出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第9問
問題
建築物環境衛生管理基準に基づく給排水設備の衛生上必要な措置に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 飲用の循環式給湯設備の貯湯槽の清掃は、1年以内ごとに1回、定期に行う。
(2) グリース阻集器の掃除は、6か月以内ごとに1回、定期に行う。
(3) 雑用水槽の清掃は、雑用水槽の容量及び材質並びに雑用水の水源の種別等に応じ、適切な方法により、定期に行う。
(4) 高置水槽、圧力水槽等の清掃を行った後、受水槽の清掃を行う。
(5) 排水槽の清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理する。
ビル管過去問|給排水設備の衛生管理 清掃頻度・維持管理基準を解説
この問題は、給排水設備の衛生管理に関する清掃頻度や作業の基本原則を問う問題です。ポイントは、各設備ごとの清掃頻度を正確に覚えることと、受水槽と高置水槽等の清掃順序を取り違えないことです。正解は(4)で、受水槽より先に高置水槽や圧力水槽を清掃するという記述が不適当です。建築物環境衛生管理基準では、飲用の循環式給湯設備の貯湯槽は1年以内ごとに1回、排水槽は6か月以内ごとに1回の清掃が必要であり、雑用水槽は水槽の条件や水源に応じて定期に清掃し、排水槽清掃で出た汚泥等は関係法令に基づいて適切に処理することとされています。さらに、高置水槽又は圧力水槽の掃除は、原則として受水槽の掃除と同じ日に行う考え方が示されており、受水槽を先に扱う理解が重要です。
(1) 飲用の循環式給湯設備の貯湯槽の清掃は、1年以内ごとに1回、定期に行う。
適切です。飲用の循環式給湯設備の貯湯槽は、飲料水と同様に衛生管理が重要な設備です。湯は温度条件によっては微生物が増えやすく、汚れやぬめりが残ると水質悪化の原因になります。そのため、定期的に内部を清掃して清潔な状態を保つ必要があります。1年以内ごとに1回という頻度は、建築物環境衛生管理基準上の重要な数値ですので、受水槽の清掃頻度とあわせて覚えておくと整理しやすいです。
(2) グリース阻集器の掃除は、6か月以内ごとに1回、定期に行う。
適切です。グリース阻集器は、排水中の油脂分や残さを分離して下水管への流出を防ぐ設備です。ここに汚れがたまると、悪臭、詰まり、害虫発生などの原因になります。法令上は6か月以内ごとに1回の定期清掃が基準として押さえられており、試験でもよく問われます。実務ではより頻繁な清掃が必要な場合もありますが、この問題は建築物環境衛生管理基準に基づく記述かどうかを問うものなので、基準上の表現としては適切です。
(3) 雑用水槽の清掃は、雑用水槽の容量及び材質並びに雑用水の水源の種別等に応じ、適切な方法により、定期に行う。
適切です。雑用水槽は、飲料用ではないものの、トイレ洗浄水など建築物内で継続して使用される水を貯留する設備です。雑用水は水源の違いによって水質特性が異なり、水槽の大きさや材質によっても汚れの付き方や管理方法が変わります。そのため、一律の回数だけで管理するのではなく、容量、材質、水源の種別などに応じて適切な方法で定期清掃を行うことが求められます。数字だけでなく、「条件に応じて適切に行う」という基準の書きぶりも大切です。
(4) 高置水槽、圧力水槽等の清掃を行った後、受水槽の清掃を行う。
不適切です。誤っているのは、清掃の順序です。受水槽は建物に取り込まれた水が最初に入る重要な設備であり、その後に高置水槽や圧力水槽へ送られます。上流側にある受水槽を後回しにしてしまうと、せっかく清掃した高置水槽等へ再び汚れた水が送られるおそれがあります。そのため、受水槽を先に適切に清掃し、そのうえで高置水槽や圧力水槽等を清掃する理解が正しいです。改定案でも、高置水槽又は圧力水槽の掃除は原則として受水槽の掃除と同じ日に行うと示されており、順序の取り違えがこの選択肢の誤りです。
(5) 排水槽の清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理する。
適切です。排水槽の清掃では、槽内にたまった汚泥、スカム、残留物などが発生します。これらは単なるごみとして扱うのではなく、関係法令に基づいて適正に処理しなければなりません。不適切に処分すると、衛生上の問題だけでなく、法令違反にもつながります。設備の清掃そのものだけでなく、清掃後に出た廃棄物の処理まで含めて衛生管理だと理解しておくことが大切です。
この問題で覚えるポイント
給排水設備の衛生管理では、まず清掃頻度の数字を正確に押さえることが重要です。貯水槽や飲用の循環式給湯設備の貯湯槽は1年以内ごとに1回、排水槽は6か月以内ごとに1回が基本です。雑用水槽は一律の数値ではなく、水槽の容量、材質、水源の種別などに応じて適切な方法で定期に清掃します。つまり、数値で覚える設備と、条件に応じた管理で覚える設備があるという整理が有効です。さらに、排水槽や阻集器の管理では、清掃後に生じた汚泥や残留物の処理まで含めて基準の対象となる点も重要です。貯水系の設備では、水の流れの上流側にある受水槽が基本となるため、清掃の考え方も受水槽を軸に整理すると混乱しにくくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、数字の暗記だけでは解けないように、作業順序を逆にした選択肢を混ぜている点にあります。受験者は「高置水槽も受水槽もどちらも水槽なのだから、順番までは問われないだろう」と考えて流してしまいやすいです。しかし実際には、水の流れと衛生管理の考え方に沿って順序を理解していないと誤答します。また、グリース阻集器や雑用水槽のように、日常感覚ではもっと頻繁に掃除すべきではないかと思える設備があるため、法令上の基準と実務上の運用を混同しやすいのも罠です。試験では「現場感覚としてどうか」ではなく、「基準上どう定められているか」で判断する意識が必要です。
