出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物衛生行政概論第6問
問題
建築物衛生法に基づき備え付けておかなければならない帳簿書類とその保存期間との組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。
(1) 飲料水貯水槽の修繕の記録 ――――――― 2年間
(2) 維持管理に関する設備の配置図 ――――― 5年間
(3) 更新した空調設備の整備記録 ―――――― 3年間
(4) 臨時に実施した空気環境測定の結果 ――― 3年間
(5) 排水管清掃の実施記録 ――――――――― 5年間
ビル管過去問|建築物衛生法 帳簿書類の保存期間を解説
この問題は、建築物衛生法に基づいて備え付ける帳簿書類について、何をどれだけの期間保存しなければならないかを問う問題です。帳簿書類の保存期間は数字の暗記だけでなく、図面のように長期的に使うものなのか、日常の維持管理記録のように一定期間保存するものなのかを整理して覚えることが大切です。正しい選択肢は(5)で、排水管清掃の実施記録は5年間保存する必要があります。他の選択肢は、保存期間が実際の基準と合っていないため不適切です。
(1) 飲料水貯水槽の修繕の記録 ――――――― 2年間
不適切です。飲料水貯水槽の修繕の記録は、建築物の飲料水設備の安全性や衛生状態を継続的に確認するうえで重要な記録であり、2年間ではありません。修繕の履歴は、過去にどの部分をどのように直したかを後から確認するために必要になるため、より長い期間の保存が求められます。このような修繕記録を短期間保存と覚えてしまうと、設備管理に関する問題で誤りやすくなります。
(2) 維持管理に関する設備の配置図 ――――― 5年間
不適切です。維持管理に関する設備の配置図は、日々更新されて消えていく性質の記録ではなく、建築物の維持管理そのものの基礎資料として備え付けておくべき書類です。そのため、5年間保存して廃棄するという考え方ではなく、現に維持管理を行うために必要な図書として継続的に備えておくものと理解するのが適切です。図面類は「保存年数で処理する記録」と混同しやすいですが、性格が異なります。
(3) 更新した空調設備の整備記録 ―――――― 3年間
不適切です。空調設備の整備記録は、設備の更新や保守の経過を把握するために重要ですが、3年間という組合せは適当ではありません。建築物衛生法では、空調設備を含む各種設備の維持管理に関する記録について、それぞれ定められた保存期間があります。整備記録は故障や不具合の原因追跡、保守履歴の確認にも関わるため、感覚的に短く判断するのではなく、法令上の区分ごとに整理して覚える必要があります。
(4) 臨時に実施した空気環境測定の結果 ――― 3年間
不適切です。空気環境測定の結果は、定期に行ったものだけでなく、臨時に行ったものも含めて適切に保存しなければなりませんが、この選択肢の3年間という保存期間は適当ではありません。空気環境測定は建築物内の衛生状態を把握するうえで基本となる記録であり、保存期間も法令で定められています。臨時に実施したという言葉に引っ張られて、通常より短くてよいと考えると誤答しやすいところです。
(5) 排水管清掃の実施記録 ――――――――― 5年間
適切です。排水管清掃の実施記録は5年間保存することとされており、この組合せが正解です。排水管の清掃は建築物の衛生維持に直結する重要な管理項目であり、詰まりや悪臭、衛生害虫の発生などのトラブルとの関係を後から確認するためにも、長期間の記録保存が必要です。試験では、清掃や点検の実施記録が何年保存かという形で問われやすいため、排水管清掃は5年間と確実に覚えておくことが大切です。
この問題で覚えるポイント
建築物衛生法における帳簿書類は、単に保存年数を丸暗記するのではなく、資料の性質ごとに整理して覚えることが重要です。まず、設備の配置図のような図書は、維持管理の基礎資料として常時備えておく性格が強く、一定年数で廃棄する記録とは性質が異なります。次に、測定結果や清掃・点検・整備の実施記録は、法令で定められた保存期間に従って保存します。特に、排水管清掃の実施記録は5年間という数字が問われやすい重要事項です。 また、臨時実施か定期実施かで保存期間が変わると早合点しないことも大切です。試験では「臨時」という語が入ることで、受験者に例外扱いと誤認させることがあります。しかし、実際には記録としての重要性から、法令に基づいて保存すべきものはきちんと整理しておかなければなりません。さらに、修繕記録や整備記録も、建築物の維持管理履歴として重要であり、短い年数を感覚的に当てはめるのは危険です。帳簿書類の問題では、図面類、測定記録、清掃記録、設備整備記録という分類で覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、もっともらしい保存年数を並べて、受験者の曖昧な記憶を狙っている点にあります。2年、3年、5年はいずれも実務上ありそうな数字に見えるため、正確な知識がないと雰囲気で選んでしまいやすい問題です。特に、修繕記録や整備記録は短め、図面は長め、臨時測定は短めといった日常感覚で判断すると誤ります。 また、設備の配置図と実施記録を同じ「保存年数問題」として処理してしまうのも典型的な思考の罠です。配置図は維持管理の前提となる資料であり、一定期間保存して終わる性質の文書とは異なります。さらに、「臨時に実施した空気環境測定」という表現は、一見すると例外的で保存年数も短そうに感じますが、こうした言葉の印象に流されず、法令上の扱いで判断する必要があります。試験では、資料の性質の違いを理解せずに数字だけを追う受験者が狙われやすいため、文書の役割と保存の意味をセットで覚えることが再発防止につながります。
