【ビル管過去問】令和5年度 問題114|飲料用貯水槽清掃|清掃手順・消毒方法・安全管理・水質検査を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|給水および排水の管理第114問

問題

飲料用貯水槽の清掃に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 清掃時は、必要に応じてガード付き作業灯を取り付け、作業時の貯水槽内の安全な照明を確保する。

(2) 高置水槽と受水槽の清掃は、原則として同じ日に行い、受水槽の清掃を行った後に高置水槽の清掃を行う。

(3) 清掃終了後は、2回以上貯水槽内の消毒を行う。

(4) 消毒後の水洗い及び水張りは、消毒終了後少なくとも30分以上経過してから行う。

(5) 清掃終了後の水質検査における濁度の基準値は、5度以下である。

ビル管過去問|飲料用貯水槽清掃|清掃手順・消毒方法・安全管理・水質検査を解説

この問題は、飲料用貯水槽の清掃作業における基本的な手順、安全対策、消毒後の取り扱い、水質検査の基準値について問う問題です。実務でも試験でも重要なのは、作業の流れを丸ごと理解することです。照明や作業順序、消毒方法は正しい知識として押さえたい一方で、水質検査の基準値は数値の取り違えが起こりやすい部分です。今回の正答は、濁度の基準値を誤っている記述です。飲料用貯水槽清掃後の水質検査では、残留塩素だけでなく、色度や濁度の基準も重要になるため、数値を正確に覚えることが得点につながります。

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(1) 清掃時は、必要に応じてガード付き作業灯を取り付け、作業時の貯水槽内の安全な照明を確保する。

適切です。貯水槽内の清掃作業は、内部が暗く、足場が悪くなりやすいため、十分な照明の確保が安全管理上とても重要です。特に、作業灯が破損すると感電や破片による事故につながるおそれがあるため、保護ガード付きの作業灯を用いることが望ましいです。貯水槽内部は閉鎖的な空間であり、通常の室内作業よりも危険性が高いため、照明器具の安全性にまで配慮する必要があります。試験では、清掃そのものだけでなく、作業者の安全確保も重要な管理項目として扱われます。

(2) 高置水槽と受水槽の清掃は、原則として同じ日に行い、受水槽の清掃を行った後に高置水槽の清掃を行う。

適切です。受水槽と高置水槽は給水系統としてつながっているため、片方だけを清掃しても、もう片方に汚れが残っていれば衛生状態は十分に改善されません。そのため、原則として同じ日に清掃を行うことが望ましいです。また、清掃の順序としては受水槽を先に行い、その後に高置水槽を清掃します。これは給水系統全体を効率よく衛生的な状態に戻すためです。実務では断水時間や施設利用への影響も考慮しながら工程を組みますが、試験では「同日に実施」と「受水槽を先、高置水槽を後」という原則を押さえておくことが大切です。

(3) 清掃終了後は、2回以上貯水槽内の消毒を行う。

適切です。飲料用貯水槽の清掃では、汚れを除去しただけでは不十分で、最後に槽内を消毒して衛生状態を確保する必要があります。しかも消毒は1回で終えるのではなく、2回以上行うことが原則です。これは、1回だけでは消毒液が十分に行き渡らなかったり、微生物が残存したりする可能性があるためです。飲料水を扱う設備である以上、見た目がきれいであればよいのではなく、微生物学的な安全性まで考えなければなりません。試験では「清掃」と「消毒」を別の工程として整理して理解しているかが問われます。

(4) 消毒後の水洗い及び水張りは、消毒終了後少なくとも30分以上経過してから行う。

適切です。消毒は、消毒剤を一定時間接触させてはじめて十分な効果を発揮します。そのため、消毒液を散布あるいは塗布したあと、すぐに洗い流してしまっては意味がありません。少なくとも30分以上経過させてから水洗いと水張りを行うことで、槽内の各部に消毒効果を十分に及ぼすことができます。ここは「消毒した」という事実だけでなく、「必要な接触時間を確保したか」が重要です。実務でも試験でも、薬剤の作用には時間が必要であるという発想を持っておくと、類似問題にも対応しやすくなります。

(5) 清掃終了後の水質検査における濁度の基準値は、5度以下である。

不適切です。その理由は、飲料用貯水槽清掃後の水質検査において、濁度の基準値は5度以下ではなく、2度以下だからです。5度以下という数値は、一見するとそれらしく見えますが、飲料水の衛生管理としては基準が緩すぎます。貯水槽清掃後は、清掃作業が適切に行われたかを確認するため、色度、濁度、残留塩素などを確認します。そのうち濁度は、水のにごりの程度を示す指標であり、値が大きいほど微粒子や汚れが多いことを意味します。したがって、清掃完了後の確認では、より厳しい基準である2度以下を満たしている必要があります。このような数値問題は、語尾や説明よりも基準値そのものを正確に暗記しているかが問われます。

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この問題で覚えるポイント

飲料用貯水槽の清掃では、単に槽内の汚れを落とすだけでなく、安全管理、消毒、清掃後の水質確認までを一連の流れとして理解することが大切です。まず、作業中は貯水槽内が暗く危険になりやすいため、必要に応じてガード付き作業灯を使用し、安全な照明を確保します。次に、受水槽と高置水槽は給水系統として一体で考え、原則として同じ日に清掃し、受水槽を先、高置水槽を後に実施します。清掃後は、槽内の消毒を2回以上行い、消毒液を十分に作用させるため、消毒終了後少なくとも30分以上経過してから水洗い及び水張りを行います。さらに、清掃終了後の水質検査では、残留塩素だけでなく色度や濁度も確認し、濁度は2度以下であることを押さえてください。試験では、清掃手順と基準値がセットで問われることが多いため、作業工程と数値を切り離さずに覚えることが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、実務の流れとして自然に見える文章の中に、もっともらしい数値の誤りを紛れ込ませている点にあります。特に濁度の基準値は、5度以下でも厳しそうに見えるため、細かい数値を曖昧に覚えていると誤答しやすくなります。試験作成者は、受験者が「だいたいきれいならよいだろう」という日常感覚で判断することを狙っています。しかし、飲料水の管理では日常感覚ではなく法令や基準に基づく数値管理が必要です。また、清掃、消毒、水洗い、水張り、水質検査という工程はどれも正しそうに見えるため、流れだけで判断すると数値のズレを見落としやすいです。今後も、設備管理の問題では「手順は正しいが数値だけ誤っている」パターンが頻出するので、基準値は必ず正確に押さえる意識を持つことが大切です。

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