出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第128問
問題
排水通気配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 通気管の末端を、窓・換気口等の付近に設ける場合は、その上端から600mm以上立ち上げて大気に開放する。
(2) 特殊継手排水システムは、排水横枝管への接続器具数が比較的少ない集合住宅やホテルの客室系統に多く採用されている。
(3) 間接排水管の管径が30mmの場合の排水口空間は、最小50mmである。
(4) 結合通気管は、高層建物のブランチ間隔10以上の排水立て管において、最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに設置する。
(5) ループ通気管は、最上流の器具排水管が排水横枝管に接続される位置のすぐ下流から立ち上げて、通気立て管に接続する。
ビル管過去問|排水通気配管の基礎知識を解説
この問題は、排水通気配管に関する基本的な用語、設置基準、数値基準を正しく理解しているかを問う問題です。通気管の立ち上げ高さ、特殊継手排水システムの適用例、間接排水の排水口空間、結合通気管やループ通気管の設置条件など、実務でも混同しやすい事項が並んでいます。(3)間接排水管の管径30mmに対する排水口空間の数値が誤っています。他の選択肢は、排水通気配管の原則や高層建物における通気方式の考え方として適切な内容です。数値と用語の結び付きまで含めて整理して覚えることが大切です。

(1) 通気管の末端を、窓・換気口等の付近に設ける場合は、その上端から600mm以上立ち上げて大気に開放する。
適切です。通気管の末端は、排水系統内の空気を安全に大気へ逃がすためのものですが、設置位置が窓や換気口に近いと、臭気やガスが建物内に入り込むおそれがあります。そのため、周囲の開口部への影響を避けるよう、一定以上立ち上げて大気に開放することが必要です。600mm以上という基準は、臭気障害の防止という観点から重要であり、単に屋外に出せばよいというものではありません。通気管は圧力調整だけでなく、衛生性の確保にも深く関係している設備であると理解しておくと判断しやすくなります。
(2) 特殊継手排水システムは、排水横枝管への接続器具数が比較的少ない集合住宅やホテルの客室系統に多く採用されている。
適切です。特殊継手排水システムは、専用の継手形状を用いることで、排水立て管内の流れを安定させ、封水破壊や圧力変動を抑えやすくした排水方式です。特に集合住宅やホテルの客室系統のように、同じような器具が各階で繰り返し配置され、横枝管に接続される器具数が比較的整理されている系統で採用しやすい特徴があります。反対に、多数の器具が複雑に接続される用途では、計画や検討がより慎重に必要になります。この選択肢は、特殊継手排水システムの代表的な適用場面を述べたものとして適切です。
(3) 間接排水管の管径が30mmの場合の排水口空間は、最小50mmである。
不適切です。間接排水では、排水先との間に一定の空間を設けることで、排水の逆流や汚染が器具側へ及ばないようにします。この空間を排水口空間といい、衛生上きわめて重要な考え方です。排水口空間の最小寸法は、間接排水管の管径に応じて定められており、管径30mmの場合に最小50mmとするのは誤りです。ここでは数値の取り違えが問われています。間接排水は、飲料水や食品を扱う設備などで逆流汚染を防ぐためにも重要であり、単に排水できればよい設備ではありません。試験では、このような数値基準をあいまいに覚えていると誤答しやすいため注意が必要です。
(4) 結合通気管は、高層建物のブランチ間隔10以上の排水立て管において、最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに設置する。
適切です。高層建物の排水立て管では、階数が多くなるほど管内圧力の変動が大きくなり、各器具の封水に悪影響を及ぼしやすくなります。結合通気管は、排水立て管と通気立て管を連結し、圧力差を緩和するために設けられるものです。特にブランチ間隔が大きい高層建物では、一定間隔ごとに設置して通気機能を補強することが必要です。最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに設置するという考え方は、高層排水設備における代表的な基準の一つであり、適切な記述です。
(5) ループ通気管は、最上流の器具排水管が排水横枝管に接続される位置のすぐ下流から立ち上げて、通気立て管に接続する。
適切です。ループ通気管は、排水横枝管の圧力変動を抑え、器具トラップの封水を保護するために設けられる通気管です。排水横枝管の上流側の器具ほど、流れの影響や負圧の影響を受けやすいため、最上流の器具排水管が接続される位置のすぐ下流から立ち上げるという配置が重要になります。そして、これを通気立て管に接続することで、枝管内の通気経路を確保します。言葉だけ見ると位置関係がわかりにくいですが、要するに横枝管の通気不足を補うための配管であると理解すると整理しやすいです。
この問題で覚えるポイント
排水通気配管では、排水を円滑に流すことと、トラップ封水を保護することの両方が重要です。通気設備は、排水によって生じる正圧や負圧を緩和し、悪臭やガスの逆流、封水破壊を防ぐ役割を持ちます。したがって、単に配管をつなぐ知識だけでなく、なぜ通気が必要なのかを理解することが得点につながります。
通気管の末端は、臭気が建物内に影響しないように大気へ適切に開放しなければなりません。窓や換気口の近くでは、一定以上立ち上げるという基準があり、600mmという数値は重要です。こうした数値は、衛生上の安全確保のために定められています。
間接排水は、排水系統からの逆流や逆汚染を防ぐために、排水口空間を確保して排水を受ける方式です。これはとくに衛生性が重視される設備で重要です。排水口空間は、間接排水管の管径に応じて最小寸法が決まっており、数値問題として出題されやすい分野です。管径と必要空間の組合せは、そのまま覚えることが有効です。
高層建物では、排水立て管内の圧力変動が大きくなるため、結合通気管のような補助的な通気設備が必要になります。ブランチ間隔という考え方と、どの程度の間隔で設けるかという基準を結び付けて理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなります。
ループ通気管は、排水横枝管の通気を確保するためのもので、最上流側の器具に不利な圧力変動を起こさせないために設けます。結合通気管、各個通気管、伸頂通気管などと名称が似ていますが、それぞれ設置目的と接続位置が異なります。名称だけでなく、どの部分の圧力障害を防ぐ通気かまで整理することが大切です。
特殊継手排水システムは、一般的な排水通気方式とは少し異なる出題ポイントです。どのような建物用途や器具構成で採用されやすいかを押さえておくと、文章問題でも迷いにくくなります。集合住宅やホテル客室のように、系統が比較的整っている用途で使われやすい点は覚えておきたいところです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、用語そのものよりも、もっともらしく見える数値や設置条件を混ぜている点にあります。特に間接排水の排水口空間のような数値基準は、受験者が「だいたいそのくらいだったはず」と曖昧に覚えていると誤りを見抜けません。問題作成者は、その曖昧さを狙ってきます。
また、結合通気管とループ通気管のように、どちらも通気管でありながら目的と設置位置が違うものを並べることで、名称の印象だけで判断させようとしています。通気管は種類が多く、名前も似ているため、言葉の雰囲気で判断すると混同しやすいです。どの配管を保護するための通気か、どこから立ち上げてどこへ接続するかで見分ける癖をつけることが重要です。
さらに、特殊継手排水システムのように、実務イメージがないと判断しづらい選択肢もあります。こうした選択肢は、知らないと不安になって誤りに見えやすいですが、他の選択肢に明確な数値誤りがないかを落ち着いて比較することが大切です。試験では、知らない選択肢を無理に否定するのではなく、既知の基準から消去していく姿勢が有効です。