出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第64問
問題
乾球温度0°C、比エンタルピー4kJ/kg(DA)の外気と、乾球温度22°C、比エンタルピー39kJ/kg(DA)の室内空気を2:3の割合で混合した後の乾球温度と比エンタルピーの組合せとして、最も適当なものは次のうちどれか。
(1) 乾球温度 8.8[°C] ――― 比エンタルピー18[kJ/kg(DA)]
(2) 乾球温度13.2[°C] ――― 比エンタルピー25[kJ/kg(DA)]
(3) 乾球温度 8.8[°C] ――― 比エンタルピー21[kJ/kg(DA)]
(4) 乾球温度18.3[°C] ――― 比エンタルピー21[kJ/kg(DA)]
(5) 乾球温度13.2[°C] ――― 比エンタルピー18[kJ/kg(DA)]
ビル管過去問|混合空気 乾球温度と比エンタルピーの計算を解説
この問題は、外気と室内空気を一定割合で混合したときの乾球温度と比エンタルピーを求める基本問題です。混合空気の状態は、それぞれの空気の性質を混合比で加重平均して求めます。外気と室内空気を2:3で混合するので、乾球温度は0×2/5+22×3/5=13.2°C、比エンタルピーは4×2/5+39×3/5=25kJ/kg(DA)となります。したがって、正しい選択肢は乾球温度13.2°C、比エンタルピー25kJ/kg(DA)の組合せです。計算そのものは難しくありませんが、混合比の扱い方と、温度と比エンタルピーの両方をそれぞれ独立して平均することが大切です。
(1) 乾球温度 8.8[°C] ――― 比エンタルピー18[kJ/kg(DA)]
不適切です。理由は、乾球温度も比エンタルピーも混合比2:3で加重平均して求める必要があるためです。乾球温度は外気0°Cと室内空気22°Cを2:3で混ぜるので、0×2/5+22×3/5=13.2°Cとなります。8.8°Cは、22×2/5で計算したような値であり、重みのかけ方を逆にしたか、一方の空気だけに割合をかけてしまった可能性があります。比エンタルピーも同様に、4×2/5+39×3/5=25kJ/kg(DA)です。18kJ/kg(DA)は正しい混合計算の結果と一致しません。混合空気の計算では、単純平均ではなく、必ず混合比に応じた加重平均で処理することが重要です。
(2) 乾球温度13.2[°C] ――― 比エンタルピー25[kJ/kg(DA)]
適切です。理由は、混合空気の乾球温度と比エンタルピーがともに混合比に基づく加重平均で求められるからです。外気と室内空気の割合は2:3なので、全体を5とみて外気は2/5、室内空気は3/5です。乾球温度は0×2/5+22×3/5=13.2°Cとなります。比エンタルピーは4×2/5+39×3/5=1.6+23.4=25kJ/kg(DA)となります。このように、混合前の各空気の状態量が分かっていれば、混合後の状態は比例配分で求められます。ビル管では湿り空気線図とあわせて、こうした数値計算も頻出ですので、確実にできるようにしておきたいところです。
(3) 乾球温度 8.8[°C] ――― 比エンタルピー21[kJ/kg(DA)]
不適切です。理由は、乾球温度も比エンタルピーもどちらも計算結果が正しくないためです。乾球温度は、外気よりも室内空気の割合が大きいので、混合後の温度は22°C寄りになるはずです。そのため、8.8°Cのように低すぎる値にはなりません。正しくは13.2°Cです。また、比エンタルピーについても、4と39を2:3で加重平均すると25kJ/kg(DA)になります。21kJ/kg(DA)は見た目には中間値らしく見えますが、正しい混合比を使った計算結果ではありません。試験では、もっともらしい中間値を選ばせる問題がよく出るので、感覚で選ばず、必ず式で確認することが大切です。
(4) 乾球温度18.3[°C] ――― 比エンタルピー21[kJ/kg(DA)]
不適切です。理由は、乾球温度と比エンタルピーのいずれも混合比に基づく結果と合わないためです。乾球温度18.3°Cは、室内空気22°Cにかなり近い値ですが、外気が2/5含まれている以上、そこまで高くはなりません。正しくは13.2°Cです。また、比エンタルピー21kJ/kg(DA)も正解の25kJ/kg(DA)より小さく、混合比を正しく反映していません。混合空気の問題では、混合後の値は必ず元の2つの値の間に入りますが、ただ間に入っていればよいわけではありません。どちらの割合が大きいかによって、どちら寄りの値になるかを考えながら計算することが重要です。
(5) 乾球温度13.2[°C] ――― 比エンタルピー18[kJ/kg(DA)]
不適切です。理由は、乾球温度は正しいものの、比エンタルピーが誤っているためです。乾球温度13.2°Cは、0×2/5+22×3/5で正しく求められています。一方、比エンタルピーは4×2/5+39×3/5=25kJ/kg(DA)であり、18kJ/kg(DA)にはなりません。この選択肢は、温度だけ合っているため、途中まで正しく考えた受験者が引っかかりやすい内容です。ビル管では、組合せ問題として一部だけ正しい数値を混ぜてくることが多いため、片方が合っていても安心せず、もう片方まで必ず検算する習慣をつけることが大切です。
この問題で覚えるポイント
混合空気の乾球温度と比エンタルピーは、いずれも混合する空気の割合に応じた加重平均で求めます。割合が2:3なら、全体を5としてそれぞれ2/5、3/5に直して計算します。乾球温度は温度同士を、比エンタルピーは比エンタルピー同士を、それぞれ別々に計算します。温度が求まったからといって、比エンタルピーも同じような見当で決めてはいけません。混合後の値は必ず元の2つの値の間に入りますが、割合の大きい側の値に近づきます。今回でいえば、外気より室内空気の割合が多いので、乾球温度も比エンタルピーも室内空気側に寄った値になります。また、湿り空気の混合では、乾球温度、絶対湿度、比エンタルピーなどを混同しないことも重要です。試験では湿り空気線図を用いる問題と数値計算問題の両方が出るため、線図での見方と計算式の両方を押さえておくと得点しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、平均という言葉から単純平均を連想させたり、混合比の重みを逆にかけさせたりする点にあります。特に、2:3という数字を見ると、どちらに2をかけてどちらに3をかけるのかが曖昧になりやすく、外気と室内空気の対応を取り違えると誤答しやすくなります。また、乾球温度だけ正しく、比エンタルピーだけ誤っている組合せもあり、一方だけ合っていることで安心してしまう思考の罠があります。さらに、正解ではない数値でも元の2値の間に入っていると、それらしく見えてしまいます。しかし、混合空気の問題では、間の値であることは最低条件にすぎず、正しい混合比で計算した値であることが必要です。今後も、割合の大きい側に結果が寄ることを意識しつつ、各状態量を必ず独立して加重平均することが、ひっかけを避けるコツです
