【ビル管過去問】令和4年度 問題47|湿り空気と湿度 絶対湿度・相対湿度・露点温度を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|空気環境の調整第47問

問題

湿り空気と湿度に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。

(2) 露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。

(3) 湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。

(4) 絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。

(5) 絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。

ビル管過去問|湿り空気と湿度 絶対湿度・相対湿度・露点温度を解説

この問題は、湿り空気に関する基本用語である絶対湿度、相対湿度、露点温度、水蒸気分圧、比エンタルピーの関係を正しく理解しているかを問う問題です。湿り空気の状態量は互いに密接に関係しており、ひとつの量が増減すると他の量も連動して変化します。正しい選択肢は、温度一定で絶対湿度が増えると比エンタルピーが増えること、露点温度では空気が飽和しているため乾球温度と湿球温度が等しくなること、絶対湿度が上がると水蒸気分圧が上昇すること、絶対湿度一定で温度が下がると相対湿度が上がることです。一方で、絶対湿度が上昇すると露点温度は低下するという記述は逆であり、不適当です。

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(1) 湿り空気の温度が一定の状態で絶対湿度を増加させると、比エンタルピーは増加する。

適切です。比エンタルピーは、空気が持つ熱エネルギーの大きさを表す量です。湿り空気では、乾いた空気の熱だけでなく、水蒸気が持つ熱も含めて考えます。そのため、温度が同じでも空気中に含まれる水蒸気量、つまり絶対湿度が増えるほど、空気全体が持つ熱量は大きくなります。言い換えると、水蒸気が増えればその分だけ空気はより多くのエネルギーを含むため、比エンタルピーは増加します。空気線図でも、同じ乾球温度で右側へ進むほど比エンタルピーは大きくなります。

(2) 露点温度のときの湿り空気では、乾球温度と湿球温度は等しい。

適切です。露点温度とは、その空気を冷やしていったときに水蒸気が凝結し始める温度のことです。このとき空気は飽和状態に達しています。飽和状態では、これ以上水蒸気を含むことができないため、乾球温度と湿球温度は一致します。湿球温度は、水が蒸発するときの気化熱によって温度が下がる現象を利用した温度ですが、空気がすでに飽和していると蒸発が進まないため、温度低下が起こりません。その結果、乾球温度と湿球温度が等しくなります。

(3) 湿り空気において、絶対湿度が上昇すると水蒸気分圧は上昇する。

適切です。絶対湿度は、空気中に実際にどれだけの水蒸気が含まれているかを表す量です。一方、水蒸気分圧は、空気中の水蒸気が単独で存在しているとみなしたときの圧力です。空気中の水蒸気量が増えれば、水蒸気の存在割合も大きくなるため、水蒸気分圧も上昇します。つまり、絶対湿度と水蒸気分圧は連動して増減する関係にあります。この関係は相対湿度や露点温度を理解するうえでも重要です。

(4) 絶対湿度が上昇すると、露点温度は低下する。

不適切です。露点温度は、空気中に含まれる水蒸気量が多いほど高くなります。なぜなら、水蒸気を多く含んだ空気は、あまり大きく冷やさなくても飽和状態に達するからです。逆に、水蒸気量が少ない空気は、飽和に達するまでより低い温度まで冷やす必要があります。したがって、絶対湿度が上昇したときに露点温度が低下するという記述は誤りで、正しくは露点温度は上昇します。この問題では、露点温度の変化方向を逆にして受験者を迷わせています。

(5) 絶対湿度が一定の状態で温度が低下すると、相対湿度は上昇する。

適切です。相対湿度は、その温度で空気が含むことのできる最大の水蒸気量に対して、実際にどれだけ水蒸気を含んでいるかを割合で示したものです。絶対湿度が一定でも、温度が下がると空気が保持できる最大水蒸気量は小さくなります。その結果、同じ量の水蒸気を含んでいても飽和に近づくため、相対湿度は上昇します。冬場に気温が下がると結露しやすくなるのも、この関係によるものです。さらに冷えて露点温度に達すると、相対湿度は100%になります。

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この問題で覚えるポイント

湿り空気の理解では、まず絶対湿度が空気中に実際に含まれる水蒸気量であり、相対湿度がその温度での飽和量に対する割合であることを区別して覚えることが重要です。絶対湿度が増えれば、水蒸気分圧は上昇し、露点温度も上昇します。逆に、絶対湿度が減れば水蒸気分圧も露点温度も低下します。露点温度は空気中の水蒸気量の多寡を反映する温度であり、水蒸気量が多い空気ほど露点温度は高くなります。相対湿度は温度の影響を強く受けるため、絶対湿度が同じでも温度が下がれば上昇し、温度が上がれば低下します。さらに、空気が飽和すると乾球温度、湿球温度、露点温度の関係が近づき、飽和状態では乾球温度と湿球温度は等しくなります。試験では、絶対湿度と相対湿度の違い、露点温度の上がる下がるの向き、飽和時の温度関係が特によく問われます。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、似た用語の関係をあいまいに覚えている受験者が、変化の向きを逆に判断してしまう点にあります。特に露点温度は、気温が下がると現れる温度というイメージだけで覚えていると、水蒸気量が増えたときに露点温度がどう動くかを逆に考えやすくなります。また、絶対湿度と相対湿度を混同すると、温度変化による影響を正しく判断できません。相対湿度は温度によって変わりやすいのに対し、絶対湿度は実際の水蒸気量そのものです。問題作成者はこの違いを利用して、一見もっともらしい逆表現を混ぜています。今後も、状態量が増えたときに別の量がどう変わるかを、言葉の印象ではなく関係そのもので判断することが大切です。

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