出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|建築物の環境衛生第23問
問題
一般環境、労働環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 一般環境の大気、水質、騒音、土壌等に対して、環境基準が定められている。
(2) 学校における環境衛生の基準は、学校保健安全法で定められている。
(3) 許容濃度における曝露濃度とは、呼吸用保護具を装着している状態で、労働者が作業中に吸入するであろう空気中の当該物質の濃度である。
(4) 最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度である。
(5) 労働環境においては、曝露時間が短い、あるいは労働強度が弱い場合でも、許容濃度を超える曝露は避けるべきである。
ビル管過去問|一般環境、労働環境に関する基準を解説
この問題は、一般環境における環境基準、学校環境衛生、労働環境における許容濃度の考え方を問う問題です。不適切な選択肢は(3)です。特に重要なのは、許容濃度における曝露濃度は、呼吸用保護具を装着した状態ではなく、労働者が呼吸する作業環境中の有害物質濃度として考える点です。

(1) 一般環境の大気、水質、騒音、土壌等に対して、環境基準が定められている。
適切です。環境基準は、人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として定められています。対象には、大気汚染、水質汚濁、騒音、土壌汚染などが含まれます。これは一般の生活環境を対象とする基準であり、工場や作業場などの労働環境だけを対象とするものではありません。
(2) 学校における環境衛生の基準は、学校保健安全法で定められている。
適切です。学校では、児童や生徒が長時間過ごすため、教室の空気、照明、騒音、飲料水、プール水などについて衛生的な環境を保つ必要があります。これらの学校環境衛生に関する基準は、学校保健安全法に基づいて定められています。ビル管試験では、学校環境衛生は一般環境や建築物衛生とは別に、学校保健安全法と結びつけて覚えることが大切です。
(3) 許容濃度における曝露濃度とは、呼吸用保護具を装着している状態で、労働者が作業中に吸入するであろう空気中の当該物質の濃度である。
不適切です。許容濃度における曝露濃度は、呼吸用保護具を装着した状態で吸入する濃度を意味するものではありません。通常は、労働者が作業中に呼吸する空気中の有害物質濃度として評価されます。呼吸用保護具を着ければ実際に体内へ入る量は減る可能性がありますが、許容濃度の判断では、保護具によって低下した吸入量を前提にするのではなく、作業環境中の曝露濃度そのものを管理する考え方が基本です。
(4) 最大許容濃度とは、作業中のどの時間をとっても曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度である。
適切です。最大許容濃度は、短時間であっても超えてはならない濃度として考えます。通常の許容濃度が一定時間の平均曝露を前提にするのに対し、最大許容濃度は瞬間的、短時間の高濃度曝露を防ぐための基準です。有害性が強く、短時間の曝露でも健康影響が問題となる物質では、この考え方が重要になります。
(5) 労働環境においては、曝露時間が短い、あるいは労働強度が弱い場合でも、許容濃度を超える曝露は避けるべきである。
適切です。許容濃度は、労働者の健康障害を防ぐための重要な目安です。曝露時間が短い場合や作業負荷が軽い場合でも、許容濃度を超える曝露が安全であるとはいえません。特に、有害物質の種類によっては短時間でも健康影響が生じる可能性があります。そのため、労働環境では、許容濃度を超えないように作業環境管理、作業管理、保護具の使用などを組み合わせて対策する必要があります。
この問題で覚えるポイント
一般環境では、大気、水質、騒音、土壌などに対して環境基準が定められています。環境基準は、行政上の目標として、人の健康保護と生活環境の保全を目的に設定されるものです。 学校における環境衛生は、学校保健安全法と結びつけて覚えます。教室の空気、照明、騒音、飲料水、プール水など、児童生徒の健康を守るための基準が定められています。 労働環境では、許容濃度、曝露濃度、最大許容濃度の違いが重要です。許容濃度は、労働者が有害物質に曝露されても、ほとんどすべての労働者に健康上の悪影響がみられないと判断される濃度の目安です。 曝露濃度は、呼吸用保護具を装着した後の実際の吸入濃度ではなく、作業中に労働者が呼吸する空気中の有害物質濃度として考えます。保護具はあくまで曝露を減らす対策の一つであり、許容濃度の基準そのものを緩める理由にはなりません。 最大許容濃度は、作業中のどの時点でも超えてはならない濃度です。平均値で考える許容濃度と、瞬間的な高濃度曝露を防ぐ最大許容濃度を区別することが、正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、曝露濃度と呼吸用保護具を結びつけている点です。呼吸用保護具を装着すると実際の吸入量は減るため、一見すると正しそうに見えます。しかし、許容濃度における曝露濃度は、保護具で補正された濃度ではなく、作業環境中で労働者が曝露される空気中濃度として判断します。 また、一般環境、学校環境、労働環境という似た分野が並んでいるため、どの法律や基準がどの環境を対象にしているのかを混同しやすい問題です。一般環境は環境基準、学校環境は学校保健安全法、労働環境は許容濃度という対応関係で整理すると判断しやすくなります。 このパターンでは、「一部だけ正しい文章」に注意が必要です。呼吸用保護具が労働者を守るために重要であることは正しいですが、それを許容濃度における曝露濃度の定義に含めてしまうと誤りになります。試験では、知っている用語が入っているから正しいと判断せず、定義そのものに合っているかを確認することが大切です。