【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問43|体温調節の仕組みとホメオスタシス・甲状腺ホルモン|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第43問

問題

体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢(こう)進し、体温は上昇する。

第1種衛生管理者|体温調節の仕組みとホメオスタシス・甲状腺ホルモンを解説

体温調節では、寒いときに熱を逃がさない反応、暑いときに熱を逃がす反応、体温調節中枢、ホメオスタシス、代謝を高めるホルモンの働きを整理することが重要です。答えは(5)です。甲状腺ホルモンは全身の代謝を高め、熱産生を増やすため、体温を上昇させる方向に働きます。寒冷時の皮膚血管は拡張ではなく収縮し、体温調節中枢は小脳ではなく視床下部にあります。用語の似た概念や体の反応の向きを正確に押さえることが、この問題の正誤判断の中心です。

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(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

不適切です。寒冷な環境では、体は熱を外へ逃がさないように働きます。そのため、皮膚の血管は拡張するのではなく収縮します。皮膚血管が収縮すると、皮膚へ流れる血液量が減り、体表面からの熱の放散が抑えられます。もし寒いときに皮膚血管が拡張してしまうと、温かい血液が皮膚表面に多く流れ、外気へ熱が逃げやすくなってしまいます。寒冷時は「皮膚血管収縮、熱放散抑制」と覚えると判断しやすいです。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

不適切です。暑熱な環境では、体は余分な熱を外へ逃がそうとします。このとき主に増えるのは皮膚の血流量です。皮膚血管が拡張して皮膚表面に血液が多く流れることで、体内の熱を外へ逃がしやすくなります。また、発汗による気化熱も熱放散に重要です。内臓の血流量を増やして代謝活動を亢進させると、むしろ体内で熱の産生が増えてしまいます。暑熱時は「皮膚血管拡張、発汗、熱放散促進」と整理するとよいです。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

不適切です。外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする仕組みは、同調性ではなく恒常性、またはホメオスタシスといいます。体温、血糖値、血液のpH、水分量などを一定範囲に保つ働きがこれに当たります。体温調節は、主に神経系、内分泌系、循環器系、発汗などが協調して行われます。筋肉もふるえ産熱などに関与しますが、「同調性」という用語が誤りです。試験では、身体内部の状態を一定に保つ仕組みはホメオスタシスと覚えることが大切です。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

不適切です。体温調節中枢は小脳ではなく、間脳の視床下部にあります。視床下部は体温の変化を感知し、皮膚血管の収縮や拡張、発汗、ふるえ、代謝の調節などを通じて、熱の産生と放散のバランスを調整します。小脳は主に運動の調整や姿勢、平衡の維持に関係する部位です。体温調節中枢は視床下部、運動調整は小脳、と役割を分けて覚えると混同しにくくなります。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢(こう)進し、体温は上昇する。

適切です。甲状腺ホルモンは、全身の細胞の代謝を高める働きがあります。代謝が亢進すると、栄養素を分解してエネルギーを作る活動が活発になり、その過程で熱の産生も増えます。そのため、甲状腺ホルモンの分泌が増えると体温は上昇しやすくなります。甲状腺機能が亢進すると暑がり、発汗、動悸、体重減少などがみられることがあるのも、代謝亢進と関係しています。体温調節では、甲状腺ホルモンは熱産生を増やす方向に働くと押さえておきましょう。

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この問題で覚えるポイント

体温調節では、寒冷時と暑熱時の体の反応を反対方向で整理することが重要です。寒冷時は皮膚血管が収縮し、皮膚への血流を減らして熱放散を抑えます。必要に応じて筋肉のふるえによる熱産生も起こります。暑熱時は皮膚血管が拡張し、皮膚への血流を増やして熱を外へ逃がしやすくします。発汗による水分の蒸発も熱放散に大きく関与します。体温調節中枢は小脳ではなく視床下部にあり、熱産生と熱放散のバランスを調整します。外部環境が変化しても体内環境を一定に保とうとする仕組みは恒常性、またはホメオスタシスです。甲状腺ホルモンは代謝を亢進させ、熱産生を増やすため、体温を上昇させる方向に働きます。

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ひっかけポイント

この問題では、寒冷時と暑熱時の反応を逆にした表現、正しい機能に誤った部位名を組み合わせる表現、正しい概念に似た別の用語を混ぜる表現が使われています。寒いときは体を温めるために皮膚温を上げると考えたくなりますが、実際には皮膚血管を収縮させて熱を逃がさないことが重要です。暑いときも、代謝を上げて体を活発にするのではなく、皮膚血流と発汗で熱を逃がします。また、体温調節中枢の説明自体は正しく見えても、部位が小脳になっていれば誤りです。ホメオスタシスを同調性とするような用語のすり替えにも注意が必要です。体温調節の問題では、「寒冷時は熱を逃がさない」「暑熱時は熱を逃がす」「中枢は視床下部」「甲状腺ホルモンは代謝と熱産生を高める」という軸で確認すると、似たひっかけにも対応しやすくなります。

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