出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の構造概論第101問
問題
都市ガスとLPガスに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 都市ガスの低位発熱量とは、水蒸気の潜熱を含む場合の発熱量のことである。
(2) LPガスは常温・常圧では気体であるが、加圧や冷却により液化して貯蔵・運搬される。
(3) 都市ガスの大半は、天然ガスを主原料にしている。
(4) 都市ガス及びLPガスは、いずれも臭いがほとんどないガスであるため付臭剤が添加されている。
(5) ガスの比重については、13Aの都市ガスは空気より軽く、LPガスは空気より重い。
ビル管過去問|都市ガスとLPガスの基礎知識|発熱量・比重・付臭剤の違いを解説
この問題は、都市ガスとLPガスの性質について、発熱量の定義、貯蔵方法、原料、付臭、比重の違いを総合的に問う問題です。正答は(1)で、低位発熱量の説明が誤っています。低位発熱量は水蒸気の潜熱を含まない発熱量であり、潜熱を含むのは高位発熱量です。ガスの性質は、漏えい時の危険性や設備管理にも直結する重要分野ですので、用語の定義と性質の違いを正確に整理して覚えることが大切です。

(1) 都市ガスの低位発熱量とは、水蒸気の潜熱を含む場合の発熱量のことである。
不適切です。低位発熱量とは、燃焼によって生じた水蒸気がそのまま気体として排出されるものと考え、その水蒸気が凝縮するときに放出する潜熱を含めない発熱量のことです。これに対して、高位発熱量は水蒸気が凝縮して潜熱まで回収できるものとして計算した発熱量です。つまり、この選択肢は低位発熱量と高位発熱量の説明を逆にしています。発熱量の用語は試験で入れ替えて出題されやすいため、低位は潜熱を含まない、高位は潜熱を含むと整理して覚えることが重要です。
(2) LPガスは常温・常圧では気体であるが、加圧や冷却により液化して貯蔵・運搬される。
適切です。LPガスは液化石油ガスのことで、主成分はプロパンやブタンです。これらは常温・常圧では気体ですが、圧力をかけたり冷却したりすると比較的容易に液化できます。そのため、ボンベやタンクに液体の状態で貯蔵し、使用時に気化させて供給します。体積を小さくできるので、輸送や保管に適している点がLPガスの大きな特徴です。設備管理の場面でも、液化していることを前提に圧力管理や安全対策が行われます。
(3) 都市ガスの大半は、天然ガスを主原料にしている。
適切です。現在の都市ガスは、主に天然ガスを原料としています。特に日本で広く供給されている13Aガスは、メタンを主成分とする天然ガスをベースにしています。かつては石炭や石油由来のガスもありましたが、現在は熱量が高く、燃焼性や供給の安定性にも優れた天然ガスへの転換が進んでいます。このため、都市ガスの原料について問われた場合は、基本的に天然ガスが中心であると理解しておけばよいです。
(4) 都市ガス及びLPガスは、いずれも臭いがほとんどないガスであるため付臭剤が添加されている。
適切です。都市ガスもLPガスも、本来はほとんど臭いがありません。しかし、漏えいしたときに人が気付きやすいようにする必要があるため、人工的に付臭剤が加えられています。これは安全管理上きわめて重要で、ガス漏れを早期に発見し、事故を防ぐための措置です。日常生活でもガス臭いと感じるのは、ガスそのものの臭いではなく、付臭剤によるものです。この点は実務にも直結する基本知識です。
(5) ガスの比重については、13Aの都市ガスは空気より軽く、LPガスは空気より重い。
適切です。13Aの都市ガスは主成分がメタンであり、空気より軽い性質があります。そのため、漏れると上方にたまりやすい傾向があります。一方、LPガスはプロパンやブタンが主成分で、空気より重いため、漏れると低い場所に滞留しやすくなります。この違いは換気や警報器の設置位置にも関係します。都市ガス用警報器は高い位置、LPガス用警報器は低い位置に設置するのが基本であり、比重の違いは安全対策の基礎として重要です。
この問題で覚えるポイント
都市ガスとLPガスでは、発熱量の定義、比重、原料、貯蔵方法が重要な整理ポイントです。まず発熱量では、高位発熱量は燃焼によって生じた水蒸気の潜熱を含む値であり、低位発熱量は潜熱を含まない値です。この高位と低位の違いは頻出です。次に都市ガスは現在、主に天然ガスを原料とし、13Aはメタン主体で空気より軽い性質があります。これに対してLPガスはプロパンやブタンを主成分とする液化石油ガスで、空気より重く、加圧や冷却によって液化してボンベなどに貯蔵されます。また、都市ガスもLPガスも本来は無臭に近いため、漏えい時に気付きやすくするため付臭剤が添加されています。試験対策としては、都市ガスは天然ガス、空気より軽い、LPガスは液化して貯蔵、空気より重い、という比較で覚えると整理しやすいです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、もっともらしい専門用語の説明を逆に入れ替えている点にあります。特に低位発熱量と高位発熱量は、名称だけを見るとどちらが潜熱を含むのか直感で判断しにくく、言葉の印象だけで読むと誤りを見抜きにくいです。また、都市ガスとLPガスについても、どちらも家庭で使う燃料ガスという共通点があるため、性質の違いを曖昧に覚えていると比重や貯蔵方法を混同しやすくなります。さらに、ガスに臭いがあるという日常感覚に引っぱられると、付臭剤が添加されているという事実を見落とすことがあります。このように、日常の印象と専門的な定義のずれを利用した出題はよくあるため、用語の定義は語感ではなく中身で覚えることが大切です。