【ビル管過去問】令和3年度 問題107|給水排水管理の障害用語|スライム・スカム・スケール・赤水を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第107問

問題

給水及び排水の管理に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) スライム障害 ―――― バイオフィルムの形成

(2) 異臭味 ――――――― 藻類や放線菌の産生物質

(3) スカム ――――――― 排水槽内の浮上物質

(4) スケール障害 ―――― トリハロメタンの生成

(5) 赤水 ―――――――― 鉄錆(さび)の溶出

 

 

 

ビル管過去問|給水排水管理の障害用語を解説

この問題は、給水及び排水の管理で使われる代表的な障害用語の意味を正しく理解しているかを問うものです。スライム、スカム、スケール、赤水はいずれも設備管理の現場でよく出る用語ですが、それぞれ原因や現象が異なります。誤りは、スケール障害をトリハロメタンの生成と結び付けているものです。スケール障害は主にカルシウム塩やマグネシウム塩などの付着による障害であり、トリハロメタンとは無関係です。他の選択肢は、それぞれの用語の説明として適切です。用語の意味を原因と現象の両方から押さえておくことが、同テーマの問題に対応するためのポイントです。

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(1) スライム障害 ―――― バイオフィルムの形成

適切です。スライムとは、配管や水槽の内面に微生物が増殖して形成されるぬめり状の付着物のことです。これは細菌や真菌などが集まってつくるバイオフィルムであり、給水設備や冷却水設備などで問題になります。スライムが発生すると、水の流れが悪くなったり、配管の腐食を促進したり、衛生状態を悪化させたりします。そのため、スライム障害をバイオフィルムの形成と結び付ける説明は正しいです。

(2) 異臭味 ――――――― 藻類や放線菌の産生物質

適切です。水の異臭味は、水源や貯水設備の状態によって発生することがあり、その原因の一つが藻類や放線菌の産生物質です。たとえば、かび臭や土臭の原因となる物質として、ジェオスミンや2-メチルイソボルネオールなどが知られています。これらは水そのものが腐っているというより、微生物由来の物質によって不快なにおいや味が生じる現象です。したがって、この組合せは適切です。

(3) スカム ――――――― 排水槽内の浮上物質

適切です。スカムとは、排水や汚水の処理過程で水面に浮かび上がる固形物や油脂分などの浮上物質を指します。排水槽や沈殿槽などで見られやすく、放置すると悪臭や衛生害虫の発生、設備機能の低下につながります。水より軽い油脂類や泡を含んだ汚れなどが水面に集まってできるため、排水槽内の浮上物質という説明は正しいです。

(4) スケール障害 ―――― トリハロメタンの生成

不適切です。スケール障害とは、水に含まれるカルシウム、マグネシウム、鉄、シリカなどの成分が配管やボイラー、熱交換器の内面に固着して、硬い付着物となる現象です。これにより熱交換効率が低下したり、流量が減少したり、機器の性能が落ちたりします。一方、トリハロメタンは、水中の有機物と塩素が反応して生成される消毒副生成物です。つまり、スケール障害は析出・付着の問題であり、トリハロメタンの生成は水質化学反応の問題です。両者はまったく別の現象なので、この組合せが最も不適当です。

(5) 赤水 ―――――――― 鉄錆(さび)の溶出

適切です。赤水とは、給水中に鉄錆が混入することで水が赤褐色に見える現象です。古い鋼管やライニングの劣化した配管などで起こりやすく、管内面の腐食によって生成した鉄錆が水中に溶け出したり、剥離して流出したりすることで発生します。見た目の問題だけでなく、洗濯物や器具を汚す原因にもなるため、給水管理では重要な障害です。このため、赤水を鉄錆の溶出と説明するのは適切です。

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この問題で覚えるポイント

給水排水管理では、障害用語を単に言葉として覚えるのではなく、何が原因で、どのような現象が起きるのかまで結び付けて理解することが大切です。スライムは微生物によるぬめり状付着物で、実体はバイオフィルムです。スカムは排水設備で見られる浮上物質で、油脂類や固形物が水面に集まったものです。スケールは水中成分が析出して配管や機器に固着したもので、熱交換障害や閉塞の原因になります。赤水は鉄配管の腐食によって鉄錆が混入する現象です。異臭味は藻類や放線菌の代謝産物のほか、消毒や原水由来でも起こりますが、代表例としてかび臭や土臭がよく問われます。 試験では、水質障害と設備障害を区別できることが重要です。スケールや赤水、スライムは設備や配管内部で起きる障害として出題されやすく、トリハロメタンは消毒副生成物として水質の問題で問われます。つまり、付着や腐食に関する現象なのか、化学反応による水質変化なのかを見分けることが正誤判断に直結します。また、似た語感の用語であっても、スライムは微生物膜、スカムは浮上物、スケールは無機成分の固着という違いがあります。この区別を明確にしておくと、同テーマの応用問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、実務でよく聞く障害用語を並べたうえで、一見もっともらしい説明を一つだけ混ぜている点にあります。特に受験者が引っかかりやすいのは、水に関する問題だからどの用語も何となく関連しているように見えてしまうことです。その結果、設備内に付着するスケールの話と、水中で生成するトリハロメタンの話を同じ水質トラブルとして一括りにしてしまいやすくなります。 また、用語を暗記だけで処理していると、スライム、スカム、スケールのような似た響きの言葉が混同しやすくなります。問題作成者はそこを狙って、言葉の印象だけでは判断できない組合せを入れてきます。今後もこのタイプの問題では、その用語が微生物由来なのか、浮上物なのか、無機成分の析出なのか、あるいは消毒副生成物のような化学反応なのかを頭の中で整理しながら判断することが大切です。見た目がそれらしくても、現象の種類が違えば誤りだと見抜けるようになります。

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