出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|給水および排水の管理第125問
問題
建築物衛生法施行規則に規定されている雑用水の水質基準項目と基準のうち、誤っているものはどれか。
(1) 臭気 ―――――― 異常でないこと。
(2) pH値 ―――――― 5.8以上 8.6以下であること。
(3) 大腸菌 ――――― 検出されないこと。
(4) 塩化物イオン ―― 200mg/L以下であること。
(5) 濁度 ―――――― 2度以下であること。
ビル管過去問|雑用水の水質基準|pH・大腸菌・濁度・臭気・塩化物イオンを解説
この問題は、建築物衛生法施行規則における雑用水の水質基準を正確に覚えているかを問う問題です。ポイントは、雑用水に適用される基準項目と、飲料水など別の水質基準で使われる項目を混同しないことです。正しい選択肢は、臭気、pH値、大腸菌、濁度に関する記述であり、誤っているのは塩化物イオンを雑用水の基準項目としている記述です。つまり、雑用水の水質基準として押さえるべきなのは、見た目やにおい、衛生性、そして水の性質に関する基本項目であり、塩化物イオンのような飲料水でよく見る基準をそのまま当てはめないことが大切です。
(1) 臭気 ―――――― 異常でないこと。
適切です。雑用水であっても、著しい悪臭がある水を建築物内で使用することは衛生上も快適性の面でも問題があります。そのため、建築物衛生法施行規則では、臭気について「異常でないこと」が基準とされています。ここでいう臭気は、単に強いにおいがないというだけでなく、腐敗臭や下水臭のような明らかな異常がない状態を求めるものです。雑用水は飲用には使いませんが、便所の洗浄水などとして建物利用者が接する機会があるため、不快感や衛生上の不安を与えない水質が必要です。
(2) pH値 ―――――― 5.8以上 8.6以下であること。
適切です。pH値は、水が酸性寄りかアルカリ性寄りかを示す指標であり、雑用水でも適正な範囲に保つ必要があります。極端に酸性またはアルカリ性の水は、配管や設備の腐食、材質の劣化、使用感の悪化などを招くおそれがあります。そのため、雑用水のpH値は5.8以上8.6以下と定められています。この数値は水質問題で頻出ですので、単なる暗記ではなく、「設備への悪影響を防ぎ、安定した水質を保つための範囲」と理解しておくと覚えやすいです。
(3) 大腸菌 ――――― 検出されないこと。
適切です。大腸菌は、衛生状態を確認する上で重要な指標です。雑用水は飲み水ではありませんが、建築物内で人が利用する設備に使われる以上、病原性微生物による衛生リスクをできるだけ抑える必要があります。そのため、大腸菌は「検出されないこと」とされています。ここで大切なのは、「雑用水だから衛生基準は緩いはず」と考えないことです。飲料用ではなくても、人の生活空間で用いる水である以上、最低限の衛生安全性は確保しなければなりません。
(4) 塩化物イオン ―― 200mg/L以下であること。
不適切です。その理由は、塩化物イオン200mg/L以下という基準は、雑用水の水質基準項目として定められているものではないからです。塩化物イオンは水道水などの水質基準で見かける代表的な項目の一つですが、雑用水の基準としてそのまま規定されているわけではありません。この問題は、受験者が「水質基準でよく見る数値だから正しそう」と感じる心理を突いています。試験では、ある用途の水に対する基準を、別用途の基準と混同しないことが非常に重要です。雑用水の基準は、雑用水としての利用実態に応じて定められているため、飲料水の基準項目をそのまま当てはめてはいけません。
(5) 濁度 ―――――― 2度以下であること。
適切です。濁度は、水のにごりの程度を示す指標です。雑用水に濁りが強いと、見た目の不快感が大きいだけでなく、配管や機器への影響、消毒効果の低下などにもつながることがあります。そのため、雑用水の濁度は2度以下とされています。濁度は視覚的にわかりやすい項目ですが、試験では単に「透明かどうか」という感覚ではなく、数値基準として把握しておくことが大切です。雑用水の管理では、衛生性だけでなく、建物内で安定して使える水質を維持する視点も求められます。
この問題で覚えるポイント
雑用水の水質基準では、用途が飲用ではないからといって、基準がまったく不要になるわけではありません。建築物内で利用される以上、衛生性、見た目、におい、設備への影響などに配慮した基準が設定されています。特に押さえたいのは、pH値が5.8以上8.6以下であること、大腸菌が検出されないこと、臭気が異常でないこと、濁度が2度以下であることです。これらは雑用水の基本項目として重要です。 一方で、塩化物イオンのように、水道水の基準で頻出する項目がそのまま雑用水にもあるとは限りません。試験では、水質項目を丸暗記するだけでなく、「どの用途の水に対する基準なのか」を区別して覚えることが正答につながります。飲料水の基準と雑用水の基準は、似ている部分もありますが、目的が異なるため項目も一致しません。この違いを理解しておくと、同じテーマの応用問題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「見たことのある水質項目と数値」を出して、受験者に正しいと思い込ませる点にあります。塩化物イオン200mg/L以下という表現は、水質基準としていかにももっともらしく見えるため、細かく覚えていないと選んでしまいやすいです。つまり、「内容が不自然かどうか」ではなく、「別の基準で見たことがあるため正しそうに見える」という思考の罠です。 また、水質基準問題では、数値のズレよりも「そもそもその項目が対象基準に含まれているか」が問われることがあります。受験勉強では、数値だけを断片的に覚えるのではなく、その項目が何の水に対する基準なのかまでセットで整理することが大切です。このパターンは今後も繰り返し出やすいため、「基準値の暗記」だけでなく「基準の適用対象の整理」を意識して学習すると、ひっかかりにくくなります。
