【ビル管過去問】令和4年度 問題122|給湯配管材料 腐食・潰食・樹脂管の耐熱特性を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第122問

問題

給湯設備に使用される材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ステンレス鋼管の隙間腐食は、不動態化によるものである。

(2) 金属材料の曲げ加工を行った場合には、応力腐食の原因となる。

(3) 銅管は、管内の流速が速いと潰食が生じる。

(4) 耐熱性硬質ポリ塩化ビニルライニング鋼管には、管端防食継手を使用する。

(5) 樹脂管は、使用温度が高くなると許容使用圧力は低くなる。

ビル管過去問|給湯配管材料 腐食・潰食・樹脂管の耐熱特性を解説

この問題は、給湯設備で使われる配管材料について、腐食の仕組みや材料ごとの弱点、温度と圧力の関係を正しく理解しているかを問う問題です。正答は(1)です。ステンレス鋼管の隙間腐食は、不動態化そのものによって起こるのではなく、隙間内部で酸素濃度が低下して不動態皮膜が維持できなくなることで生じます。ほかの選択肢は、金属材料の応力腐食、銅管の潰食、ライニング鋼管の防食、樹脂管の温度特性に関する内容として適切です。給湯配管は水質、温度、流速、施工状態の影響を受けやすいため、それぞれの材料特性を整理して覚えることが大切です。

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(1) ステンレス鋼管の隙間腐食は、不動態化によるものである。

不適切です。ステンレス鋼は表面に不動態皮膜という非常に薄い保護膜をつくることで耐食性を保っています。したがって、不動態化そのものは腐食を防ぐ方向に働く性質です。隙間腐食は、継手のすき間や堆積物の下などで水の流れが悪くなり、内部の酸素が不足して不動態皮膜が十分に維持できなくなることで発生します。つまり、原因は不動態化ではなく、隙間内部で不動態皮膜が破壊または再生しにくくなる環境が生じることです。この点を逆に表現しているため、この選択肢が最も不適当です。

(2) 金属材料の曲げ加工を行った場合には、応力腐食の原因となる。

適切です。金属材料を曲げると、材料の内部に引張応力や残留応力が生じます。このような応力が残った状態で、腐食性のある水質や環境にさらされると、応力腐食割れが発生しやすくなります。応力腐食は、単に腐食しやすい材料だから起こるのではなく、材料、応力、環境の三つの条件が重なることで起こる現象です。給湯配管は温度が高く、化学的な影響も受けやすいため、曲げ加工や施工時の無理な力が後から不具合につながることがあります。施工上の残留応力が腐食トラブルの一因になるという理解は重要です。

(3) 銅管は、管内の流速が速いと潰食が生じる。

適切です。銅管では、流速が過大になると、管内面の保護皮膜が乱されて局部的に削られ、潰食が起こることがあります。潰食は、流れによる物理的な作用と腐食が重なって進行する現象で、エロージョン・コロージョンとも呼ばれます。特に曲がり部や継手付近など流れが乱れやすい場所で発生しやすいです。給湯設備では温度上昇によって腐食反応も進みやすいため、流速管理はとても重要です。銅管は扱いやすく広く用いられますが、流速が速すぎれば安全とはいえない点を押さえておく必要があります。

(4) 耐熱性硬質ポリ塩化ビニルライニング鋼管には、管端防食継手を使用する。

適切です。耐熱性硬質ポリ塩化ビニルライニング鋼管は、鋼管の内面に耐熱性樹脂をライニングした材料で、給湯用として使用されます。しかし、切断した管端部では鋼材が露出しやすく、そのままでは腐食が起こりやすくなります。そこで、管端部を保護するために管端防食継手を用います。これはライニング鋼管で特に重要なポイントで、内面が樹脂で守られていても、端部処理が不十分だとそこから腐食が進行するおそれがあります。材料本体の性能だけでなく、継手部の防食処理まで含めて理解しておくことが大切です。

(5) 樹脂管は、使用温度が高くなると許容使用圧力は低くなる。

適切です。樹脂管は金属管に比べて熱の影響を受けやすく、温度が高くなると材料の強度が低下します。そのため、同じ管であっても使用温度が上がるほど許容使用圧力は小さくなります。これは給湯配管の基本的な考え方で、カタログや規格表でも温度ごとに許容圧力が示されています。常温では問題がなくても、高温条件では安全率が不足することがあるため、給湯設備では温度条件を必ず考慮しなければなりません。樹脂管は耐食性に優れますが、高温下での圧力性能には注意が必要です。

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この問題で覚えるポイント

給湯配管材料では、まず腐食の種類と発生条件を整理することが大切です。ステンレス鋼は不動態皮膜によって耐食性を保ちますが、隙間腐食は隙間内の酸素不足によってその皮膜が維持できなくなることで起こります。つまり、不動態化は防食の仕組みであり、腐食原因そのものではありません。ここを逆に覚えないことが重要です。

金属材料では、応力腐食割れの考え方も頻出です。材料に曲げ加工やねじ込みなどで残留応力があると、腐食環境下で割れが進みやすくなります。応力腐食は、材料、応力、環境の組合せで起こる現象として理解すると整理しやすいです。

銅管では潰食が重要です。流速が速すぎると保護皮膜が損なわれ、特に曲がり部や流れの乱れる部分で局部的な腐食が進みます。給湯系統では温度も高いため、流速管理がより重要になります。単なる腐食ではなく、流れによる作用が関係する点を押さえることが得点につながります。

ライニング鋼管では、管端部の防食が要点です。内面が樹脂で守られていても、切断端や継手部で鋼材が露出すると腐食しやすくなります。そのため、管端防食継手を用いるという知識は実務的にも試験的にも重要です。

樹脂管では、温度上昇により強度が低下し、許容使用圧力が下がるという関係を確実に覚える必要があります。樹脂管は耐食性に優れる一方で、高温条件や圧力条件に対する制約があります。給湯配管では、耐食性だけでなく耐熱性、耐圧性まで含めて材料選定を行うという視点を持つと、同テーマの問題に対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、防食の仕組みと腐食の原因をわざと入れ替えている点にあります。ステンレス鋼の不動態皮膜は耐食性の根拠として有名なので、受験者は「ステンレス」と「腐食」を見ただけで関連があると感じ、文章全体を正しいものと受け取りやすくなります。しかし実際には、不動態化は腐食を防ぐ側の性質です。このように、正しい専門用語を使いながら因果関係だけを逆転させるのは典型的な出題パターンです。

また、曲げ加工と応力腐食、流速と潰食、温度と許容圧力のように、設備材料でよく出る基本知識が並んでいるため、ひとつだけ異常な記述を見抜けるかが問われています。受験者は難しい用語が出ると不安になり、かえって平易で基本的な選択肢を疑ってしまうことがあります。ですが、この種の問題では、基本事項を正確に覚えていれば落ち着いて判断できます。

さらに、「一部だけ正しい」文章に惑わされないことも大切です。たとえばステンレス鋼と隙間腐食という組合せ自体は正しいため、そこだけを見るともっともらしく感じます。しかし、試験では用語が合っていても説明の中身が誤っていることがあります。今後も、用語の一致だけで判断せず、なぜそうなるのかという仕組みまで思い出して判定することが重要です。

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