【ビル管過去問】令和4年度 問題112|給水方式の種類 高置水槽方式・直結増圧方式・ポンプ直送方式を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第112問

問題

給水方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 高置水槽方式は、受水槽の水位によって揚水ポンプの起動・停止が行われる。

(2) 直結増圧方式における吸排気弁は、給水管内の空気の排出と給水管内が負圧になった場合の逆流防止のために設置する。

(3) ポンプ直送方式で採用されるインバータ制御は、周波数を変えることでポンプの回転数を変化させている。

(4) 給水方式は、水道直結方式と受水槽方式に大別される。

(5) 直結直圧方式では、配水管の圧力によって、直接給水各所に給水する。

ビル管過去問|給水方式の種類 高置水槽方式・直結増圧方式・ポンプ直送方式を解説

この問題は、代表的な給水方式の仕組みと、それぞれの制御方法や特徴を正しく理解しているかを問う問題です。給水方式は、水道直結方式と受水槽方式に大きく分かれ、それぞれの中でさらに高置水槽方式、直結増圧方式、ポンプ直送方式などに分かれます。正答は(1)で、不適当です。高置水槽方式における揚水ポンプの起動・停止は、通常、受水槽の水位ではなく高置水槽の水位によって制御されるためです。他の選択肢は、各方式の基本的な特徴を適切に説明しています。この分野は名称が似ていて混同しやすいですが、どの水槽の水位を見ているのか、どの圧力で送水しているのかを整理すると判断しやすくなります。

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(1) 高置水槽方式は、受水槽の水位によって揚水ポンプの起動・停止が行われる。

不適切です。高置水槽方式では、受水槽にいったん貯めた水を揚水ポンプで高置水槽へ送り、その後は高置水槽からの落差を利用して各所へ給水します。このとき、揚水ポンプの運転を制御する基準になるのは、通常は高置水槽の水位です。高置水槽の水位が下がればポンプを起動し、一定まで回復すれば停止します。受水槽の水位は、ポンプの空運転防止や断水防止の観点で監視されますが、給水量の調整そのものを行う主たる基準ではありません。つまり、問題文は制御対象の水槽を取り違えているため、不適当です。

(2) 直結増圧方式における吸排気弁は、給水管内の空気の排出と給水管内が負圧になった場合の逆流防止のために設置する。

適切です。直結増圧方式は、水道本管に直結したまま増圧ポンプを用いて必要な圧力を確保する方式です。この方式では、管内に空気がたまると給水不良や圧力変動の原因になります。そのため、吸排気弁によって空気を排出することが必要です。また、管内が負圧になると逆サイホン作用などにより衛生上の問題が起きるおそれがあります。吸排気弁は、こうした負圧時に空気を取り入れて異常な負圧状態を緩和し、逆流や汚染の危険を抑える役割があります。給水設備では、水の流れだけでなく、空気の動きも安全性に深く関わる点を押さえておくことが大切です。

(3) ポンプ直送方式で採用されるインバータ制御は、周波数を変えることでポンプの回転数を変化させている。

適切です。インバータ制御とは、電動機に供給する電源の周波数を変化させることで、モーターの回転数を調整する制御方式です。ポンプ直送方式では、使用水量が時間によって変動するため、常に一定の回転数で運転すると圧力が過大になったり、無駄な電力を消費したりします。そこで、インバータ制御により必要なときだけ必要な回転数で運転し、給水圧を安定させます。省エネルギー性にも優れ、現在の給水設備では広く用いられています。周波数を変えて回転数を変えるという電動機の基本原理は、試験でもよく問われる重要事項です。

(4) 給水方式は、水道直結方式と受水槽方式に大別される。

適切です。建築物の給水方式は、大きく分けると、水道本管の圧力を利用してそのまま給水する水道直結方式と、いったん受水槽に水を貯めてから建物内へ送る受水槽方式に分類されます。水道直結方式の中には直結直圧方式や直結増圧方式があり、受水槽方式の中には高置水槽方式やポンプ直送方式などがあります。この大きな分類を理解しておくと、各方式の位置づけが整理しやすくなります。個別方式だけを暗記するのではなく、まず全体の体系を押さえることが正答への近道です。

