出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|清掃第133問
問題
排水槽と排水ポンプの保守管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 排水槽内の悪臭防止対策としては、1〜2時間を超えて排水を貯留しないように、タイマ制御による強制排水を行う。
(2) 排水槽の清掃作業は、酸素濃度を確認した後、硫化水素濃度が10ppm以下であることを測定・確認して行う。
(3) 排水ポンプは、3カ月に1回絶縁抵抗の測定を行い、1MΩ以上であることを確認する。
(4) 排水槽の清掃は、6カ月以内に1回行うことが建築物環境衛生管理基準で規定されている。
(5) 排水ポンプは、1〜2年に1回程度、メカニカルシールの交換を行う。
ビル管過去問|排水槽と排水ポンプの保守管理|悪臭防止・絶縁抵抗・清掃頻度を解説
この問題は、排水槽と排水ポンプの保守管理について、悪臭防止対策、槽内作業時の安全確認、電気設備の点検基準、清掃頻度、部品交換の考え方を総合的に問うものです。排水槽は汚水や雑排水が一時的に滞留する設備であり、放置すると腐敗や悪臭、硫化水素発生の原因になります。また、排水ポンプは水を排出する重要設備であり、電気的な安全性や機械部品の劣化管理も欠かせません。(3)の排水ポンプの絶縁抵抗の測定は、1ヶ月に1回程度行う点検項目であり、3か月に1回とする組合せは不適切です。ほかの選択肢は、排水槽の臭気防止、槽内作業時の安全管理、清掃頻度、メカニカルシール交換の考え方として適切です。

(1) 排水槽内の悪臭防止対策としては、1〜2時間を超えて排水を貯留しないように、タイマ制御による強制排水を行う。
適切です。排水槽内に汚水や雑排水を長時間滞留させると、槽内で有機物が腐敗し、悪臭や硫化水素などの有害ガスが発生しやすくなります。そのため、排水をできるだけ短時間で排出し、長時間の滞留を防ぐことが重要です。タイマ制御による強制排水は、流入量が少ない時間帯でも一定間隔で排水を行えるため、槽内の腐敗防止に有効です。悪臭対策は、単に消臭するのではなく、腐敗しにくい状態をつくることが基本であると押さえておくと理解しやすいです。
(2) 排水槽の清掃作業は、酸素濃度を確認した後、硫化水素濃度が10ppm以下であることを測定・確認して行う。
適切です。排水槽内部は酸素欠乏や硫化水素中毒の危険がある場所です。とくに汚水が滞留する槽では、腐敗により硫化水素が発生することがあり、少量でも人体に有害です。そのため、清掃作業前には酸素濃度を確認し、さらに硫化水素濃度が安全な範囲内であることを測定してから作業を行います。硫化水素濃度10ppm以下という確認は、安全管理上の重要な基準の一つです。排水槽の清掃は設備管理の知識だけでなく、労働安全衛生上の知識も必要になる点が、この分野の大事な特徴です。
(3) 排水ポンプは、3カ月に1回絶縁抵抗の測定を行い、1MΩ以上であることを確認する。
不適切です。排水ポンプは電動機を用いる設備であり、漏電や絶縁劣化があると感電、故障、火災などの重大事故につながります。そのため、排水ポンプの絶縁抵抗の測定は、1ヶ月に1回程度行う点検項目であり、3か月に1回とする組合せは不適切です。この選択肢は、電気設備一般の最低基準と、排水ポンプ管理上で求められる実務的な健全性の目安を混同させるひっかけです。
(4) 排水槽の清掃は、6カ月以内に1回行うことが建築物環境衛生管理基準で規定されている。
適切です。排水槽は汚泥や浮遊物、油脂分などがたまりやすく、放置すると悪臭や腐敗、ポンプ機能低下、衛生害虫の発生原因にもなります。そのため、定期的な清掃が必要であり、建築物環境衛生管理基準では6カ月以内に1回行うこととされています。この頻度は、単に見た目をきれいにするためではなく、排水機能と衛生状態を維持するための最低限の管理水準です。試験では、給水系の貯水槽清掃頻度と混同しないことが大切です。
(5) 排水ポンプは、1〜2年に1回程度、メカニカルシールの交換を行う。
適切です。メカニカルシールは、ポンプ軸まわりから液体が漏れないようにする重要部品です。排水ポンプでは、汚水中の異物や摩耗、経年劣化の影響を受けやすく、長期間使用すると漏水や故障の原因になります。そのため、定期的な点検に加えて、1〜2年に1回程度を目安に交換する管理が行われます。もちろん実際の交換時期は使用条件や運転時間によって前後しますが、定期交換部品として扱う考え方は適切です。ポンプ管理では、電気系統だけでなく、こうした機械的な消耗部品の保守も重要です。
この問題で覚えるポイント
排水槽は、汚水や雑排水を一時的に貯留する設備であり、長時間の滞留は腐敗、悪臭、硫化水素発生の原因になります。そのため、悪臭防止の基本は、できるだけ短時間で排水し、槽内に長くためないことです。タイマ制御や適切な運転制御は、この考え方に基づいています。排水槽の清掃頻度は6カ月以内に1回であり、貯水槽の清掃頻度と混同しないことが重要です。また、槽内作業では酸素濃度と硫化水素濃度の確認が不可欠であり、設備管理と労働安全衛生の両方の視点が必要です。排水ポンプについては、絶縁抵抗測定による電気的安全確認と、メカニカルシールのような消耗部品の交換管理が重要です。試験では、清掃頻度、安全基準、点検項目、交換部品のように、管理項目ごとの役割を整理して覚えると正誤判断しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、もっともらしい数値や用語を入れて、受験者に正しそうだと思わせる点にあります。とくに排水ポンプの絶縁抵抗の測定は、1ヶ月に1回程度行う点検項目であり、3か月に1回とする組合せは不適切です。電気関係で見覚えのある数値なので、そのまま正しいと判断しやすいです。しかし試験では、単に聞いたことがある数値かどうかではなく、その設備の保守管理基準として妥当かどうかまで考える必要があります。また、排水槽の清掃頻度は、貯水槽や他の衛生設備の清掃基準と混同しやすい部分です。さらに、悪臭防止や硫化水素対策は日常感覚では見えにくいため、消臭剤や換気だけを想像してしまうと誤りやすいです。この分野では、臭いが出た後の対策ではなく、腐敗させないために滞留時間を減らすという予防的な発想が大切です。