【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問39|消化器系の働きと消化酵素・胆汁の役割|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第39問

問題

消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 十二指腸に胃から酸性の消化物が入ってくると、アルカリ性の膵(すい)液が分泌され、酸を中和する。

(2) 無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3) 胆汁はアルカリ性で、蛋(たん)白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。

(4) ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋(たん)白質を分解する。

(5) 小腸の表面は、ビロード状の絨(じゅう)毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

第1種衛生管理者|消化器系の働きと消化酵素・胆汁の役割を解説

消化器系では、食物を消化酵素で分解し、吸収しやすい形に変える働きが重要です。答えは(3)です。胆汁は肝臓で作られ、胆のうに蓄えられた後に十二指腸へ分泌されるアルカリ性の消化液ですが、消化酵素は含んでいません。脂肪を細かく乳化して消化を助ける働きはありますが、蛋白質を分解するトリプシンなどを含むのは膵液です。胆汁と膵液の働きを混同しないことが、この問題の正誤判断の中心です。

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(1) 十二指腸に胃から酸性の消化物が入ってくると、アルカリ性の膵(すい)液が分泌され、酸を中和する。

適切です。胃では胃酸によって食物が酸性になります。この酸性の内容物が十二指腸に送られると、そのままでは小腸の粘膜に負担がかかり、膵液中の消化酵素も働きにくくなります。そこで膵臓からアルカリ性の膵液が分泌され、胃酸を中和します。膵液には炭酸水素ナトリウムなどが含まれ、十二指腸内の環境を消化酵素が働きやすい状態に整えます。

(2) 無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

適切です。糖質、蛋白質、脂質は分子が大きいため、消化酵素によってブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸などに分解されてから吸収されます。これに対して、無機塩やビタミン類は、基本的に消化酵素で分解される対象ではありません。体に必要な微量成分として、そのまま、または吸収されやすい形で小腸などから吸収されます。

(3) 胆汁はアルカリ性で、蛋(たん)白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。

不適切です。胆汁がアルカリ性である点は正しいですが、トリプシンなどの消化酵素を含んでいるという部分が誤りです。胆汁は脂肪を細かい粒に分散させる乳化作用によって、脂肪の消化を助けます。ただし、胆汁そのものには消化酵素は含まれていません。蛋白質を分解するトリプシンは膵液に含まれる消化酵素です。つまり、この選択肢は「胆汁はアルカリ性」という正しい内容に、「トリプシンを含む」という誤った内容を組み合わせたひっかけです。

(4) ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋(たん)白質を分解する。

適切です。胃の主細胞から分泌されるペプシノーゲンは、そのままでは強い蛋白質分解作用を持ちません。胃酸によって活性化されることで、ペプシンという消化酵素になります。ペプシンは胃の中で蛋白質を分解する代表的な酵素です。胃では、胃酸が単に食物を酸性にするだけでなく、消化酵素を働ける状態にする役割も果たしています。

(5) 小腸の表面は、ビロード状の絨(じゅう)毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

適切です。小腸は栄養素を吸収する主要な器官です。小腸の内面には絨毛と呼ばれる多数の小突起があり、さらにその表面には微絨毛があります。これにより小腸の表面積が大きくなり、消化された栄養素を効率よく吸収できます。消化管の働きでは、単に食物を分解するだけでなく、吸収しやすい構造を持っていることも重要です。

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この問題で覚えるポイント

消化酵素の出どころと働きを対応させて覚えることが重要です。胃ではペプシノーゲンが胃酸によってペプシンとなり、蛋白質を分解します。膵液はアルカリ性で、胃から十二指腸に送られた酸性の内容物を中和し、さらにトリプシンなどの消化酵素によって蛋白質などの消化に関わります。胆汁は肝臓で作られ、胆のうに蓄えられ、十二指腸に分泌されますが、消化酵素は含みません。胆汁の主な役割は脂肪の乳化であり、脂肪を細かくして膵液中の脂肪分解酵素が働きやすくすることです。無機塩やビタミン類は、糖質や蛋白質のように消化酵素で分解される必要はなく、そのまま吸収されます。小腸では絨毛によって表面積が大きくなり、栄養素の吸収効率が高められています。

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ひっかけポイント

この問題では、「アルカリ性」という正しい情報に引っ張られて、胆汁と膵液を混同しやすいところが狙われています。胆汁も膵液も十二指腸に分泌され、どちらも消化に関係するため、役割が似ているように見えます。しかし、胆汁は脂肪の乳化を助ける液であり、消化酵素は含みません。トリプシンは蛋白質を分解する酵素で、膵液に含まれます。「一部だけ正しい文章」は衛生管理者試験でよく出る形式です。前半が正しいと全体を正しいと判断してしまいがちですが、後半に別の器官や別の消化液の働きが混ぜられていないかを確認することが大切です。

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