わるのは主にTリンパ球です。この選択肢は両者の働きを逆にしているため誤りです。
(1) 抗原とは、免疫に関係する細胞によって異物として認識される物質のことである。
適切です。抗原とは、体内の免疫細胞によって「自分ではない異物」として認識され、免疫反応を引き起こす物質のことです。細菌、ウイルス、花粉、毒素などの成分が抗原となることがあります。免疫の基本は、まず体内に入ってきた物質を異物として認識することから始まるため、この記述は正しいです。
(2) 抗原となる物質には、蛋(たん)白質、糖質などがある。
適切です。抗原となる物質には、蛋白質、糖質、多糖類、脂質と結合した成分などがあります。特に蛋白質は免疫細胞に認識されやすく、代表的な抗原になりやすい物質です。試験では、抗原を「細菌やウイルスそのもの」とだけ考えず、それらを構成する成分も抗原になると理解しておくことが大切です。
(3) 抗体とは、体内に入ってきた抗原に対して体液性免疫において作られる免疫グロブリンと呼ばれる蛋(たん)白質のことである。
適切です。抗体は、抗原に対して作られる免疫グロブリンという蛋白質です。主にBリンパ球が分化した形質細胞によって作られ、血液やリンパ液などの体液中で働きます。このように抗体が体液中で抗原に結合して働く免疫を体液性免疫といいます。抗体は抗原を無毒化したり、白血球による処理を助けたりする役割を持ちます。
(4) 好中球は白血球の一種であり、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
適切です。好中球は白血球の一種で、体内に侵入した細菌などを取り込んで処理する貪食作用を持ちます。偽足を出してアメーバのように移動し、炎症が起きている場所へ集まって異物を攻撃します。好中球は自然免疫に関わる代表的な細胞であり、体内防御の初期対応を担う重要な存在です。
(5) リンパ球には、血液中の抗体を作るTリンパ球と、細胞性免疫の作用を持つBリンパ球がある。
不適切です。Tリンパ球とBリンパ球の働きが逆になっています。抗体を作るのはBリンパ球です。Bリンパ球は抗原の刺激を受けると形質細胞に分化し、抗体を産生して体液性免疫に関わります。細胞性免疫に関わるのは主にTリンパ球です。Tリンパ球は、ウイルスに感染した細胞や異常な細胞を攻撃したり、他の免疫細胞の働きを調整したりします。免疫の問題では、Bリンパ球は抗体、Tリンパ球は細胞性免疫という対応関係を押さえることが重要です。
この問題で覚えるポイント
免疫では、抗原、抗体、好中球、リンパ球の役割を区別して覚えることが重要です。抗原は、免疫細胞に異物として認識される物質です。抗原には蛋白質や糖質などがあり、細菌やウイルスそのものだけでなく、それらを構成する成分も抗原になります。抗体は、抗原に対して作られる免疫グロブリンという蛋白質で、主にBリンパ球が分化した形質細胞によって産生されます。抗体が血液やリンパ液などの体液中で働く免疫を体液性免疫といいます。Tリンパ球は、主に細胞性免疫に関わり、感染細胞や異常細胞を攻撃したり、免疫反応を調整したりします。好中球は白血球の一種で、偽足を出して移動し、細菌などを貪食する自然免疫の代表的な細胞です。試験では、Bリンパ球は抗体、Tリンパ球は細胞性免疫、好中球は貪食作用という対応を押さえておくと正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、Tリンパ球とBリンパ球の働きを入れ替えている点です。どちらもリンパ球なので、名前だけで判断すると混同しやすくなります。特に「Tリンパ球」「Bリンパ球」「体液性免疫」「細胞性免疫」「抗体」という用語がまとめて出ると、正しい組合せを覚えていない受験者は迷いやすくなります。抗体は血液中に存在するため、なんとなくTリンパ球が作るように見えてしまうことがありますが、抗体を作るのはBリンパ球です。Tリンパ球は細胞そのものに作用する細胞性免疫に関わります。このように、免疫の問題では文章全体がもっともらしく見えても、細胞名と働きの対応関係が一部だけ逆になっているパターンに注意が必要です。
