【ビル管過去問】令和4年度 問題52|ベルヌーイの定理 流体力学の基礎式を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第52問

問題

流体の基礎に関する次の文章の(   )内に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

摩擦のないダクト中を進む流れを考え、流れの上流側にA断面、下流側にB断面をとる。
ダクト内の流管の二つの断面A、Bにおける流れの力学的エネルギーの保存を仮定すると次のようなベルヌーイの定理を表す式が得られる。
ただし、ρ:密度、a:( ア )、b:( イ )、g:重力加速度、c:( ウ )とする。
【ビル管】建築物衛生管理技術者試験2022年問52式

(1) ア:速度  イ:静圧  ウ:高さ

(2) ア:速度  イ:動圧  ウ:高さ

(3) ア:高さ  イ:静圧  ウ:速度

(4) ア:静圧  イ:高さ  ウ:速度

(5) ア:動圧  イ:高さ  ウ:速度

 

 

 

ビル管過去問|ベルヌーイの定理 流体力学の基礎式を解説

この問題は、ベルヌーイの定理の式に出てくる各項が何を表しているかを問う問題です。ベルヌーイの定理は、摩擦のない定常流れにおいて、流体のもつ圧力エネルギー、位置エネルギー、運動エネルギーの和が保存されるという考え方です。式の各項を正しく対応させると、速度、静圧、高さの組合せとなるため、正しい選択肢は(1)です。流体力学では、静圧と動圧、高さと速度の役割を混同しやすいため、それぞれの意味を整理して理解することが大切です。

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(1) ア:速度  イ:静圧  ウ:高さ

適切です。ベルヌーイの定理は、一般に単位体積当たりで表すと、静圧、運動エネルギー、位置エネルギーの和が一定になる形で示されます。具体的には、静圧は圧力そのもの、速度は流れの速さ、高さは基準面からの位置を表します。したがって、式中で速度に関係する項、静圧に関係する項、高さに関係する項を対応させると、アが速度、イが静圧、ウが高さとなります。この対応はベルヌーイの定理の基本そのものですので、確実に押さえておきたい知識です。

(2) ア:速度  イ:動圧  ウ:高さ

不適切です。動圧は、流れの速さに伴う運動エネルギーを圧力の形で表したもので、一般に ρv²/2 に対応する量です。一方、ベルヌーイの式では、静圧そのものを表す項と、速度によって表される運動エネルギーの項は別に扱います。この選択肢は、イを動圧としてしまっているため、速度の項と動圧の項が重なったような理解になってしまいます。ベルヌーイの式の基本は、静圧、速度、高さの3つを区別して扱うことです。

(3) ア:高さ  イ:静圧  ウ:速度

不適切です。高さは位置エネルギーに対応する量であり、通常は g と組み合わされて位置の影響を示します。一方、速度は運動エネルギーに関係し、速度の二乗の形で式に入ります。この選択肢では、アとウが逆になっています。ベルヌーイの式を理解するうえでは、流れの速さが大きいほど運動エネルギーが大きくなり、高い位置ほど位置エネルギーが大きくなるという物理的な意味を結びつけて覚えることが重要です。

(4) ア:静圧  イ:高さ  ウ:速度

不適切です。静圧は圧力エネルギーに対応する量であり、高さは位置エネルギーに対応する量です。この選択肢では、アに静圧、イに高さ、ウに速度を当てはめていますが、問題文の式の構成と一致しません。ベルヌーイの式では、静圧の項、速度の項、高さの項はそれぞれ意味が異なり、入れ替えることはできません。特に高さは重力加速度 g と組み合わさることで位置エネルギーを表すため、圧力項とは明確に区別する必要があります。

(5) ア:動圧  イ:高さ  ウ:速度

不適切です。動圧は速度から導かれる量であり、速度そのものではありません。そのため、動圧と速度を別々の独立した基本量のように並べると、式の意味が崩れてしまいます。ベルヌーイの定理では、静圧、速度、高さという3つの基本的な要素から、流体のエネルギー保存を表します。この選択肢は、静圧が抜けているうえに、動圧と速度を混同しているため誤りです。試験では、動圧という言葉が出ると正しそうに見えますが、何を基本量として式に入れているのかを冷静に確認することが大切です。

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この問題で覚えるポイント

ベルヌーイの定理は、摩擦のない定常流れにおいて、流体のもつ力学的エネルギーが保存されるという考え方です。押さえるべき本質は、静圧が圧力エネルギー、速度が運動エネルギー、高さが位置エネルギーに対応することです。静圧は流体そのものがもつ圧力であり、動圧は流速によって生じる運動エネルギーを圧力換算した量です。このため、静圧と動圧は同じではありません。また、高さは重力加速度と組み合わさって位置エネルギーを表すため、単なる長さとしてではなく、位置によるエネルギー差として理解することが重要です。さらに、ベルヌーイの定理は摩擦のない流れを前提にしているため、実際のダクトでは圧力損失が生じ、そのままでは成り立たないことにも注意が必要です。試験では、静圧、動圧、全圧の違いや、速度水頭、圧力水頭、位置水頭といった表現に置き換えて問われることも多いため、それぞれが何のエネルギーを示しているかを関連づけて覚えると対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、速度と動圧、静圧と全圧を混同させるところにあります。受験者は流体の問題で圧力という言葉が出ると、つい動圧を選びたくなりますが、ベルヌーイの式の基本形で何を変数として置いているかを見失うと誤ります。また、高さと速度はどちらも数式中で記号として表されるため、式の丸暗記だけでは入れ替えに気づきにくいです。さらに、動圧は速度から導かれる量であるにもかかわらず、速度と並列の独立項のように見せることで迷わせています。今後も、専門用語が出てきたときほど、その語の定義と式の中での役割を丁寧に確認する習慣を持つことが、ひっかけに強くなるコツです。

 

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