【ビル管過去問】令和7年度 問題22|生体の恒常性(ホメオスタシス)を解説

問題

生体の恒常性(ホメオスタシス)等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 外部環境の変化に対し、内部環境を一定の水準に保つ仕組みを、恒常性という。

(2) 恒常性は、主に神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。

(3) 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。

(4) 外部からの刺激は、受容器で受容されて各調節中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。

(5) 放熱機能は、発汗、呼吸、皮下組織の熱遮断、基礎代謝の増進により行われる。

ビル管過去問|生体の恒常性(ホメオスタシス)を解説

この問題は、生体の恒常性の基本的な仕組みと、体温調節をはじめとする生理機能の理解を問う問題です。恒常性とは、外部環境が変化しても、体内の状態をできるだけ一定に保とうとする仕組みのことです。これには神経系、内分泌系、免疫系などが関わっており、刺激を受けると受容器、調節中枢、効果器という流れで反応が生じます。また、生体はさまざまな刺激に対して非特異的な適応反応を示します。なお、この問題では(5)が最も不適当です。なぜなら、皮下組織の熱遮断や基礎代謝の増進は放熱ではなく、主として熱の保持や産生に関係する働きだからです。したがって、正しい選択肢の判定だけでなく、放熱と産熱・保温の違いを整理して理解することが大切です。

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(1) 外部環境の変化に対し、内部環境を一定の水準に保つ仕組みを、恒常性という。

適切です。恒常性とは、気温、湿度、活動量、食事内容などの外部環境や内部条件が変化しても、体温、血糖値、血圧、体液の浸透圧などを一定の範囲内に保とうとする仕組みのことです。
人の体は常に変化する環境の中で生きていますが、そのたびに体内環境が大きく乱れてしまうと、生命活動を正常に維持できなくなります。そのため、生体には自動的に調節を行う仕組みが備わっています。
この考え方は生理学の基本であり、まさに恒常性の定義そのものを述べた記述です。そのため、この選択肢は適切です。

(2) 恒常性は、主に神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。

適切です。恒常性の維持には、主として神経系と内分泌系が中心的に関わり、さらに免疫系も体内の安定維持に重要な役割を果たしています。
神経系は、刺激に対してすばやく反応し、心拍数や血管の収縮、発汗などを短時間で調節します。内分泌系は、ホルモンを介して血糖値、代謝、水分量、電解質バランスなどを比較的長い時間軸で調節します。免疫系は、細菌やウイルスなどの異物から体を守り、体内環境を正常に保つ働きを担っています。
恒常性というと神経系と内分泌系が特に有名ですが、免疫系も体の安定性を保つ重要な機能の一つです。したがって、この記述は適切です。

(3) 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。

適切です。生体は外部からさまざまな刺激を受けると、それに適応しようとして一定の反応を示します。このような反応の中には、刺激の種類が異なっても共通して現れる非特異的な反応があります。
たとえば、寒冷、疲労、感染、精神的緊張など、原因は異なっていても、生体はそれに対して自律神経や内分泌系を働かせ、体内の安定を保とうとします。こうした広い意味での適応反応は、生体防御やストレス反応の理解にもつながります。
この選択肢は、刺激に対する生体の基本的な適応の考え方を述べており、内容として適切です。

(4)外部からの刺激は、受容器で受容されて各調節中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。

適切です。これは生体の調節機構の基本的な流れを示した記述です。
まず、外部からの刺激は感覚受容器で受け取られます。次に、その情報が神経などを通じて中枢に伝えられ、そこで情報が処理されます。その後、筋肉や腺などの効果器に指令が伝えられ、実際の反応が起こります。
たとえば、暑い環境では温度受容器が刺激を受け、その情報が体温調節中枢に伝わり、発汗や皮膚血管拡張などの反応が起こります。このように、受容器、調節中枢、効果器という流れは生理学の基本です。したがって、この記述は適切です。

(5) 放熱機能は、発汗、呼吸、皮下組織の熱遮断、基礎代謝の増進により行われる。

不適切です。最も不適当なのはこの記述です。
発汗や呼吸による熱の放散は、たしかに放熱に関係しています。汗が蒸発するときには気化熱によって体熱が奪われるため、発汗は代表的な放熱機能です。また、呼吸によってもわずかに熱が体外へ逃げます。
しかし、皮下組織の熱遮断は、体内の熱が外へ逃げるのを防ぐ働きであり、放熱ではなく保温に関係する機能です。皮下脂肪などは断熱材のような役割を果たし、寒冷時には熱の損失を抑える方向に働きます。
さらに、基礎代謝の増進は体内で熱をつくる働き、すなわち産熱に関係します。寒いときに代謝が高まるのは、体温を維持するために熱を産生するためです。これも放熱ではありません。
このように、この選択肢は放熱機能と保温・産熱機能を混同しているため誤りです。

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この問題で覚えるポイント

恒常性とは、外部環境の変化に対して内部環境を一定の範囲に保とうとする仕組みです。
恒常性の維持には、神経系、内分泌系、免疫系が関わっています。
生体は刺激に対して、非特異的な適応反応を示すことがあります。
生体の調節は、受容器、調節中枢、効果器という流れで行われます。
発汗や呼吸は放熱に関係しますが、皮下組織の熱遮断は保温、基礎代謝の増進は産熱に関係します。
放熱、保温、産熱を区別して整理して覚えることが大切です。

ひっかけポイント

発汗と呼吸が放熱に関係するため、同じ選択肢に並んでいる皮下組織の熱遮断や基礎代謝の増進まで放熱だと思い込みやすいです。
皮下組織の熱遮断は熱を逃がす働きではなく、熱を逃がしにくくする働きです。
基礎代謝の増進は体温を下げる働きではなく、熱をつくる働きです。
恒常性の問題では、定義そのものを問う基本問題に見えても、最後に体温調節の具体例でひっかけてくることがあります。
放熱に関する作用と、寒冷時の保温・産熱に関する作用を混同しないことが得点の鍵です。

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