【ビル管過去問】令和3年度 問題129|排水トラップと阻集器の基礎|封水強度・砂阻集器・オイル阻集器を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第129問

問題

排水トラップと阻集器に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ドラムトラップは、サイホントラップに分類される。

(2) トラップの封水強度とは、排水管内に正圧又は負圧が生じたときのトラップの封水保持能力をいう。

(3) 砂阻集器に設ける泥だめの深さは、150mm以上とする。

(4) 開放式のオイル阻集器を屋内に設置する場合は、換気を十分に行う。

(5) 繊維くず阻集器には、金網の目の大きさが13mm程度のバスケットストレーナを設置する。

 

 

 

ビル管過去問|排水トラップと阻集器の基礎|封水強度・砂阻集器・オイル阻集器を解説

この問題は、排水トラップの種類と役割、阻集器の構造基準や設置上の注意点について問う問題です。排水設備では、悪臭や有害ガスの侵入を防ぐトラップと、砂・油脂・繊維くずなどを分離して下流設備を保護する阻集器の知識が重要です。ドラムトラップの分類に関する記述は誤っており、これが最も不適当です。用語の分類を正確に押さえられているかが得点の分かれ目になります。

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(1) ドラムトラップは、サイホントラップに分類される。

不適切です。ドラムトラップは、サイホントラップには分類されません。トラップは構造によっていくつかの種類に分かれますが、サイホントラップにはPトラップやSトラップ、Uトラップなどのように、管の屈曲によって封水を形成するものがあります。これに対してドラムトラップは、胴体部に水をためる構造をもつ別系統のトラップです。つまり、封水を保持するという目的は同じでも、構造上の分類が異なります。この問題では「トラップとして機能すること」と「サイホントラップに分類されること」を混同しないことが大切です。

(2) トラップの封水強度とは、排水管内に正圧又は負圧が生じたときのトラップの封水保持能力をいう。

適切です。封水強度とは、排水管内の圧力変動によってトラップ内の封水が破られにくい性質、つまり封水をどれだけ安定して保てるかを示す考え方です。排水設備では、上階からの大量排水や通気不良などによって正圧や負圧が発生することがあります。負圧が強いとトラップ内の水が吸い出され、正圧が強いと封水が押し出されることがあります。封水が失われると、下水道や排水管の悪臭、ガス、害虫などが室内側へ侵入しやすくなるため、封水強度は衛生上きわめて重要です。

(3) 砂阻集器に設ける泥だめの深さは、150mm以上とする。

適切です。砂阻集器は、排水中に含まれる土砂や泥を沈殿させて下流へ流さないための装置です。泥だめの深さが浅いと、沈殿した砂がすぐに再び流出しやすくなり、配管閉塞や機器障害の原因になります。そのため、一定以上の深さを確保する必要があり、泥だめの深さは150mm以上とするのが基準です。数値問題として見えても、実際には沈殿物を安定して保持するための最低条件を問うています。数値の暗記だけでなく、なぜその深さが必要なのかまで理解しておくと応用が利きます。

(4) 開放式のオイル阻集器を屋内に設置する場合は、換気を十分に行う。

適切です。オイル阻集器は、排水中に含まれる油分を分離し、下流へ流出しにくくするための装置です。開放式のものを屋内に設置すると、油のにおいや可燃性蒸気がこもるおそれがあるため、十分な換気が必要です。換気が不十分だと、作業環境の悪化や衛生上の問題だけでなく、安全面でもリスクが高まります。阻集器は単に分離性能だけでなく、維持管理や設置環境まで含めて適切であることが求められます。この選択肢は、設備の機能と安全管理の両面を踏まえた正しい内容です。

(5) 繊維くず阻集器には、金網の目の大きさが13mm程度のバスケットストレーナを設置する。

適切です。繊維くず阻集器は、洗濯設備などから排出される糸くずや布片などを捕集し、配管の詰まりを防ぐために設けられます。そのため、内部にはバスケットストレーナが設置され、繊維くずを効率よく引っかけられる程度の金網寸法が必要です。金網の目の大きさが13mm程度という記述は、繊維くずを捕集しつつ、過度に目を細かくして流水を妨げないようにする実務的な基準に沿っています。阻集器は種類ごとに対象物質が異なるため、砂・油・繊維くずをそれぞれ何で分離するのかを整理して覚えることが重要です。

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この問題で覚えるポイント

排水トラップは、排水管からの悪臭やガス、害虫の侵入を防ぐために封水を保持する器具です。重要なのは、トラップにはいくつかの構造分類があり、PトラップやSトラップ、Uトラップなどのサイホントラップ系と、ドラムトラップのような別構造のものがあることです。名称がすべて「トラップ」で共通していても、分類まで同じとは限らない点を押さえる必要があります。 封水強度は、排水管内の正圧や負圧が生じたときでも封水を保てる能力を指します。排水設備では通気不良や大量排水により圧力変動が起こるため、封水の吸い出しや吹き出しを防ぐ視点が重要です。試験では、封水深と封水強度を混同しないことも大切です。封水深は水の深さそのもの、封水強度は圧力変動に対する保持性能という違いがあります。 阻集器は、排水中に含まれる有害又は障害となる物質を分離する装置で、対象物に応じて種類が異なります。砂阻集器は砂や泥を沈殿させるもので、泥だめの深さは150mm以上が基準です。オイル阻集器は油分を分離するもので、特に開放式を屋内設置する場合は換気が重要です。繊維くず阻集器は洗濯排水などの繊維質を捕集するもので、バスケットストレーナを設ける点が特徴です。このように、何を対象にどの方式で除去するのかを対応づけて覚えると、同テーマの問題に対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「機能が同じなら分類も同じだろう」と思わせる点にあります。ドラムトラップも封水を用いて悪臭を防ぐため、ついサイホントラップの仲間だと考えやすいのですが、試験では機能ではなく構造分類を正確に問うています。役割が共通していることと、分類が同じであることは別問題だと意識する必要があります。 また、数値や基準を含む選択肢を見ると、受験者はそこを疑いやすくなります。泥だめの深さ150mm以上や金網13mm程度のような具体的数値は、一見すると細かすぎて誤りに見えやすいですが、実は基準に沿った正しい記述であることがあります。問題作成者は、受験者が「数値は怪しい」と先入観で判断することを狙っています。数値は感覚で切らず、基準として落ち着いて確認することが大切です。 さらに、オイル阻集器の換気のように、設備の性能ではなく設置環境や維持管理上の注意を問う選択肢も見落としやすいです。試験では、装置の名称と用途だけでなく、安全性や衛生管理まで含めて理解しているかを確認してきます。設備問題では、構造、用途、基準値、設置条件をまとめて押さえることが、ひっかけに強くなるコツです。

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