問題
次の国際的合意のうち、主として廃棄物対策に関するものはどれか。
(1) 京都議定書
(2) ラムサール条約
(3) バーゼル条約
(4) モントリオール議定書
(5) ワシントン条約
ビル管過去問|国際的合意と廃棄物対策を解説
この問題は、代表的な国際的合意の目的を区別できるかを問うものです。
選択肢には、地球温暖化対策、湿地保全、有害廃棄物の越境移動規制、オゾン層保護、希少野生動植物の国際取引規制に関する条約や議定書が並んでいます。
この中で、主として廃棄物対策に関するものはバーゼル条約です。バーゼル条約は、有害廃棄物等の越境移動を適正に管理することを目的とした国際的な枠組みです。一方、京都議定書は温室効果ガスの削減、ラムサール条約は湿地の保全、モントリオール議定書はオゾン層破壊物質の規制、ワシントン条約は絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引規制を目的としています。
(1) 京都議定書
不適切です。京都議定書は、地球温暖化対策に関する国際的合意です。
気候変動枠組条約の下で採択され、先進国に対して温室効果ガスの排出削減目標を課したことで知られています。つまり、主な対象は二酸化炭素などの温室効果ガスであり、廃棄物そのものの処理や越境移動を中心に定めたものではありません。
もちろん、廃棄物の減量化やリサイクルが結果的に温室効果ガスの削減につながることはありますが、京都議定書の中心テーマはあくまで気候変動対策です。そのため、廃棄物対策に関するものとして選ぶのは誤りです。
(2) ラムサール条約
不適切です。ラムサール条約は、国際的に重要な湿地の保全を目的とする条約です。
正式には、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約であり、湿地の保全と賢明な利用を進めることが基本的な考え方です。したがって、対象は湖沼、干潟、湿原などの湿地環境であり、廃棄物対策を主目的とする条約ではありません。
廃棄物の不法投棄や水質汚濁が湿地に悪影響を与えることはありますが、それは湿地保全の問題として関係するのであって、条約そのものの主題が廃棄物対策というわけではありません。
(3) バーゼル条約
適切です。バーゼル条約は、主として廃棄物対策に関する国際的合意です。
この条約は、越境移動を伴う有害廃棄物等が環境上適正に管理されることを目的としており、特に有害廃棄物が国境を越えて移動する際のルールを定めています。輸出国から輸入国への事前通告と同意、移動書類の携帯などが求められるのはそのためです。
この条約が重要なのは、廃棄物が国際的に移動することで、処理能力や規制の弱い国に環境負荷が押しつけられることを防ぐ点にあります。したがって、選択肢の中で廃棄物対策を主として扱っているものはバーゼル条約であり、この記述が正解です。
(4)モントリオール議定書
不適切です。モントリオール議定書は、オゾン層を破壊する物質の生産や消費を規制するための国際的合意です。
これは、フロン類などのオゾン層破壊物質を段階的に削減し、人の健康や環境を守ることを目的としています。近年では代替フロンであるHFCも、キガリ改正によって削減対象に含まれるようになりましたが、基本的な出発点はオゾン層保護です。
したがって、廃棄物の処理や有害廃棄物の国際移動を中心に規定したものではありません。名称に「議定書」とあるため京都議定書と混同しやすいですが、主題は異なります。
(5) ワシントン条約
不適切です。ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する条約です。
正式名称は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約で、英語の略称でCITESとも呼ばれます。国際取引によって希少な生物が絶滅に追い込まれることを防ぐため、附属書に掲載された種について取引規制を行います。
このように、ワシントン条約の主な対象は野生動植物の保護であり、廃棄物対策ではありません。国際取引という点ではバーゼル条約と似た印象を受けることがありますが、規制対象がまったく異なるため区別して覚える必要があります。
この問題で覚えるポイント
バーゼル条約は、有害廃棄物等の越境移動とその適正管理に関する条約です。
京都議定書は温室効果ガスの排出削減を中心とした地球温暖化対策に関する合意です。
ラムサール条約は、国際的に重要な湿地の保全に関する条約です。
モントリオール議定書は、オゾン層破壊物質の規制に関する合意です。
ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引規制に関する条約です。
ひっかけポイント
京都議定書とモントリオール議定書は、どちらも環境分野の国際的合意ですが、前者は地球温暖化対策、後者はオゾン層保護であり、廃棄物対策ではありません。
バーゼル条約とワシントン条約は、どちらも国際的な移動や取引を規制する点で似ていますが、バーゼル条約は有害廃棄物、ワシントン条約は希少野生動植物が対象です。
ラムサール条約は環境保全に関する条約ですが、対象は湿地であり、廃棄物処理の制度を定めたものではありません。
条約名だけで判断すると混同しやすいため、何を守るための合意なのかを目的ごとに整理して覚えることが大切です。
