【ビル管過去問】令和3年度 問題21|生体の恒常性ホメオスタシス|神経系・内分泌系・加齢と適応反応を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第21問

問題

生体の恒常性(ホメオスタシス)等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 外部環境の変化に対し内部環境を一定に保つ仕組みを恒常性という。

(2) 恒常性は、主に、神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。

(3) 外部からの刺激は、受容器で受容されて中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。

(4) 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。

(5) 加齢とともに摂取エネルギー量は低下するが、エネルギーを予備力として蓄えておく能力は増加する。

ビル管過去問|生体の恒常性ホメオスタシス|神経系・内分泌系・加齢と適応反応を解説

この問題は、ホメオスタシスの基本的な考え方と、それを支える神経系や内分泌系の働き、さらに刺激に対する生体の適応反応や加齢に伴う生理機能の変化について問うものです。恒常性とは、外部環境が変化しても体内の状態をできるだけ一定に保つ仕組みのことです。正しい選択肢は、恒常性の定義を述べたもの、恒常性を支える仕組みを述べたもの、刺激に対する反応経路を述べたもの、そして生体の非特異的な適応反応を述べたものです。一方で、加齢により予備力が増加するという記述は誤りであり、これが最も不適当です。加齢に伴って生体の予備力や適応力は一般に低下すると理解しておくことが大切です。

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(1) 外部環境の変化に対し内部環境を一定に保つ仕組みを恒常性という。

適切です。その理由は、恒常性、いわゆるホメオスタシスとは、体温、血圧、血糖、体液量、血液中の電解質濃度など、生命維持に必要な内部環境を一定の範囲に保とうとする生体の働きだからです。人の体は暑ければ発汗し、寒ければ血管を収縮させるなど、外部環境の変化に応じて内部環境を調整します。このような仕組みがあることで、体内の細胞は安定した条件のもとで機能できます。ホメオスタシスは生理学の基本概念ですので、まずこの定義を正確に押さえることが重要です。

(2) 恒常性は、主に、神経系、内分泌系、免疫系の機能によって維持されている。

適切です。その理由は、恒常性の維持には、変化をすばやく察知して命令を伝える神経系、ホルモンによって比較的ゆるやかで持続的な調整を行う内分泌系、そして体内に侵入した異物や病原体から内部環境を守る免疫系が深く関わっているからです。たとえば血糖値の調整には膵臓から分泌されるインスリンやグルカゴンが関与し、体温調節には自律神経が働きます。また、感染症から体を守ることも体内環境の安定化にとって重要です。試験では神経系と内分泌系がよく問われますが、免疫系も広い意味で恒常性維持に関与すると理解しておくと整理しやすいです。

(3) 外部からの刺激は、受容器で受容されて中枢に伝達され、その後、効果器に興奮が伝えられて反応が起こる。

適切です。その理由は、生体が刺激に反応する基本的な流れを正しく表しているからです。まず光、音、温度、痛みなどの刺激を受容器が感知し、その情報が感覚神経を通って中枢神経系へ伝えられます。中枢で情報が処理された後、運動神経や自律神経を通じて筋肉や腺などの効果器へ命令が送られ、反応が起こります。たとえば熱いものに触れたときに手を引っ込める反応は、この経路によって説明できます。受容器、中枢、効果器という流れは、生理学の問題で繰り返し問われる基本事項です。

(4) 生体に刺激が加えられると、生体内に変化が生じ、適応しようとする反応が非特異的に生じる。

適切です。その理由は、これはストレスに対する生体反応の基本的な考え方を表しているからです。生体は寒冷、暑熱、騒音、感染、精神的緊張など、さまざまな刺激を受けると、それぞれの刺激の種類にかかわらず、一定の共通した反応を示します。これを非特異的反応といいます。たとえば交感神経の活性化やホルモン分泌の変化などにより、体はその刺激に適応しようとします。これはストレス学説でも重要な考え方であり、刺激ごとにまったく別の反応が起こるのではなく、共通の適応反応が現れる点がポイントです。

(5) 加齢とともに摂取エネルギー量は低下するが、エネルギーを予備力として蓄えておく能力は増加する。

不適切です。その理由は、加齢に伴って一般に低下するのは摂取エネルギー量だけではなく、生体の予備力や適応能力そのものでもあるからです。若い時期には外部環境の変化や病気、負荷に対して比較的余裕をもって対応できますが、高齢になるほどその余裕は小さくなります。これは心肺機能、代謝機能、体温調節機能、免疫機能など多くの面でみられます。したがって、加齢によってエネルギーを予備力として蓄える能力が増加するという記述は誤りです。むしろ加齢により予備力は減少し、ちょっとした環境変化でも体調を崩しやすくなると理解するのが正確です。

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この問題で覚えるポイント

恒常性とは、外部環境が変化しても体内環境を一定範囲に保つ仕組みです。体温、血圧、血糖、体液量などが代表的な調節対象です。恒常性の維持には、速やかに情報を伝える神経系、ホルモンで全身を調整する内分泌系、異物や感染から体を守る免疫系が関わります。刺激に対する基本経路は、受容器で刺激を受け、中枢で処理し、効果器が反応するという流れです。また、ストレスに対する生体反応では、刺激の種類が違っても共通した非特異的反応が起こるという考え方が重要です。さらに、加齢に伴って基礎代謝や摂取エネルギー量は低下し、生体の予備力や適応能力も低下することを押さえておく必要があります。試験では、恒常性の定義そのものよりも、関連する仕組みや加齢変化との関係を組み合わせて問うことが多いため、用語だけでなく意味まで理解しておくことが得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、前半が正しい内容で始まり、後半だけを誤らせる形になっている点です。特に加齢に伴って摂取エネルギー量が低下するという部分は事実なので、その流れで後半の予備力が増加するという誤りまで正しいように見えてしまいます。受験者は一部が正しい文章に引っ張られ、全体を正しいと判断しやすいです。また、日常感覚では脂肪がつきやすくなることを「蓄える能力が増える」と誤解しやすいのですが、生理学でいう予備力とは、環境変化や負荷に耐える身体機能の余裕のことです。見た目の体脂肪の増減と、生体の予備力や適応能力は別物です。このように、日常感覚で理解している言葉と、生理学で使う専門用語の意味がずれていると誤答しやすくなります。

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