【ビル管過去問】令和5年度 問題103|防火防災管理体制|防火管理者・共同防火管理・防災管理者・定期報告を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の構造概論第103問

問題

法令で定められている建物の防火防災に関わる管理体制に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 複数の管理権原者からなる防火対象物においては、共同防火管理体制を構築する必要がある。

(2) 一定の規模の建築物では、事業所単位や建築物単位で有資格の防火管理者を選任し、消防計画を作成する必要がある。

(3) 指定数量以上の危険物がある防火対象物では、防火管理者として危険物取扱者を選任する必要がある。

(4) 建築基準法令で定める特定建築物は、建築物調査・防火設備検査・建築設備検査の定期報告対象となる。

(5) 大規模事業所においては、従来の防火管理者、自衛消防組織に加えて、大地震などに備えた防災管理者を置くことが必要である。

ビル管過去問|防火防災管理体制|防火管理者・共同防火管理・防災管理者・定期報告を解説

この問題は、建物の防火防災に関する管理体制について、消防法と建築基準法の役割分担を正しく理解しているかを問う問題です。正解は(3)です。防火管理者と危険物取扱者は別の制度であり、危険物を扱う施設では危険物取扱者や危険物保安監督者が必要になる場面がありますが、それをそのまま防火管理者の選任義務と混同してはいけません。また、共同防火管理、防災管理者、建築基準法に基づく定期報告制度も頻出ですので、誰を置くのか、何を作成するのか、どの法令に基づくのかを整理して覚えることが大切です。

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(1) 複数の管理権原者からなる防火対象物においては、共同防火管理体制を構築する必要がある。

適切です。その理由は、雑居ビルのように一つの建物の中に複数の事業者や管理主体が存在する場合、それぞれが別々に防火管理をしているだけでは、避難や通報、初期消火などの行動が建物全体として統一されず、火災時に大きな混乱を招くおそれがあるためです。消防法では、このような複数の管理権原者がいる防火対象物について、建物全体の防火管理を調整するための共同防火管理が求められています。試験では「複数のテナントが入る建物では建物全体の視点が必要」という理解を持っていると判断しやすくなります。

(2) 一定の規模の建築物では、事業所単位や建築物単位で有資格の防火管理者を選任し、消防計画を作成する必要がある。

適切です。その理由は、防火管理者は、火災予防の中心となる責任者であり、火気管理、避難訓練、消防用設備の維持管理の確認、従業員への教育などを計画的に進める役割を担うからです。消防法では、一定の防火対象物について防火管理者の選任を義務づけており、防火管理者は消防計画を作成して、所轄消防長または消防署長に届け出ることとされています。つまり、防火管理者の選任と消防計画の作成はセットで理解するのが重要です。建物によっては建物全体、または事業所単位での管理が必要になるため、問題文の表現は法令の趣旨に合っています。

(3) 指定数量以上の危険物がある防火対象物では、防火管理者として危険物取扱者を選任する必要がある。

不適切です。その理由は、危険物取扱者と防火管理者は別の資格・制度だからです。危険物を指定数量以上取り扱う施設では、危険物の取扱いに関する資格者や、条件に応じて危険物保安監督者の選任が必要になりますが、だからといって「防火管理者として危険物取扱者を選任する」とはなりません。防火管理者は消防法上の防火管理制度に基づく人であり、建物全体や事業所の火災予防を管理します。一方、危険物取扱者や危険物保安監督者は、危険物そのものの安全な貯蔵・取扱いを監督する制度です。似たように見えるため混同しやすいですが、管理対象も法的な位置づけも異なります。この選択肢は、その二つをわざと入れ替えているのが誤りです。

(4) 建築基準法令で定める特定建築物は、建築物調査・防火設備検査・建築設備検査の定期報告対象となる。

適切です。その理由は、建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、一定の建築物について、建築物そのものの状態、建築設備の機能、防火設備の作動状況などを定期的に調査・検査し、その結果を特定行政庁へ報告することが求められているからです。ここでのポイントは、消防法の防火管理と、建築基準法の定期報告制度は別制度であるということです。防火防災という同じ分野に見えても、消防法は火災予防や管理体制、建築基準法は建物や設備の安全性確認というように役割が異なります。試験では、この法令のすみ分けを問う形で出題されやすいです。

(5) 大規模事業所においては、従来の防火管理者、自衛消防組織に加えて、大地震などに備えた防災管理者を置くことが必要である。

適切です。その理由は、大規模で多数の人が利用する建物では、火災だけでなく地震その他の災害への備えも不可欠だからです。消防法では、一定の防災管理対象物について、防火管理に加えて防災管理を行う体制を求めており、防災管理者の選任や防災に関する計画の作成が必要になります。特に大規模事業所では、地震時の一斉避難、在館者の安全確保、帰宅困難者対応など、火災時とは異なる対応が必要になるため、防火管理者だけでは足りません。この選択肢は、防火管理と防災管理の両方が必要になる建物があることを正しく述べています。

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この問題で覚えるポイント

防火管理者は、一定の防火対象物で火災予防の中心となる管理責任者であり、消防計画の作成や訓練の実施などを担います。複数の管理権原者がいる建物では、各事業所ごとの管理だけでは不十分なため、建物全体を調整する共同防火管理が必要になります。さらに、大規模な建物では、火災だけでなく地震などへの備えとして防災管理者が必要になることがあります。ここは「防火管理」と「防災管理」を分けて理解することが重要です。 また、危険物に関する制度は別枠で整理する必要があります。危険物取扱者は危険物の取扱いに関する資格者であり、一定の場合には危険物保安監督者の選任が必要です。しかし、これを防火管理者と混同してはいけません。試験では「危険物があるから防火管理者も危険物取扱者でなければならない」と思い込ませる出題がよくありますが、これは典型的な誤りです。 さらに、建築基準法の定期報告制度では、特定建築物について、建築物、建築設備、防火設備などの調査・検査報告が求められます。つまり、防火防災分野では、消防法による人的な管理体制と、建築基準法による建物・設備の点検報告制度を切り分けて覚えることが、正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「防火管理者」「防災管理者」「危険物取扱者」「危険物保安監督者」という似た雰囲気の用語を、受験者の頭の中でごちゃ混ぜにさせる点にあります。名称に「管理」や「危険物」が入っているため、同じ役割のように見えますが、実際には根拠法令も担当範囲も異なります。名前の印象だけで判断すると誤答しやすくなります。 もう一つの罠は、「建物の防火防災に関わる管理体制」と書かれているため、すべて消防法の話だと思い込んでしまうことです。しかし実際には、建築基準法に基づく定期報告制度も防火防災と深く関わっています。試験では、同じテーマの中に別法令の知識を混ぜて出すことが多いので、「誰を選任する制度か」「何を報告する制度か」「どの法令か」を分けて考える習慣が大切です。 さらに、誤った選択肢は、一部だけ正しい言葉を入れて全体をもっともらしく見せています。危険物取扱者が必要になる場面は確かにありますし、指定数量以上という表現も実務ではよく出ます。そのため、前半が本当であるぶん、後半の「防火管理者として選任する必要がある」という誤りを見落としやすいのです。このような問題では、文章全体を一つの制度として読まず、前半と後半を切り分けて確認することが有効です。

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