出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|給水および排水の管理第127問
問題
排水トラップと阻集器に関する語句の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) ドラムトラップ ―― 非サイホントラップに分類
(2) 雨水トラップ ――― ルーフドレンからの悪臭の防止
(3) オイル阻集器 ――― ガソリン及び油類の流出阻止、分離、収集
(4) わんトラップ ――― サイホントラップに分類
(5) 砂阻集器 ――――― 土砂・石紛・セメント等の流出阻止、分離、収集
ビル管過去問|排水トラップと阻集器を解説
この問題は、排水トラップの種類と分類、さらに阻集器の用途を正しく対応づけられるかを問う問題です。トラップは下水や排水管からの臭気、害虫、ガスの侵入を防ぐための重要な設備であり、阻集器は排水中に含まれる油脂や土砂などを分離して、下流側の配管や公共下水道への悪影響を防ぐために設けられます。正しい選択肢の内容は、ドラムトラップが非サイホントラップに分類されること、雨水トラップが悪臭防止に用いられること、オイル阻集器がガソリンや油類の分離収集に用いられること、砂阻集器が土砂や石粉、セメント等の流出防止に用いられることです。一方、わんトラップはサイホントラップではなく非サイホントラップに分類されるため、これをサイホントラップとした記述が不適当です。
(1) ドラムトラップ ―― 非サイホントラップに分類
適切です。ドラムトラップは、封水を比較的大きく保持する構造をもつトラップで、サイホン作用を利用して排水する形式ではありません。そのため、非サイホントラップに分類されます。トラップの分類では、排水の流れ方や内部形状がポイントになります。サイホントラップは排水の流れによってサイホン作用が生じやすい形状をもつのに対し、ドラムトラップはそうした働きを主としない構造です。名称の印象だけで判断せず、どのような仕組みで封水を保っているかを理解しておくことが大切です。
(2) 雨水トラップ ――― ルーフドレンからの悪臭の防止
適切です。雨水トラップは、主にルーフドレンなど雨水排水系統に設けられ、排水管や下水系統からの悪臭、ガス、害虫などの逆流を防ぐ役割があります。雨水は一見すると汚れていないように思えますが、接続先によっては臭気やガスが上がってくることがあるため、封水による遮断が必要です。特に建物の屋上では、ルーフドレンから臭気が上がると居住環境や衛生環境に悪影響を与えるため、雨水トラップは重要な設備です。
(3) オイル阻集器 ――― ガソリン及び油類の流出阻止、分離、収集
適切です。オイル阻集器は、排水中に含まれるガソリン、軽油、潤滑油などの油類をそのまま下流へ流さないようにするための装置です。油は水より軽く、水面に浮く性質があるため、その性質を利用して分離し、流出を防ぎます。自動車整備工場や給油施設などでは、油類が排水に混入する可能性があるため、こうした阻集器が必要です。油類がそのまま排水管に流れると、火災危険、悪臭、配管障害、環境汚染などの原因になるため、用途と目的を確実に押さえておきたいところです。
(4) わんトラップ ――― サイホントラップに分類
不適切です。わんトラップは、サイホントラップではなく非サイホントラップに分類されます。わんトラップは、器具の排水口にわん状の部材を設けて封水を保持する構造であり、サイホン作用を利用する形式ではありません。見た目の形状や名称から何となくサイホンと結びつけてしまうことがありますが、分類上は非サイホントラップです。この問題では、トラップの名称を知っているだけでは不十分で、どの分類に属するかまで正確に覚えているかが問われています。したがって、この記述が最も不適当です。
(5) 砂阻集器 ――――― 土砂・石紛・セメント等の流出阻止、分離、収集
適切です。砂阻集器は、排水中に含まれる土砂、石粉、セメントくずなどの比重の大きい固形物を沈殿させて分離し、下流側へ流さないようにする装置です。これらの物質がそのまま流れると、排水管の閉塞、摩耗、沈積による排水不良の原因になります。特に工事現場、洗車設備、土砂を扱う作業場などでは重要です。油を分離する阻集器と混同しやすいですが、砂阻集器は重い固形物を沈めて除去する点が特徴です。対象となる物質の違いを整理して覚えることが重要です。
この問題で覚えるポイント
排水トラップは、封水によって下水や排水管からの悪臭、ガス、害虫の侵入を防ぐ設備です。分類では、サイホントラップと非サイホントラップの違いを押さえる必要があります。わんトラップやドラムトラップは非サイホントラップに分類されることが重要です。名称だけで判断せず、排水の流れの仕組みまで意識して覚えると混乱しにくくなります。 阻集器は、排水中の有害または障害となる物質を分離、収集して、排水設備や下水道への悪影響を防ぐための装置です。オイル阻集器はガソリンや油類、砂阻集器は土砂、石粉、セメント等を対象とします。試験では、どの阻集器が何を対象にするかという対応関係がよく問われます。 また、雨水トラップはルーフドレンなどに設けられ、臭気の逆流防止に用いられます。雨水系統だからトラップが不要だと考えるのではなく、接続先からの悪臭防止という観点で理解することが大切です。トラップは臭気防止、阻集器は異物分離という役割の違いも、あわせて整理しておくと得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、トラップの名称と分類をあいまいに覚えている受験者を狙っている点にあります。特に、わんトラップは器具まわりでよく見聞きする名称のため、何となく代表的なトラップとして覚えていても、それがサイホン式か非サイホン式かまで整理できていないと誤答しやすくなります。 また、阻集器についても、油を分けるものか、砂を沈めるものかという対象物の違いを曖昧にしていると迷いやすいです。問題文の多くは一見もっともらしく見えるため、一部だけ誤っている記述を見抜く力が必要です。今後も、設備の名前だけでなく、用途、対象物、分類という三点セットで覚えることを意識すると、同じタイプの問題に強くなれます。
