【ビル管過去問】令和3年度 問題169|ゴキブリの防除方法|毒餌・残留処理・ULV処理・効果判定を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|ねずみ、昆虫等の防除第169問

問題

ゴキブリの防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 薬剤は、生息場所を中心に、ある程度広範囲に処理することが望ましい。

(2) 防除作業後には、効果判定調査を行うことが重要である。

(3) 毒餌処理に用いられる薬剤には、ディートやイカリジンを有効成分とした製剤がある。

(4) よく徘徊する通路などに、残効性の高い有機リン剤やピレスロイド剤を処理する。

(5) ペルメトリンを有効成分とする水性乳剤をULV機で散布すると、追い出し効果が期待できる。

 

 

 

ビル管過去問|ゴキブリの防除方法を解説

この問題は、ゴキブリ防除で使われる代表的な方法と、各薬剤の用途を正しく区別できるかを問う問題です。ゴキブリ対策では、毒餌処理、残留処理、ULV処理、そして防除後の効果判定までを一連の流れとして理解しておくことが重要です。最も不適当なのは(3)です。ディートやイカリジンはゴキブリ用の毒餌成分ではなく、主に人体に使用する忌避剤の有効成分として知られているためです。

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(1) 薬剤は、生息場所を中心に、ある程度広範囲に処理することが望ましい。

適切です。ゴキブリは狭い隙間や暗所を潜伏場所としながら、餌や水を求めて周囲を移動します。そのため、潜伏場所だけに限定して薬剤処理をすると、移動経路にいる個体や周辺に分散した個体を十分に抑えられないことがあります。生息場所を中心にしつつ、その周辺の通路や隠れ場所にも配慮して処理することで、防除効果を高めやすくなります。ただし、やみくもに全面散布するのではなく、生息実態に応じた計画的な処理が大切です。

(2) 防除作業後には、効果判定調査を行うことが重要である。

適切です。防除は薬剤を使って終わりではなく、その後にどれだけ個体数が減少したか、発生源や侵入経路が残っていないかを確認することが重要です。たとえば、トラップ調査や目視確認によって生息状況を再確認することで、防除の成否を客観的に判断できます。効果判定を行わないと、効かなかった原因が薬剤選定の誤りなのか、処理範囲の不足なのか、環境管理の不備なのかが分からず、再発防止につながりません。

(3) 毒餌処理に用いられる薬剤には、ディートやイカリジンを有効成分とした製剤がある。

不適切です。ディートやイカリジンは、蚊やダニなどに対して人の皮膚や衣類に使用する忌避剤として広く用いられる成分であり、ゴキブリ用の毒餌剤の有効成分ではありません。ゴキブリの毒餌処理では、餌を食べさせて駆除することを目的として、ゴキブリが摂取すると致死的に作用する殺虫成分が用いられます。つまり、この選択肢は「忌避剤」と「毒餌剤」という用途の異なる薬剤を混同している点が誤りです。試験では、このように他害虫用の薬剤知識を混ぜてくるひっかけがよくありますので注意が必要です。

(4) よく徘徊する通路などに、残効性の高い有機リン剤やピレスロイド剤を処理する。

適切です。ゴキブリは壁際や物陰、配管まわりなど一定の通路を繰り返し徘徊する習性があります。そのため、こうした移動経路に残留性のある薬剤を処理しておくと、通過した個体に薬剤が接触し、防除効果が期待できます。有機リン剤やピレスロイド剤は、残留処理剤として用いられてきた代表的な薬剤群です。もちろん、実際の現場では安全性や使用基準、周辺環境への影響も考慮して適切に選定する必要がありますが、考え方としては正しい内容です。

(5) ペルメトリンを有効成分とする水性乳剤をULV機で散布すると、追い出し効果が期待できる。

適切です。ULV処理は、微細な粒子として薬剤を空間に散布する方法で、潜伏しているゴキブリを刺激して這い出させる、いわゆる追い出し効果が期待されます。ペルメトリンはピレスロイド系薬剤であり、速効性やノックダウン効果を示しやすいため、このような処理に利用されることがあります。ただし、ULV処理は即効的な効果を得やすい反面、残効性の面では限界があるため、毒餌処理や残留処理、環境改善と組み合わせて総合的に防除することが重要です。

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この問題で覚えるポイント

ゴキブリ防除では、単一の方法だけで完全に対処するのではなく、毒餌処理、残留処理、ULV処理、環境整備、効果判定を組み合わせることが基本です。毒餌処理はゴキブリに薬剤を含んだ餌を食べさせて駆除する方法であり、潜伏場所の近くや活動場所に設置して使います。残留処理は、よく通る経路や潜伏しやすい場所に薬剤を処理し、接触によって殺虫効果を得る方法です。ULV処理は微粒子で空間散布する方法で、速効性や追い出し効果が期待できますが、これだけで長期的な防除を完結できるとは限りません。 また、試験では薬剤の用途の違いが重要です。ゴキブリ用の毒餌剤に使う成分と、人に使用する忌避剤の成分は別物として整理して覚える必要があります。ディートやイカリジンは、蚊などを寄せつけにくくするための忌避成分であり、ゴキブリに食べさせて駆除する毒餌成分ではありません。このように、同じ「害虫対策の薬剤」であっても、対象害虫や使用目的が異なることを理解しておくと、正誤判断がしやすくなります。 さらに、防除作業の後には効果判定が必要です。トラップ調査や発生状況の再確認を通じて、防除が成功したかを判断します。これにより、再処理の必要性や、清掃不良、侵入経路の放置といった根本原因も見つけやすくなります。試験では、薬剤そのものの知識だけでなく、防除計画から事後確認まで含めた実務的な流れを押さえているかが問われます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「薬剤名を知っているか」だけで判断すると誤りやすい点にあります。ディートやイカリジンは有名な害虫対策成分なので、見覚えがあることで正しそうに感じてしまいます。しかし、試験で問われているのは「何のために使う成分か」という用途の違いです。つまり、成分名を知っているだけでは不十分で、その成分が毒餌なのか、残留処理なのか、忌避剤なのかまで結びつけて理解していないと誤答しやすくなります。 また、ULV処理や残留処理のように、どちらも薬剤を使う防除法は混同しやすいです。ですが、ULV処理は主に速効性や追い出し効果をねらう方法であり、残留処理は通路や接触面に薬剤を残して効果を持続させる方法です。この違いを曖昧に覚えていると、文章の一部が正しいだけで全体を正しいと判断してしまう危険があります。今後も、薬剤名、処理方法、目的の三つをセットで整理することが、同テーマの問題に対応するための大切な視点です。

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