【ビル管過去問】令和4年度 問題29|浮遊粉じん 粒径と呼吸器への影響を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の環境衛生第29問

問題

浮遊粉じんに関する次の文章の(   )内に入る数値の組合せとして、最も適当なものはどれか。 粒径( ア )μm以下の粉じんは長時間にわたり浮遊し、ヒトの気道内に取り込まれる。 特に肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼすのは、通常( イ )μm程度以下の大きさである。

(1) ア:50  イ:10

(2) ア:40  イ:10

(3) ア:20  イ:5

(4) ア:10  イ:5

(5) ア:10  イ:1

ビル管過去問|浮遊粉じん 粒径と呼吸器への影響を解説

この問題は、粉じんの粒径によって空気中に浮遊しやすいか、また人体のどこまで到達して健康影響を及ぼすかを問う問題です。粉じんは大きさによって挙動が大きく異なり、一般に10μm以下の粒子は空気中に比較的長く浮遊しやすく、気道内に取り込まれます。さらに、1μm程度以下の粒子は肺の奥深くまで到達しやすく、健康影響の観点で重要です。したがって、正しい選択肢は(5)です。

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(1) ア:50  イ:10

不適切です。50μm以下の粉じんは、すべてが長時間浮遊するとはいえません。粒径が大きい粉じんほど重力の影響を強く受け、比較的早く沈降します。50μm程度になると空気中を長時間漂うというより、短時間で床面や物体表面に落下しやすい大きさです。また、人体に有害な影響を及ぼす粉じんとして10μm以下を挙げる考え方には一部妥当性がありますが、問題文は「特に肺に沈着し」としており、より小さい粒径を問うています。そのため、アの数値が大きすぎる点が誤りです。

(2) ア:40  イ:10

不適切です。40μm以下という数値も、長時間浮遊する粉じんの範囲としては大きすぎます。粉じんが長く空中に残るかどうかは粒径に強く左右され、粒子が大きいほど落下速度が速くなります。40μm程度の粒子は、呼吸域に入ることがあっても、長時間浮遊する代表的な粉じんとはいえません。また、肺に沈着して有害な影響を及ぼしやすい粒子として10μmを示すのも粗い理解です。肺胞レベルまで到達して問題となるのは、通常もっと小さい粒子です。

(3) ア:20  イ:5

不適切です。イの5μmは、肺への到達という観点では一定の意味を持つ数値であり、呼吸性粉じんを考えるうえで重要です。しかし、この問題文は「通常( イ )μm程度以下の大きさである」としており、より小さい粒子、すなわち1μm程度以下を答えさせる内容です。また、アの20μmも長時間浮遊する粉じんとしてはやや大きい数値です。20μmの粒子は条件によって空中に存在することはあっても、代表的に長時間浮遊する粒子としては適切ではありません。

(4) ア:10  イ:5

不適切です。アの10μm以下は、長時間浮遊しやすく気道内に取り込まれる粉じんとして妥当な数値です。そのため一見すると正しそうに見えます。しかし、イの5μmが誤りです。5μm以下の粒子は気管支や肺に入りやすい大きさですが、問題文が強調している「特に肺に沈着し、人体に有害な影響を及ぼす」という表現では、より微細な粒子を想定しています。通常は1μm程度以下の粒子が肺の奥深くまで達し、長く滞留しやすいため、より健康影響上重要です。アだけ正しく、イが誤っている選択肢です。

(5) ア:10  イ:1

適切です。粒径10μm以下の粉じんは、比較的長時間空気中に浮遊しやすく、呼吸により気道内へ取り込まれます。さらに、1μm程度以下の微細な粒子になると、鼻腔や気管で捕捉されにくく、肺の深部まで到達しやすくなります。このような微小粒子は肺内に沈着しやすく、体外へ排出されにくいため、人体への有害作用が問題となります。ビル管試験では、粉じんは「大きいほどすぐ落ちる、小さいほど奥まで入る」という基本原則を押さえることが大切です。

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この問題で覚えるポイント

浮遊粉じんは、粒径が小さいほど重力の影響を受けにくく、空気中に長く漂いやすくなります。一般に10μm以下の粒子は浮遊しやすく、呼吸によって気道内に取り込まれる重要な範囲です。一方で、さらに微細な1μm程度以下の粒子は肺の奥深くまで到達しやすく、健康影響の面で特に注意が必要です。つまり、試験では「10μm以下で浮遊しやすい」「1μm程度以下で肺に沈着しやすい」という二段階で整理すると正誤判断しやすくなります。また、粒径が大きい粉じんは目に見えやすい一方で早く沈降し、小さい粉じんほど見えにくいのに健康影響が大きいという点も重要です。見た目の印象ではなく、粒径と沈降性、気道内到達性の関係で理解することが得点につながります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「気道に入る大きさ」と「肺の奥に沈着する大きさ」を同じ感覚で処理してしまうことです。受験者は、どちらも小さい粒子の話なので似た数値を選びたくなりますが、問題は二つの段階を分けて問うています。最初は空気中に浮遊して気道内に取り込まれる粒径、次はさらに肺の深部に沈着して有害性を示しやすい粒径です。この区別ができないと、10μmと5μmの組合せを選びやすくなります。また、「5μm以下は呼吸性粉じんとして重要」という知識がある人ほど、それをそのまま当てはめてしまう危険があります。試験では、似た数値が並んでいるときほど、何を問われている数値なのかを丁寧に切り分けることが大切です。

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