【ビル管過去問】令和3年度 問題173|クマネズミの生態|行動特性・識別ポイント・ビル内生息を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|ねずみ、昆虫等の防除第173問

問題

クマネズミに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 警戒心が強く、粘着トラップによる防除が難しい。

(2) 都心のビル内では、優占種となっている。

(3) 運動能力に優れており、電線やロープを渡ることができる。

(4) ドブネズミと比べて雑食の傾向が強い。

(5) 尾は体長より長く、耳は大きくて折り返すと目をおおう。

ビル管過去問|クマネズミの生態|行動特性・識別ポイント・ビル内生息を解説

この問題は、クマネズミの生態的特徴と、ドブネズミなど他のねずみとの違いを正しく理解しているかを問う問題です。正しい知識としては、クマネズミは警戒心が強く、都心のビル内で多く見られ、運動能力にも優れています。また、外見上は尾が長く、耳が大きいことも識別のポイントです。一方で、雑食性の強さをドブネズミと比較した記述には注意が必要です。最も不適当なのは(4)で、クマネズミはドブネズミと比べてやや植物質を好む傾向があり、単純に雑食の傾向が強いと表現するのは適切ではありません。

下に移動する

【ビル管過去問】令和3年度 問題173|クマネズミの生態|行動特性・識別ポイント・ビル内生息を解説する画像

下に移動する

(1) 警戒心が強く、粘着トラップによる防除が難しい。

不適切です。ではなく、適切です。クマネズミは非常に警戒心が強いねずみとして知られています。新しい物や環境の変化を警戒しやすく、トラップや毒餌をすぐに利用しないことがあります。これを新奇性回避といい、防除を難しくする大きな要因です。特に粘着トラップは、設置場所や周辺環境が不自然だと避けられやすく、ドブネズミなどに比べても対策に工夫が必要です。そのため、この記述はクマネズミの行動特性を正しく表しています。

(2) 都心のビル内では、優占種となっている。

適切です。都市部の高層ビルや商業施設、雑居ビルでは、クマネズミが優占種となることが多いです。これは、クマネズミが高い場所を好み、配管や配線、天井裏、壁内などを巧みに移動できるためです。都心部の建築物では、こうした立体的な空間を利用しやすく、屋内で繁殖しやすい環境が整っています。ビル管理の現場でも、都心の建物で問題になるねずみとしてクマネズミが重視されるため、この記述は正しいです。

(3) 運動能力に優れており、電線やロープを渡ることができる。

適切です。クマネズミは運動能力が高く、細い配線やロープの上も巧みに移動できます。垂直方向の移動や跳躍も得意で、建物の上層階や天井裏にも侵入しやすい特徴があります。このため、単に床面だけを調査しても生息状況を見落とすことがあり、立体的な行動範囲を前提に防除計画を立てる必要があります。電線やロープを伝って移動できるという記述は、クマネズミの大きな特徴を示しており、適切です。

(4) ドブネズミと比べて雑食の傾向が強い。

不適切です。クマネズミも雑食性ではありますが、ドブネズミと比べると穀類や種子、果実など植物質を比較的好む傾向があります。一方、ドブネズミはより強い雑食性を示し、動物質も含めて幅広いものを食べます。そのため、クマネズミのほうがドブネズミより雑食の傾向が強いとする記述は不正確です。この問題では、どちらも雑食であるという共通点だけで判断してしまうと誤ります。比較したときの傾向の違いまで押さえておくことが大切です。

(5) 尾は体長より長く、耳は大きくて折り返すと目をおおう。

適切です。クマネズミの形態的特徴として、尾が頭胴長より長いこと、耳が大きいことがよく知られています。耳を前に折り返すと目に達する、あるいは目をおおう程度であることは、ドブネズミとの識別でよく使われるポイントです。これに対してドブネズミは体つきがずんぐりしており、尾は比較的短く、耳も小さめです。現場では糞や足跡だけでなく、こうした外見的特徴を組み合わせて種類を判断することが重要です。そのため、この記述は適切です。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

クマネズミは、都心のビル内で優占しやすい代表的なねずみであり、高所を好み、天井裏や配線まわり、壁内などを移動します。運動能力が高く、電線やロープを渡ることができるため、立体的な行動範囲を前提に考えることが重要です。性質としては警戒心が強く、新奇性回避が見られるため、粘着トラップや毒餌が効きにくいことがあります。形態では、尾が体長より長く、耳が大きいことが特徴です。ドブネズミとの比較では、ドブネズミは低所や下水系を好み、クマネズミよりも幅広い食性を示しやすい点が重要です。試験では、生息場所、行動特性、食性、外見上の識別点をセットで整理して覚えると、同じテーマの問題に対応しやすくなります。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、クマネズミもドブネズミもどちらも雑食である、という大まかな知識だけで判断させようとしている点にあります。受験者は、クマネズミも何でも食べるなら雑食性が強いと考えてしまいがちですが、試験では比較の視点が重視されます。つまり、単独で見れば雑食でも、ドブネズミと比べた場合にどちらがより幅広い食性かを問われているのです。また、クマネズミの警戒心の強さや運動能力の高さ、ビル内での優占といった典型知識はよく知られているため、そこを正しい記述で並べ、比較表現だけをずらして誤答を誘っています。今後も、共通点だけで判断せず、種ごとの違いを比較して覚えることが大切です。

分野別で問題演習を進めたい方はこちら。

次の問題へ