(5) 直結直圧方式では、配水管の圧力によって、直接給水各所に給水する。

適切です。直結直圧方式は、水道本管や配水管の持つ圧力をそのまま利用して、受水槽や増圧ポンプを介さずに給水する方式です。構造が比較的簡単で、設備スペースを抑えやすく、受水槽の清掃や維持管理が不要になる利点があります。一方で、利用できるのは配水圧で十分に給水できる範囲に限られます。そのため、建物の高さや使用条件によっては直結増圧方式や受水槽方式が採用されます。直結直圧方式は、まさに「配水管の圧力だけで直接送る」方式なので、記述は適切です。

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この問題で覚えるポイント

給水方式は、まず水道直結方式と受水槽方式に大別して理解することが基本です。水道直結方式は、水道本管の圧力を利用する方式であり、直結直圧方式と直結増圧方式に分かれます。直結直圧方式はポンプを使わず、配水圧のみで直接給水します。直結増圧方式は、配水圧だけでは不足する場合に増圧ポンプを用いて圧力を補います。受水槽方式は、いったん受水槽に貯めてから建物へ送る方式であり、高置水槽方式やポンプ直送方式が代表です。 高置水槽方式では、受水槽から高置水槽へ揚水し、高置水槽からは自然流下で給水します。この方式で重要なのは、揚水ポンプの起動・停止が高置水槽の水位によって行われることです。受水槽はあくまで貯留のための設備であり、ポンプ制御の中心は高置水槽側にあります。ここが典型的な出題ポイントです。 ポンプ直送方式では、高置水槽を設けず、ポンプで直接建物内へ給水します。このとき、使用水量の変動に応じて圧力を安定させるため、インバータ制御がよく使われます。インバータ制御は電源周波数を変化させてモーター回転数を変える方式であり、省エネルギーと圧力安定の両面で重要です。 また、吸排気弁の役割も押さえておく必要があります。給水管内の空気を排出して流れを円滑にするだけでなく、負圧が生じた際には空気を取り入れて異常な負圧を防ぎます。これにより、逆サイホン作用や汚染リスクの低減につながります。給水設備では、水だけでなく空気の管理も衛生上きわめて重要です。 試験対策としては、方式名だけでなく、どの圧力を利用しているのか、どこに水を貯めるのか、ポンプの有無、制御の基準が何かをセットで整理すると強いです。同じ給水方式の問題でも、仕組みを理解していれば応用問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、水槽の名称が似ていることを利用して、どの水位でポンプ制御をしているかを混同させる点にあります。受水槽も高置水槽もどちらも給水設備の中の水槽ですが、役割は異なります。受水槽は一時的な貯留、高置水槽は給水圧を確保するための上部貯留です。問題作成者は、この似た名称の取り違えを狙っています。 また、直結直圧方式、直結増圧方式、ポンプ直送方式は、いずれも「ポンプ」「直結」「直送」といった似た言葉が並ぶため、名称だけで曖昧に覚えていると混乱しやすいです。特に、直結増圧方式とポンプ直送方式はどちらもポンプを使うため、同じように感じてしまいがちですが、前者は水道本管に直結したまま増圧する方式、後者は受水槽などを経てポンプで直接送る方式として整理する必要があります。 さらに、正しい内容の中に一部だけ誤りを混ぜるのも典型的な出題パターンです。今回の不適当な選択肢も、高置水槽方式という言葉自体は正しく、揚水ポンプが関係する点も正しいのですが、「受水槽の水位によって」という肝心の部分だけが誤っています。このような問題では、文章全体をなんとなく読んで判断するのではなく、制御対象や設備の役割といった核心部分を丁寧に確認することが大切です。

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